2001年5月10日  MES会報 127号  編集 成 田 滋

4月の会報
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■ニュース
 

その一 神戸新聞から 難病の平本歩さん、兵庫県立高校合格
 難病のため、人工呼吸器をつけながらベッド式車いすで生活する尼崎市若王子二の平本歩(あゆみ)さん(15)が21日、難関を突破し、兵庫県立尼崎稲園高校に合格した。毎日のように授業に付き添ってきた家族や、学校生活をともに歩んだ級友らの祝福を受け、歩さんは「高校ではパソコンクラブに入りたい」とハンディを乗り越えての「春」を喜ぶ。
 歩さんは生後間もなく、筋肉が衰弱する難病のミトコンドリア筋症と診断された。自力呼吸や歩行が困難となり、幼少時は入院生活を送った。しかし、「家族で一緒に暮らそう」と1990年、父親の弘冨美さん(57)が仕事をやめて看護に専念、自宅療養を始めた。
 入学した小学校ではベッド用の昇降リフトを設置。6年間、弘冨美さんが約500メートル離れた学校までベッドを押して送り迎えし、栄養点滴やたんの吸飲のため授業にも付き添った。
 中学校もエレベーターを設置。歩さんも周囲の励ましにこたえ、小中の9年間はほとんど欠席せず、修学旅行や運動会にも参加。中学3年生のときも病気での欠席は1日だけだった。わずかに動く指やくちびるで自分の意思を伝え、パソコンのキーボードを操作することも覚えた。
 尼崎稲園高の試験は16日に行われ、歩さんは県立高校では初めてパソコンを使って受験。ハンディを考慮し、県教委側では試験時間を1.5倍にした。歩さんは発表のこの日、弘冨美さんと学校を訪れ、受験番号を確認した。
 歩さんは「マジ、うれしい」とはしゃぎ、家族や介護のボランティアらと喜びを分かち合った。弘冨美さんは「進学についても本人の思いを大事にしてきた。これまで本当に頑張った。今後も一人の生徒として歩をみてほしい」と話す。
 同校の長谷川太一校長は「校舎にはエレベーターがあり、単位制課程を設けているため、これまで多くの障害のある生徒が在籍してきたが、平本さんのようなケースは初めて。ご家族や県教委などと早急に対応を協議していきたい」としている。
 
その二 千葉県教委が少人数授業の積極的実施を指示
 千葉県教委は、県内全80市町村教委の課長級会議を開き、今年度から小中学校で積極的に少人数授業を実施するよう指示した。県教委の長谷川孝夫義務教育課長は「1学級を2分割、2学級を3分割、また1学級を2人の教員で指導するなどして学年、教科によって学級を弾力的に編成してもらいたい。今年度を少人数授業の元年度と考えている」と呼び掛けた。
 県内教員は国の「第7次教員定数改善計画」を受け、今年度442人の新人を採用。国の学級編成基準では小中学校の1学級は40人を超えないとする法定基準があるが、今年度から基準運用が緩和され、都道府県・政令市の判断で上限を30人などにすることが可能になった。
 
その三 日本IBM、視覚障害者用文書読み上げソフトを発売 01/04/11
 日本IBMは、視覚障害者を対象とした日本語対応の文書読み上げアプリケーション「JAWS(Job Access With Speech) for Windows V3.7」を4月20日に発売する。同ソフトはマウスを使用せず、キーボード操作のみで、Windowsのメニュー画面、ワープロ、表計算、Webブラウザなどの画面情報や入力内容を、音声で読み上げる。価格は、Windows 98/Me版が10万円、Windows 2000版が15万円。店頭販売はせず、法人や各種団体に対しての直販となる。
 JAWSは、1995年に米国で発表以来9カ国語に対応し、日本IBMによれば現在4万5000人以上が利用しているという。日本語版は、日本IBM東京基礎研究所と米FreedomScientific社が共同で開発した。
 特徴は、独自スクリプトによるカスタマイズができる点。スクリプトの変更で、さまざまなアプリケーションの読み上げができるようになる。あらかじめMicrosoft Word 2000、Excel 2000、Outlook Express 5.5、Internet Explorer 5.x用のスクリプトを同ソフトに実装してある。このほかのアプリケーションでJAWSを使うためには、新たにスクリプトを組む必要がある。日本IBMによれば、Visual Basicの利用経験があればスクリプトを組むことができるという。
 システムを導入しやすくするために、音声によるガイド機能が付属しているほか、入門編トレーニングテープ、点字によるキーボード操作ガイドも同こん。また、操作方法の問い合わせに、日本IBMアクセシビリティ・センターのヘルプデスクを30日間無料で利用できる。同センターのWebサイト「バリアフリーの扉」(http://www.jp.ibm.com/accessibility/)でもサポートを実施する。
 必要な動作環境は、CPUがPentium(300MHz)以上、メイン・メモリーはWindows98/Me版が64MB以上、Windows 2000版は128MB以上。130MB以上のHDD空き容量が必要。
○問い合わせ先
・ダイヤルIBM 電話0120-04-1992
・日本IBMのWebサイト http://www.ibm.com/jp/

その四 「チック症」の子どもに理解を 患者・家族らが協会設立へ
 何度も顔をしかめたり、突然叫び声をあげたりする「チック」を主な症状とする「トゥレット症候群」を正しく理解してください――。さまざまなチックで不登校になったり、就労できない人たちや患者・家族が集まって、29日、東京で「日本トゥレット(チック)協会」の設立総会を開く。米国やカナダなどにはトゥレット症候群の人たちの支援や家族同士のネットワークができているが、日本には全くなかった。
◇日本での調査なく
 チックは、突然、自分の意思とは無関係に起きる動作や発声のことで、運動チックと音声チックの二つがある。具体的には「頻繁に肩をすくめる」「首を振る」「顔をしかめたり、まばたきをする」「のどを鳴らしたり、叫び声をあげる」「不謹慎な言葉をはく」「他人の言葉を反復する」「歩いていて突然ジャンプする」「人や物にさわる」――などの症状だ。動作や発声の頻度は人によって異なるが、1日に何回も続くことが多い。
 トゥレット(命名したフランスの神経科学者の名前)症候群は、こうしたチックを主症状とする神経性の障害を指す。ADHD(注意欠陥多動性障害)やLD(学習障害)などを併発する場合もある。一般的には6〜10歳ごろに発症し、最初は「頻繁にまばたきをする」「口をとがらす」などの症状で気づくことが多い。
 男子に多く、知的な障害はない。正確な発症メカニズムは分かっていないが、脳内化学物質の代謝異常が関係しているといわれ、親の育て方が原因ではない。米国での発症率は1000人に1人というが、日本では調査がなく、分かっていない。
 米国では1970年代に家族などが集まってトゥレット協会をつくり、学校や地域、医療の受け入れ体制の整備に努めてきた。ニューヨークにはトゥレット症候群の子供たちを教える公立の学校もできているが、日本ではこうした動きは全くなかった。
◇理解不足が登校や就労の妨げに
 日本での協会設立に走り回ってきた医師、高木道人さん(東京)は「日本では医師、学校の先生ともトゥレット症候群のことをほとんど知らない。周囲の理解が足りないために、不登校になったり、就労できないケースも目立つ。多くの人にこの障害を知ってもらい、医療、教育、福祉の分野でトゥレット症候群の子供たちや家族を支えていく環境づくりを進めていきたい」と協会の目的を話す。
 高木さん自身もトゥレット症候群の子供をかかえ、地域や学校の無理解を痛感している。妻の洋子さんは「チックはADHDと同じように、親の育て方とは関係なく生じるのに、児童心理学の専門書の中には、いまだに『心理的な緊張や不快感など心の病が習慣化してチックが生じる』といった間違いが見られる。原因は母親の愛情不足で起きると間違って理解している先生や医師もいます」と周囲の理解の重要性を強調している。
 設立総会は29日午後1時から、東京都千代田区一ツ橋の日本教育会館で。東京学芸大学の太田昌孝教授の司会、瀬川小児神経学クリニック院長の瀬川昌也さん、東京大学付属病院児童精神科の医師、金生由紀子さんの2人が講演する。問い合せは高木道人さん(電話042・325・4785)。
【チック(トウレット症候群)のページ】
http://www.dab.hi-ho.ne.jp/fushicho-21c/

その五 NEC、上肢障害者向けのパソコン利用支援ソフト発売
 http://biztech.nikkeibp.co.jp/wcs/show/leaf?CID=onair/biztech/pc/130170
 NECは2001年5月14日、上肢障害者向けパソコン利用支援ソフト「オペレートナビEX(Ver1.0)」を発売した。5月31日から出荷を開始する。価格は5万9800円。このソフトは行動や姿勢、発声に制約があるユーザーに、画面上の文章を拡大表示すると同時に合成音声で読み上げる機能や、合成音声や録音済み音声で意思伝達を支援する機能を提供するもの。
 同社ではこれまでにも一般のマウスやキーボードの操作が困難なユーザー向けに、障害者用スイッチ類を利用して画面からキーボード(オンスクリーンキーボード)操作ができるなどの機能を提供するソフト「オペレートナビ(Ver.2.0)」を販売してきた。今回の新製品は、従来のパソコン操作支援機能に加え、発声が困難なユーザーの会話支援機能などを搭載した。
 具体的には、(1)ワープロソフトなどで作成した文章を拡大表示しながら、合成音声で読み上げ、内容を確認することができる(2)あらかじめテキストとして入力または音声で録音した日常よく使う言葉(定型句)を、画面上のキーボード(オンスクリーンキーボード)の絵(画像)やキーに登録し、スイッチ類を利用して選択するだけで言葉を音声として再生することができる、(3)ブラウザーやメールソフトで表示した文章を音声合成で読み上げる機能や、リンクの強調表示などが可能---など。
 対応するブラウザーはInternet Explorer 5、メールソフトはOutlook Express 5。対応OSはWindows98/98SE/Me/2000 Professional。対応フロントエンド・プロセッサ(FEP)はMicrosoft IME 98/2000、ATOK10〜14。
 また、既存のオペレートナビ登録ユーザーを対象に新製品へのバージョンアップを9800円で実施する。
○問い合わせ先
・NECパソコンインフォメーションセンター  0120-950001


■6月の山登りプラン

 前田俊幸 龍野市 PXE00631@nifty.ne.jp
 毎月障害者の家族と一緒に近くの山に登っています。6月は兵庫県の神埼郡にある峰山高原に行くことになりました。一緒に参加しませんか。
○日時 6月9日土曜日
○集合場所と時間
 播但連絡道神崎南インターを降りたところに9時40分集合です。
 または、峰山高原の最も手前の駐車場に10時集合です。
 
○散策コース いろいろあります。帰りは頂上にある天然ラドン温泉に浸かってかえります。
○問い合わせ 前田まで

■新刊書の紹介
○「生物多様性の意味」イボンヌ・バスキン著
 ダイヤモンド社 2200円
 「人間は頭が良い」と大多数の人間が思っているが、人間にもわからないことがある。わからないので放っておいたり、わからないままとんでもないことを見切発車でやってしまうこともある。生物多様性について人間は実はまだよくわかっていない。頭が良い人間が大勢集まって決めたことが、この星に生きている全ての生き物の存在する意味を汲み取れず、多くの生き物に迷惑をかけ、果てには自分達をも苦しめている例も少なくない。せめて、もう、己のうぬぼれを捨てるべきではないだろうか。
 
○「パニックの子、閉じこもる子達の居場所づくり」 山崎隆夫著
 学陽書房 1600円
 著者は東京の公立小教師。3年生のクラスの担任になって、体育や勉強ができなくてパニック状態になり、同級生にあたる子や「かけっこや跳び箱はやっても意味がない」と投げ出してしまう子が多く、学級運営が危機的状況に陥った。
 その中で著者は子供たちの悲しみ、苦しみを受け入れ、学級を安心して過ごせる子供の居場所とするよう心がけると同時に、人と人が触れ合う楽しさを児童に教えることで、学級を変革していく。そうした実体験を語りながら、児童、学級の危機にどう取り組んだらよいかを示した。
 
■皆さんからのお便り
●転勤しました
 赤松 学 福井県立福井東養護学校校 akamatsu@po.incl.ne.jp
 4月の異動で、下記の学校に異動しました。福井赤十字病院内にある学校です。小児科病棟の4階にある小さな学校です。小児科に入院している、病弱の児童生徒15名と楽しくやってます。
 福井県立福井東養護学校月見分校
 tel. 0776-35-7626
 
●姫路の書写山ハイキング 
 山平喜一郎 明石市 k-yamahr@psn.ne.jp
 お疲れさまでした.天気もよく,良い汗がかけました.多くの方々とお知り合いになれて,家族ともども喜んでおります.幹事をしていただいた清水先生,ボランティア皆さんありがとうございました.とりわけ清水先生の展望台から見た風景の説明や昼食後の動作法の講義は勉強になりました.また成田先生にとっていただいた写真,早速ホームページで拝見しました.各参加者の思いでに残る名場面が満載ですね.
 http://cobalt.ceser.hyogo-u.ac.jp/users/naritas/album2001/shoshazan/
 永田先生,智美が相手をしていただいて非常に喜んでおりましたが,パキスタン製の高価なスカーフを傷めなかったでしょうか?私は樹齢700年を越えるような木々の間を歩きながら何か不思議なすがすがしさを感じました.是非またこのような機会を設けていただきたいと思います.できればキャンプで一泊してビールを飲みながらのエンドレス講義付きというのはいかがでしょうか.以前京都に住んでおりました時には,親の会主催でこのようなキャンプがあり,ボランティアの人達もいっしょに,夜のふけるまで語り合ったことを思い出します.
 山上のロープウェー駅で解散した後,山平一族は智美を先頭に徒歩で山道を下り,50分近くかかりましたが麓の駐車場まで無事帰りつきました.往復とも完歩しました.智美にとって書写山から下るのは2度目の経験(前回は復路のみ徒歩)ですが,前回に比べると随分しっかりした足取りで急な山道を下りることができ,進歩の跡が見えました.今通っている光生園の登山会でもっと急な神戸の菊水山へ登った経験や時々神出神社付近や三木山森林公園の山道を歩いていることが筋力や判断力,バランス感覚等を養っているのかもしれません.智美にとってはかなりきつく,必死の取組みだったかもしれませんが,時にはこのような経験をすることも必要だろうと思います.4歳近くまで歩けなく,その後もころんでばかりいた智美ですが,昨日は最後までよくがんばりました.家内はというと「足がいたい」とうなっております.