2001年4 月10日  MES会報 126号  編集 成 田 滋

MES(障害者とコンピュータ利用教育研究会)2月の会報
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■IBMフォーラム2001特別講演:バリアフリーの社会を実現する技術で新たな市場を開拓する

 「IBMフォーラム 2001」最終日となる3月9日,IBMの技術を紹介する最後の特別講演に本アイ・ビー・エムの石田清二技術顧問が登場,健常者と身体障害者の間で起こるデジタルデバイドを解消するために同社が開発中の技術を明らかにした。同氏は,IBMワールドワイドでアクセシビリティーに関連する技術を統括する責任者でもある。

 ITは社会インフラに限りなく近づいていくと言われている。石田氏は,「インフラになるということは,水道やガスのように“当然存在するもの”になるということだ。障害を持つ人が,水道のじゃぐちを回したり,ガスに点火したりできる仕組みが必要」と話す。石田氏は,IBMのグローバルのアクセシビリティー責任者でもある  あらゆるWebデザイナーが,顧客に対して強力にアピールできるデザインを希求する現在,Webサイトには,JavaScriptやJavaアプレット,Flashを多用するカラフルで動きのあるものが多い。石田氏は,このようなWebサイトを弱視者が見るとどのように見えるかを示して見せた。  同氏は,画像が全く表示されない無惨な画面を背に「障害者には,取り残されてしまうことに危機感を持つ人がいる」とし,「たとえ障害があってもITの恩恵を享受する権利があるのは当然のこと」と話した。

 IBMでは,弱視や色弱のユーザー,肢体不自由なユーザー,聴覚障害を持つユーザーなど,さまざまな障害を持つユーザーを支援するために最適なソフトウェアを開発している。拡大鏡ソフトウェアや音声認識ソフトウェアなどのほか,パートナー企業が開発する製品群も推奨することで,バリアフリー社会を実現したい考えだ。  例えば,カナダのセントメリー大学では,ワイヤレスマイクを持った講師の声をViaVoiceで解析,リアルタイムにプロジェクターで表示する聴覚障害者向けの実験を行っている。また,カメラに映し出された自分の顔をユーザーインタフェースとしてコンピュータに命令する仕組みも開発している。石田氏は,「今まではPCをプラットフォームとしてきたが,さらに汎用性の高い支援技術が必要」と話す。将来は,ネットワーク上で,サーバを中心としたソリューションを提供したいという。また,ネットワークとの連携を実現するため,IT業界と通信業界が一体となって取り組むことが必要と力説。「アクセシビリティをe-ビジネスの一部として捉えたい。GPSによる位置情報と組み合わせた新たな支援サービスの提供も視野に入れている」と話した。

 石田氏は,「単なる慈善事業でなく,ビジネスとして磨いていくことで,永続的な技術革新を実現できる。これは,新しいe-ビジネス環境だ。ビジネスチャンスとして捉えてしかるべきではないか」と講演を締めくくった。なお,日本IBMの100%子会社であるインフォ・クリエイツは,障害者および高齢者向けに情報のバリアフリー環境整備を行うサービスを2月21日から開始している。 関連記事 日本IBMがPC利用環境のバリアフリーを目指す新しい取り組み「ITry Project」を発表 http://www.zdnet.co.jp/eweek/0101/23/01012306.html

 

■「ともひとスケッチ」
 渡部敏成 枚方市 toshinari@mm.neweb.ne.jp

 こんにちは。ご無沙汰しております。 枚方の渡部です。実をいいますと 自閉症児の我が子ともひとがキッドピクスで書きためた絵が小学校のクラスの仲間の協力で昨年12月枚方市の公民館で展示会を1週間にわたり開くことが出来ました。展示会の絵は智仁が描いたものですが、その絵のタイトルとコメントはクラスの子達が書いてくれました。
 クラスでは実行委員会を作り、展示会の受付から片づけまで彼らがしてくれました。このことは関西版の読売新聞の夕刊にも掲載されました。その時の絵とコメント、更にエピソードを付け加えてB5の本を作成しております。本といいましてもページメーカーで作成したものをキンコーズというコピー屋さんで綴じ込んでもらう事になっています。100部ほど作る予定で 3月の中旬にはできあがると思いますが、まずはPDFファイルでお送りいたします。バタバタして忙しく、ご連絡が遅れまして 申し訳ございませんでした。

○息子のプロフィール 1991年1月16 日生まれ10才
 1才半頃から、ことばの面で著しく発達がおくれはじめる。対人面でも人と遊ぶことを嫌い、1人で遊ぶことに徹底する。枚方市の保育所にて療育。4 才を迎えるころ広汎性発達障害、いわゆる自閉症と診断される。つたい歩きをはじめたころから父が使うノートパソコンに興味を示し、2才をすぎたころからディスクトップパソコンを器用に扱い、この頃からマウスが彼のパートナーとなる。幼児向けのソフトを次々とクリアしパソコンによって文字、数などの知識を取得。現在に至る。
 現在、枚方市田口山小学校4年2組に在籍。多くの友人達に囲まれ、楽しい学校生活を送っている。今もパソコンに向かわない日はない。毎日感じたこと、知ったことを絵で表現し、独自の世界で楽しんでいる。


■書写山ハイキングのお知らせ

 清水直博  姫路養護学校 JCC03402@nifty.ne.jp

 木曜日に車で書写山を下見をして、今日はロープウエイの駅へ行って聴きました。ロープウエイの往復は900円です。片道は500円です。障害者手帳及び療育手帳をお持ちの方は、付き添いも含めて料金が半額になります。各自で料金を払ってもらったら良いかと思います。今回の場合、参加者が障害者手帳や療育手帳を持っている方は、半額になりますが、それ伊賀のボランティアについては、いっていの人数が集まれば団体割引で20%オフになります。詳細は、今ここにパンフレットがないので後日お知らせします。
 それから、ハイキングコースは、ロープウエイの駅へ車を駐車して(駐車料金は無料です、普通乗用車)徒歩のコースを見つけました。じつは、きちんと歩いてあがるマップを頂きましたので当日現地でお渡しします。
 ○書写山ハイキング:5月4日 午前10時:姫路書写ロープウエイ駅駐車場
 徒歩の方は、随時ハイキングコースを歩いてあがってください。ロープウエイを利用される方は、往復料金900円(手帳持参で、付き添い者も半額)その他の方は、メイルにて受け付けた方や現地での受付に応募された方は、団体料金で乗車が可能です。山頂では、ウオークラリーを以前に曽査小学校PTAが実施したとのことで、学校へ出向いてきました。小学校の教頭先生に資料を依頼したところ後日、送付してもらうことになりました。参上でそんな企画ができればいいのですが、ボランティアの集まりによって検討したいと思います。

●智美の近況
 山平 明石市 k-yamahr@psn.ne.jp

 山平です。次女智美の最近の様子を報告します。 昨日、家内と3人でスーパーマーケットに買い物にいきました。ここで、智美が一人で欲しい商品と代金を持ってレジに行き、お金を渡して、おつりとレシートをもらって戻ってくることができました。私と家内は少し離れたところでどうなることかと見ておりました。智美はこれまでも商品を持って帰るにはお金を払う必要がある(レジに持って行かねばならない)ことは理解しているようでした。したがって、お金と商品を持ってレジに行くところまではできると思っていたのですが、おつりを受け取らずに戻ってくるのではないかと予想していました。ですから家内について行くように言ったのですが、家内はしぶる智美をしかって一人で行かせたのです。
 そうしますと、ちゃんとおつりを受け取って戻ってきたのです。戻ってきた智美を二人で褒めてやりました。本人もうれしそうでした。時に応じて突き放してやることが成長には必要であると思っていましたが、そのタイミングは普段智美と接している家内の判断が適切であったようです。
 昨年から今年にかけて、女性の間ではレザー風の上着が流行っていたようですが、以前に智美は妹の裕子が着ているピンクのレザー風(実は化繊)のジャンパーが欲しくて取り合いをしていました。それで、智美にも買ってやろうと探しに行ったことがあったのです。あるスーパーで安いのを売っている店と少し高いのを売っている店
があり、同じように見えましたので、安いのを買ってやろうとしたのですが、智美は興味を示さず、高い方を欲しがりました。「ちょっと高いので、また今度にしようね」と言ってその時は帰ったのです。
 昨日、同じスーパーで今度は家内と智美がいっしょに見てまわり、同じように、安い方は欲しがらず、高い方を欲しがりました。今回は高い方が3割引きになっていたので、買って帰りました。いったい何を基準に選択しているのかは分かりませんが、確かに智美にとって変わらぬ何らかの好みの基準、美の基準があるようです。毎日着る服や髪型にも好みがあり、気に入らないものは着ようとはしません。


■皆さんからのお便り

●その後も元気な相原です。
 相原 誠 国立療養所下志津病院(入院中) makoto@po.cnet-ca.ne.jp

佐原さん:HPに公開ですね。あとでゆーくり見に行きます。楽しみ。キネックスの早打ち?!喜んで頂き光栄です。持っていったもう一つのスイッチは今回デモに使ったスイッチの半分のスピードです。デモに使ったスイッチは今年になって病院の作業療法士さんに新たに作り直してもらった新作ナースコールなんです。それがかなりよかったのでキネックスのスイッチに試したら大成功だったのです。ナースコールを使わないときにあれを使って早打ち?!しています。
大杉さん:デモの早打ち?!スイッチは↑といったものです。もう疲れは取れましたか?翌日は家族サービス、そしてたまったお仕事などご苦労様です。(^_^)それにしても3年越しの小さな夢、目標が叶ってよかったです。
熊谷さん:キネックスのデモ、少しの時間ですが喜んでもらえたようで嬉しいです。自分の背中(後ろ)側でわからかったんですが、デモを何人くらい見学されていたんでしょうかね?あと僕の会場見学の案内もしていただき有り難う御座いました。PB G4は薄かったですね〜。(あのときのデモお姉さんは・・・詳しい人を呼んで戻ってきたのかな。)
林さん :そうでしたね。去年、病室に来て下さったんですよね。思い出しました。去年は肺炎で・・・。ところで、キネックスの早打ち?!喜んでもらえてよかったです。林さんに勝ちましたか。(^_^;来年は対決形式デモですかね?でもキネックスを本格的に使い始めて1年経つか経たないかなんですよ。以前は棒でキーボードを打っていたんです。やりにくくなってキネックスにしたんですよ。
舞園さん:わぁ〜・・・!!だっだいじょうぶですか?怪我の方は如何です?少しは落ち着かれましたか?事故、怖いですね。でも入院するほどでなくて安心しましたが・・・。今度いつかどこかでお会いしましょう!(100回例会に以前出席しましたよ。)お大事に。
みなさん:会場の音が大きくて僕の声がかき消されてしまいましたね。ゆっくり挨拶できませんでした。これからもどうぞ宜しくお願いいたします。(^_-)-

●パソコンお礼
 梶 正義  兵庫県立のじぎく養護学校 Masayoshi.Kaji@mb4.seikyou.ne.jp

 のじぎく養護学校の梶です。ご無沙汰しております。先日いただきましたMac2台 ほんとうにありがとうございました。子供たちが実際に利用している様子とともにお礼を申し上げた方がよいと考え、おそくなってしまいました。いただいた1台は 神戸市西区から来ています松口いくみさんが使っています。お勉強ソフトで 平仮名、カタカナの勉強、お母さんへのお手紙打ち、1から10までのかずの勉強をしています。参観日でおかあさんがその様子を見られて「いくみは パソコンを使って こんなお勉強もできるのね」と驚かれるとともにパソコンバンクのみなさんに感謝されていました。また、もう1台は、2人の子供たちのとりあいになっています。JPEGの画像をそえてお礼申し上げます。

 

● 雨中登山
 前田俊幸 龍野市 PXE00631@nifty.ne.jp

 昨日は龍野市内の山に登りました。朝方は晴れていたのですが、頂上に着いた昼には雪更に温度が上がって下山する頃には雨になりました。  成田先生も交えて、気持ちよく行ってきたのですが、年のせいか?雨の中は久しぶりに疲れました。頂上で飲んだみそ汁とコーヒーは実にうまかったです。学生時代の山登りを思い出しました。コースは、1時間半ほどの登りを、谷のせせらぎに沿っていきます。だらだら坂で、標高差も300m足らずですから、足の悪い子供も参加していました。頂上にはため池があります。記述によると、現在の龍野市と新宮町の間で水争いが起きた記録があるそうです。蛇足ながら、私の母と妻の母の生まれがそれぞれ争った当事者の村でした。

 リュックは、何となく水をはじきそうに見えるのですが、だめですね。お弁当は見事に濡れてしまいました。雪が雨にならなければ払えば落ちてしまうのでかえって良いのですが。哲也も雨の中を歩いてきました。普段は歩くのをいやがるのですが、なぜか山に行くのは好きなようです。  そこで、バンクとネットの関係の皆さん、もう少し暖かくなった5月の連休ぐらいに、姫路市の書写山に登りませんか?足の悪い人にはロープウェイがあります。片道40分くらいと聞いております。片道歩き、片道ロープウェイも良いかもしれません。連休だからと「どっと混む」ようなところではありませんし、下まで自動車で行けます。賛同者があれば企画を作りたいと思います。ご意見をお寄せ下さい。


■書籍紹介

「学校が合わないときの学校探し」   学習研究社 1200円

 「不登校の子供はどうやって高校進学すればいいの」という母親からの電話で企画した本。普通高校に行かなくても、学びの場は通信制、定時制高校、大検予備校、高等専門学校・技能連携校、全寮制高校、サポート校、インターナショナルスクール、インターネットスクール、留学など多くの選択肢がある。それぞれの特徴や受験・入学方法、費用、修得単位などについて解説と一覧を載せた。再受験、転入、編入の仕方も。悩みや迷いを克服して不登校を乗り越えた先輩たちの体験談や、いくつかの学校の取材リポートを通して、居場所探しをアドバイスする。

■話題

大阪府教委が教員の業績評価制度導入へ

 適格性や指導力を欠く「問題教員」の対応策のシステム化を進めている大阪府教委は教員の資質や能力、やる気の向上を目指すため、教職員を対象とした業績評価制度を導入することを明らかにした。これまでの教員の勤務評価制度に代え、業績などを「適正」に評価、積極的に能力開発しようとするもので、来年度から評価内容などを検討、早ければ2003年度から導入する。

 教職員の評価制度は東京都が既に導入。能力、意欲、業績などを5段階で評価し、昇給や人事に反映させている。しかし、混乱した学級の担任などケースによって条件が大きく異なるため、教育効果を短時間で測れず、評価にはなじまないといった指摘がある。府教委は4月にも「教職員の資質向上に関する検討委員会」(座長、木下繁彌・甲子園短大学長)に評価する内容やシステムについて諮問、検討をしてもらう方針である。

ADHDの子ども対応に「親訓練プログラム」

 子どもの発達障害の一つ、注意欠陥多動性障害(ADHD)について、厚生労働省の研究班は、2001年度にまとめる診断・治療方法のガイドラインに、子どもへの効果的な接し方を示した「親訓練プログラム」を盛り込むことを決めた。ADHD児を持つ親は、周囲から孤立しがちで、ADHDの治療に関する統一的基準も国内にはないが、研究班は初めて親向けの治療の“手引き”をガイドラインに示すことで、親を支援する態勢を拡充したいとしている。

 ADHDは、脳内の神経伝達物質の流れに問題があるなど軽微な機能障害が原因とみられる。子どもの3〜5%の割合で存在するとされる。衝動的な行動が目立つなどの症状がある一方、独創性や決断力に秀でているとも言われている。

 症状を緩和する薬物療法のほか、周囲の無理解で傷ついた子どもの自尊感情を高めるための行動療法が重要とされ、親訓練プログラムはその一つとして米国で考案。目標行動の達成感を与えてよりよい親子関係を築き、症状を抑えていく。研究班は奈良県立医大など3医療機関で親訓練プログラムを実施。子どもの問題行動が減るなどの効果が確認できたため、ガイドラインに盛り込むことにした。