2002年個別障害者教育法(IDEA)第24回議会報告書 要約

"To Assure the Free Appropriate Public Education of All Children with Disabilities"
Twenty-fourth Annual Report to Congress on the Implementation of the Individuals with Disabilities Education Act
2003年10月1日初版

2003年12月3日更新

翻訳・監修
 成田 滋 兵庫教育大学 naritas@ceser.hyogo-u.ac.jp
 田中敦夫 神戸市立東舞子小学校 atsut@cameo.plala.or.jp
 渡部親司 島根県立緑が丘養護学校 wshinji@skyblue.ocn.ne.jp
 伊丹昌一 大阪府立中津養護学校 cuadm207@occn.zaq.ne.jp


 


セクションI 報告の内容とそれを取り巻く状況

このセクションは4つのモジュールから構成される。第一は、「個々の障害者教育に関するニーズ」(Personal Needs in Special Education: SPeNSE)からの資料である。第二は、障害児教育の支出計画(Special Education Expenditure Project: SEEP)からの資料である。第三は、早期教育の経年的研究(Early Childhood Longitudianl Study-Kindergarten Class of 1998-99: ECLS-K)からの資料である。ここでは、低所得家族と障害児について言及する。第四は、発達の遅れの子どもに関する資料である。

障害児教育教師の資質

・「個々の障害者教育に関するニーズ」(以下SPeNSEと略す)、障害児教育に関わる人々の状況を把握し、その資質に及ぼす要因について記述する。
・SPeNSEのデータは、全米の障害児教育の教師から1999-2000年度における教師経験平均14.3歳を抽出してある。その教師は、障害児教育の経験が12.3歳となっている。
・SPeNSEのデータでは、上記の障害児教育教師の59%が修士号を持っている。普通教育の教師の49%が修士号を持っている。
・SPeNSEのデータでは、教師の資質として次の5つの要因を挙げている。教師経験、免許状、自己効力感、専門性、教室での指導実践である。教師経験は、要因の中で最も影響力があることが判明している。

1999年-2000年度の予算は障害児教育にどのように使われたのか。


・このモジュールは、障害児教育の予算計画(以下SEEPと略す)からの資料に依拠している。
・SEEPからのデータによれは、障害児一人当たりに使われた費用は12,639ドル(約145万円: 115円換算)となっている。初等中等教育の予算は3,606億ドルであり、障害児教育はその内の13.9%を占める(図1 一人当たりの教育費)。
・関連サービスに使われた予算を除いて、障害児教育だけで使われた費用は、1985-86年の1人あたりの費用は9,858ドルであった。1999-2000年では12,474ドルとなった。これは、年平均0.7%の上昇を示している。
・1999-2000年度では、80%以上の予算が障害児教育の指導や関連サービスへ直接使われた .

低所得家庭における障害児:早期教育の経年的研究の分析

・子どものいる家庭の貧困は、障害児教育に示唆を与えている。なぜなら、貧困は子どもの認知面での成長や学力の伸長のほかに、健康や行動に影響を与えるからである。
・個別教育計画(IEP)を受ける子どもで、貧困な家庭の母親の1/3は高校を卒業していない。個別教育計画を受ける子どもで、裕福な家庭の母親の場合は、7%が高校を卒業していない。
・片親と低い教育歴の家庭は、低所得の家庭だけには見あたらないが、家族の特徴は貧困ということ強い相関がある。
・貧困それ自体は、子どもの学習指導に対する教師の評価に望ましくない影響を及ぼしている。

3歳から9歳までの「発達の遅れ」を示す子どもの分類

・個別障害者教育法(以下IDEAと略す)の1997年修正法では、発達の遅れを示す子どもに対する教育サービスの支援の年齢を3歳から9歳まで拡げた。2000-01年度までに、20州が5歳までに拡げている。必ずしも6歳から9歳まで対象とするわけではない。
・各州の報告によれば、9歳までの発達の遅れの分類は、特別な障害のカテゴリに関連した障害名を付与することなしに、発達年齢に応じてサービスが連続して与えられるとしている。
・各州からのデータによれば、IDEAによる教育サービスの対象となる子どもの大幅な増加は見られない。発達の遅れの子どもの数は、暦年齢の増加とともに減少している。



セクションII 生徒の特徴

このセクションは、IDEAで支援を受ける子どもや生徒の特徴に関する資料を網羅している。ここで取り上げる対象は、子どもとその家族であり、早期教育措置、幼稚園児、6歳から21歳までの者である。全米縦断進路研究(National Longitudinal Trasition Study 2 : NLTS2)のデータがこのモジュールの内容を補完している。

IDEAにより支援される嬰児と幼児

・2000年度の障害支援のデータによれば、IDEAのパートCによる支援を受けた嬰児と幼児は、63%が白人系、17%がヒスパニック系、16%が黒人系、4%がアジア太平洋諸島系、1%がアメリカインディアン、イヌイット系となっている。
・1999-2000年度の報告によれば、68%が家庭で早期教育を受けた。この数字は、1998-99年度では63%が家庭で、1995-96年度では53%となっている。ちなみに、IDEA修正法は1997年に発効している。
・嬰児と幼児の成長とともに、こうした子どもの支援は各州ともIDEAのパートBによって引き継がれている。

IDEAにより措置される幼稚園児

・2000-01年度では、3歳から5歳までの599,678人がIDEAによって措置された。1999-2000年度ではその数は589,134人であった。
・2000-01年度では、幼稚園児の55.2%が言語障害で措置を受けた。
・白人系の幼稚園児がIDEAのパートBで最も多くの措置を受けた。アジア太平洋諸島系、ヒスパニック系の児童への措置は低い。

IDEAにより支援される6歳から21歳までの者

・2000-01年度では、6歳から21歳までの5,775,722人がIDEAによって措置された。この数字は、合衆国全人口の8.8%に相当する。
・特異性学習障害、発話・言語障害、精神遅滞、情報障害がIDEAで支援される最も多い障害カテゴリー分野となっている。(図2 措置された者の割合)
・白人系が6歳から21歳までの62.3%を占め、ついで19.8%が黒人系、14.5%がヒスパニック系、1.9%がアジア太平洋諸島系、1.5%がアメリカインディアン、イヌイット系となっている。
・2000-01年度では、最も発生率の高い5つの障害カテゴリー分野をみると、どの人種も高い発生率を示している。だが、IDEA全体での障害の発生率とは異なり、特定の人種における特異性学習障害の発生率に増減が見られる。

変化する人口:障害のある高校生とその家庭の特徴

・本報告は、全米長期進路研究 (NLTS2)を基にしているが、調査は20代を含む高等学校生徒の諸経験や学力を収集している。さらに学業が、卒業後の進路にどのような影響を及ぼしているかを追跡する。
・2001年にIDEAによって措置された高校年代の者は、全高校生の人種の分布に比例している。その分布は1987年代の者に比べると比率が異なっている。
・2001年にIDEAによって措置された高校年代の者は、1987年代の者に比べて早期に障害がある、あるいは有意になんらかの遅れがあると診断されている。
・生徒を焦点にあてると、障害を最初に診断される年齢の低下は、統計上からみれば特異性学習障害、情報障害、肢体不自由、病弱の分野で指摘される。その発見年齢は、10か月から18か月となっている。



セクションIII 教育プログラムと措置

障害のある児童と幼児および家族を対象とした、学校で受けることのできる教育プログラムと措置サービスのいくつかについて、このセクションでは4つのモジュールで述べる。

 1番目のモジュールは、学校現場の言語病理学者の数と質を論議するために、SPeNSEからのデータを用いている。障害児教育を受ける小学生・中学生の社会適応、問題行動に関するモジュールでは、障害児教育初等長期学習(Special Education Elementary Longitudinal Study; 以下SEELSと略す)からのデータを報告する。次のモジュールは、教育環境についてで、サービスを受ける児童、幼児を対象とした州の報告データを含む。最後のモジュールでは、州および地域の個別障害者教育法(IDEA)の施行と効果(State and Local Implementation and Impact of IDEA: SLIIDEAと略す)について述べ、予備調査で判明したことを報告する。

学校に質の高い言語病理学者の適切な配置を保証すること

・ 障害のある多くの生徒は、言語サービスを必要としている。質の高い言語病理学者を適切に配置することはIDEAの対象となる生徒達のよりよい将来にとって、非常に重要なことである。
・ 学校に言語病理学者を適切に配置することは、利用できる病理学者の質と同様重要である。なぜなら、その数が不足すると管理者は、低資質の者を雇用することを余儀なくされるからである。
・ 言語病理学者は、週に平均7.1時間文書作成をし、4.6時間はサービスの準備、1.8時間は同僚と専門的な意見を分かち合い、1.7時間は事例の背景情報を把握することに、0.9時間は保護者との話し合いに、時間を割り当てている。
・ 言語病理学者は、いくつかの分野で、自らの能力を比較的低く評価している。すなわち、教育にテクノロジーを使うこと、多様な生徒のニーズに合わせること、助手を指導すること、問題に取り組むために文献調査すること、生徒の行動を監督することなどにおいて、専門的な力を身につける必要があることを示している。

障害児教育を受ける小中学生の社会適応と問題行動

・教育措置の成果や他の領域に及ぼす生徒の行動の改善は、障害児教育プログラム局(Office of Special Education Programs:OSEP)の全米評価に取り組むこと、SEELSを含めて優先課題となっている。
・ SEELSのデータによると、学習障害、言語障害、聴覚障害、視覚障害、肢体不自由の生徒達は、自己主張、自己コントロール、協力において、保護者と教師から明確な影響を受けている。
・ 社会性の発達は、多くの障害のある生徒にとって重要な結果であり、ここ数年増加してきている学校安全や躾上の懸念に対応している。
・ 保護者によると、小中学生の障害のある子どもの14%は、学校生活のある時点で、退学や停学となっている。

障害のある生徒の教育環境

・ 1999年から2000年の間、障害のある生徒の95.9%が普通学校で学んだ。それらの生徒のうち47.3%が、登校しなくてはならない日の21%より少ない期間で、通常学級以外のところで学んだ。
・ 発生率の低い障害の生徒は、通常学級で学校生活のほとんどを送るということはあまりない。学習障害、言語障害の大半は、通常学級で学ぶ。
・ 人種・民族による教育配置の違いによって、少数民族の生徒が障害カテゴリーのいくつかで、不釣り合いな割合見られると考えられる。そうした不釣り合いの現象では、生徒は制約の多い教育環境で学ぶことと関連している。

個別障害者教育法の施行と効果の研究:学校区での施行からの展望

・ SLIIDEAが果たすべきことは、州、地域、学校で、1997年のIDEAの修正においてなされた政策の施行と効果の両方を理解することである。
・ SLIIDEAの研究では、5年以上にわたって州、地域、学校でメール調査によってデータが集められている。また、指定学校地域においてもIDEAの施行の調査が行われている。
・ 施行が広い範囲で行われていて、州政策と実施とで確かな関係を保ち、知識やスキルベースにおいて利害関係者が一致し、施行に求められる能力、および利害関係者の満足を明白に示す学校区では、貧困家庭の生徒が少なく、学校区として規模が小さく、郊外に位置している。



セクションIV その結果報告

年次報告のこのセクションは、3つのモジュールから成る。それらは、障害のある生徒の高校卒業について述べている。データは、全米早期介入長期研究(National Early Intervention Longitudinal Study: NEILS)からで、早期介入を行った1年後の子どもと家族が経験した結果である。また、州の改善と監督活動からのデータでもある。

障害のある生徒の高校卒業

・ 1999年〜2000年、14才およびそれ以上の年齢の障害のある生徒に対する卒業証書授与率は、56.2%であった。
・ 卒業率は、白人系、アジア太平洋諸島系からの学生にとって、最も高く、また中退率は最も低かった。
・ ほとんど全ての障害分類で、中退率の改善が行われた。とりわけ、言語障害、学習障害、肢体不自由、聴覚障害、情緒障害の生徒で顕著であった。

早期介入を始めて1年が経過した子どもとその家族が経験した結果

・ 全ての年齢層の子ども達が発展的に進んでいる。それぞれの年齢層の子どもが、かなり高率で、早期介入を行った1年後に、選択的な発達指標での習熟を示している。
・ 顕著なことに、全ての4歳児集団で1年後、かなり多くの家族が、子どもの学習や発達を手助けする能力を確信した。
・ 家族からの報告では、子どものコミュニケーションと運動能力が改善されてきたことを、また、早期介入が子どもの発達に多くの効果があると、3分の2以上の家族が報告している。
・ 早期介入を行ったほぼ全ての子どもの家族は、子ども達には通常の医療ケアを受ける場所があると報告している。早期介入の最初の年以来、この傾向は続いている。

州の改善と行政指導

・ OSEPは、継続改善指導過程(Continuous Improvement Monitoring Process: 以下CIMPと略す)に責任システムを導入することを再検討してきた。それは、より大きな州の責任にすること、保護者の関与を増加させること、改善プランを通知するデータ運用過程を確立すること、そして、公的自覚と流布を確実にすることなどを意図した方略を合わせたものである。
・ OSEPは、自己評価を完全なものにすること、効果的な改善プランを企画し施行することにも、州の手助けをしている。そして、責任支援プログラムに対するデータを売ることにも支援している。
・ OSEPは、効果的な移行へと導く手続きを進めるために、州と協働している。移行活動を通して指導を展開するために、子ども達を追跡調査するための共有データシステムを発展させることもそれに含まれている。
・ CIMPの施行は、州の成果報告責任を増加させている。また公的な関与と投資を確実なものとしている。望ましい結果の提示によって、大事な施行過程を焦点化した。さらに、データに基づいて決定するメカニズムを創り出した。そして、障害のある子どもとその家族に教育の成果を改善することに重点を置くようになっている。



障害児教育担当教師の資質

近年の連邦による立法は、教育の成果を向上させるためには教師の質が問題である点やその影響が少なくはないのではないかといった点について問題を投げかけた。ブッシュ大統領が2002年1月に署名した「落ちこぼれをつくらないための初等中等教育法(The No Child Left Behind Act)」では、教師の質の向上およびより専門的な教師の増員による生徒の学力向上を目的とした公的機関への補助金などが盛り込まれている。個別障害者教育法(IDEA)の改正にあたり、障害を有する生徒がその教育目標の達成の助けとなるあるいは生産的で独立した将来の生活を保障するために必要とされる知識や技術を、教師が身につけるための援助事業について再評価がなされた。(§601(c)(5))
 
過去20年間、教師の質は生徒の学力到達度によって測られるのが妥当であるといった見方が徐々に一般的になった。また、過去の調査研究は、教師の質は有意に生徒の学力に影響することを示した。テネシー州に本拠を置いた研究では、SandersとRivers(1996)が、次のように報告している。すなわち、平均して一学校区内において影響力の少ない教師が低学力の生徒のうちの14%の学力増進を図ったのに対し、影響力の大きい教師は低学力の生徒のうちの54%の学力増進を図ったという結果である。さらに、教師の影響はかなりの長期間持続する(小学校第3学年を担当した教師が影響力が特に強かったり弱かったりした場合その後の2年間は生徒の学力に影響が持続する)と報告された。そして、低学年時に同じような学力レベルを示す生徒にとって、そのような影響を与える担任が続くことにより、たいへんに大きな学力差が生じると結論づけた。(p.6) 同様の研究結果は、ダラスとボストンにおいても報告されている。(Bain et al.(Haycockの引用),1998、Jordan & Mendro,Weerasinghe,1997)

しかし、これらの研究は多くの疑問点を残している。これらの研究は、生徒の学力達成等の向上がどのような教師の要因(教師の持つ熟練度や態度あるいは特性)と関連づけられるのかについては示していないといった点である。また、これらの研究は、障害児教育というよりむしろ通常教育の中で実施されたものであった。より高度な知識と技術を持った障害児教育担当の教師が、必ずしも通常学級の教師が必要とされる知識と技術を備えているとはいえないであろう。さらに、障害児教育担当の教師は多くの場合、初期の教育的対応よりむしろその後の教育的支援を提供するため、生徒の学力達成における障害児教育の教師の影響は間接的あるいは通常学級の教師の影響と重複しているかもしれないと考えられる。

研究方法

「個々の障害児教育に関するニーズ」(SPeNSE)(この調査研究は、連邦教育省障害児教育局(OSEP)に調査分析委託されたWestat社により実施された。)は、障害を有する生徒に関わる教育者の質や教育者の質と関連性のある要因などについて明らかにするために研究デザインがなされた。*1 また、調査にあたっては、全米の代表的なサンプルとして358の地方行政職員や8,061の障害児教育関係諸機関の職員に対して聞き取り調査を行った。なお、これらには、障害児教育や通常学級の教師、言語病理学者、障害児教育の補助教師などが含まれている。本稿は、障害児教育担当の教師の質に関する「個々の障害児教育に関するニーズ」(SPeNSE)の調査結果を要約したものである。

*1) 「個々の障害児教育に関するニーズ」(SPeNSE)の研究デザインとその結果に関するさらなる情報は、http://www.SPeNSE.orgにて閲覧できる。
2) 「個々の障害児教育に関するニーズ」(SPeNSE)のデータは、一般的な全米の調査見積もりに力点が置かれている。

全米の障害児教育担当の教師の質に関する疑問に言及する以前に、説明すべき点がある。それは、「質の高い教師とは、何を意味するのか」といった点である。教師の質については、かなり複雑な構成要素が含まれると考えられる。そのため、教師の質について定義付けをすることができないかあるいは、教師の質について1、2の単純な変数によって尺度づけられるものではない。多くの異なる教育信念や特質、経験、それらから生じた行動が相互に影響し合い、その総体として教師の質が示されると考えられる。

 「個々の障害児教育に関するニーズ」(SPeNSE)では、因子分析が用いられた。これは、障害児教育担当教師によって報告されたデータが、どの程度、以前実施された理論的あるいは経験的な研究を支持するのかを探るためである。同時に、教師の質の尺度を推論するためでもある。たくさんの変数やグループを操作するのが因子分析であるが、その中の数少ない因子が、多くの固有の情報を含んでいるオリジナルの変数(=潜在因子)となっており、このオリジナルな変数によって、より簡単に分析や解釈ができるようになる。なお、分析にあたっては、統計ソフトウェアLISRELが用いられ、因子分析を正確に行うとともに、どの因子がより有意な関連性を示すのかが確かめられた。

「個々の障害児教育に関するニーズ」研究(SPeNSE)による教師の質に関する尺度測定の限界

まずはじめに、「個々の障害児教育に関するニーズ」研究(SPeNSE)のデータを用いた教師の質の尺度のいくつかの限定的な点について述べる。第一に、普通教育においては、教師の読み書きの能力が生徒の学力達成に影響していると見なされている点である。例えば、テキサス州やアラバマ州における研究(Ferguson, 1991、Ferguson & Ladd,1996)では、読み書きの基礎学力テストや大学入学適正試験で高得点をとった教師のほうが低得点の教師と比較して有意に生徒の学力達成に影響を与えるようであることが示された。ところが、SPeNSEのインタビュー調査には、教師のテストに関連するあるいはテスト得点に関する項目はわずかしかない。特に、教員検定や免許状の発行のためのテストに関しては、因子分析調査の項目に含ませるために、このようなテスト項目を設けている訳ではない。ただし、このような教師テストに関する不明データは、調査の正確性を損なうものでもない。なぜならば、教師検定テストは、近年になり広く行き渡って実施されており、それらのテストを受けた教師は、テストを受けていない教師と比較すれば有意に教師経験年数が少ないと見なされるからである。よって、教師の経験年数と教師の基礎学力に関するデータは排除されても支障がないと考えられた。従って、教師の質の構造として、教師のインタビューによる学力実態やより一般的なテストによる能力については、調査言及していないのである。

第二に、もし生徒の学力向上の度合いが教師の質の基本的尺度になるとするならば、SPeNSEの妥当性は、障害児教育の担当教師とその教師が担当した生徒の学力達成の情報を含んだデータ群を用いた確認の分析を通してのみ検証されると考えられる。SPeNSEで用いられたデータ群は、生徒の学力のデータを含んでいない。このように、分析とその結果は予備調査的な意味合いをもって検討がなされるべきである。このような制約はあるものの、上記により、より質の高い教師を探し、それを訓練し、確保するための方法の討議が進むかも知れない。上記は、教師の質について探る最初の段階を示している。本章の最後には、今後の研究計画について記述している。

障害児教育担当教師のSPeNSEのデータを用いることにより、5つの教師の質の因子が検出された。それは、以下の5因子である。
・教師経験
・免許状等の資格
・自己効力感
・教師の専門性
・教室での指導実践

Table1-1では、教師の質に関するそれぞれの因子に含まれる変数の概要が記述されている。本章の最後には、それぞれの変数の因子負荷量と因子によって説明された分散の程度が一覧として示されている。次の項では、障害児教育の担当教師の質に関する因子分析の中でも重要な変数を説明する情報が示されている。この情報が、因子分析結果や因子得点(比較的独立したいくつかの因子の傾向を表すもの)結果を理解するための背景や文脈を提供している。そして、我々は、疑問の余地のある教師の質に関する因子と生徒の学力達成との関連を示す過去の研究について概説した。

Table1-1 --------------------------------------

因子1:教師経験

この因子は2つの変数によって構成されている。その変数とは、教師としての経験年数と障害児教育担当教師としての経験年数である。それぞれの変数の因子負荷量(因子分析によって算出された各変数の数値)は、1の値に近く因子との関係が強いという結果となった。また、この結果は、データの分散(データの散らばり具合)の小ささも意味している。

因子2:免許状等の資格

この因子は3つの変数によって構成されている。1つ目は、免許状の種類(免許状がない、臨時免許状がある、担当外の免許状がある、担当の免許状がある)2つ目は、認可された資格を持つ教師の現場の数であり、3つ目はより高い学位を得た教師であるかどうかである。また、資格の要因を特定化するにあたり、免許状の種類の要因は最も重要であると結論づけられた。なお、認可された資格を持つ教師の現場の数の要因は、あまり重要性を持たないとも結論づけられたため、後述の各因子の解説には挙げていない。

因子3:自己効力感

この因子は3つの変数によって構成されている。1つ目は、教師の職務に関するさまざまな業務を遂行するための教育技術があるかどうかといった点の教師自身の認知の高さであった。なお、この業務には、適切な指導テクニック、行動の管理、生徒の進歩の観察力、指導の臨機応変さ、保護者との強調性などが含まれた。2つ目は、教師としての総合的な職務遂行能力に関する自己評価であった。3つ目は教師信念を測定するためにオリジナルにつくられたいくつかの項目であった。例としては「たとえ指導が大変困難な生徒に対しても、あなたは職務を成し遂げることができると思うか」などである。これら3つの変数の因子負荷量は因子との関係が高く、重要であると考えられた。

因子4:教師の専門性

この因子は3つの変数によって構成されている。1つ目は、教師がどの位の専門誌を定期的に読んでいるか、2つ目は、教師がどのような専門学会に加入しているか、3つは、同僚の教師らから毎月どの位の回数で専門的な助言を受けているか、である。こうした変数はほぼ中程度の似たような因子負荷量があり、変数の違いを説明することは困難であった。

因子5:教室での指導実践

この因子は3つの変数によって構成されているそのうちの3つの変数は障害児教育教師からの報告による、読解、行動マネージメント、一体化教育に関する得点と度数分布値である。4つは、教師による個別の読解指導である。読解と一体化教育は、かなりの因子負荷量を示した。他の変数は統計的に有意ではあったが、小さいな負荷量であった。
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5つの因子の説明

因子1:教師経験

過去20年間にわたり、教師の経験と生徒の学力達成との強い相関関係を示す研究報告が相次いでいる。(Biniaminov & Glasman,1983、Lopes,1995、Murnane,1981) また、それらの研究は、個々、クラスルーム、学校、学校区といったさまざまな対象で検証されているものである(Ferguson,1991、Murnane,1981、Turner & Camilli,1988、Wendling & Cohen,1980)。Ferguson(1991)は、教師経験が大きければ大きいほど、学力達成に関連する他の多くの因子を結果的にコントロールして、生徒の学力達成度を高めることを報告した。ある学校区内において、教師経験が5年から9年あるいは9年以上の教師の比率は、学校区間における生徒のテスト成績の分散--ちらばり具合を説明することができる。また、小学校においては5年以上の教師経験では生徒の学力達成の因子とならなかったのに対し、高校では5年以上の教師経験は、生徒の学力達成の因子となった。

米国内の2市において実施された学級と学校の調査研究を基にし、Murnane(1981)は3年から5年の経験を持つ教師が3年未満の経験を持つ教師よりより強い影響を生徒に与えることを報告した。本研究では、小学校2学年においては、3年から5年の経験を持つ教師のクラスの生徒が初任の教師のクラスと比較すると、平均して2〜3ヶ月は「読み」の学力において進んでいること、算数の学力においても明らかに前者が進んでいることを報告した。

SPeNSEのデータは、全米の障害児教育の教師から1999-2000年度における教師経験平均14.3年を抽出してある。その教師は、障害児教育の経験が12.3年となっている。これは、米国の通常教育の教師の経験年数が平均15.5年だという点を見越しての設定である。

因子2:免許状等の資格

教師の資格に関連する要因は、教師の免許状と教師の学位という2つの変数によって構成されている。教師の資質の測定に関して免許状の重要性についての議論がかなりなされている(Abell Foundation,2001; Ballow & Podgursky, 1998; Darling-Hammond, 2000; Goldhaber & Brewer, 2000)。生徒の学力と教師の免許との関係に関する研究結果は、議論が分かれている。Lopez(1995)は、教師の免許資格は、生徒の学力に影響がないとしている。しかし、 Goldhaber & Brewer(2000)は、高校4年生の数学のテスト成績において、標準的な教員免許を取得している教師が教える生徒の成績は、私立学校の教員免許や免許を持たない教師が教える生徒よりも有意に高いことを報告している。しかもこの研究者らは、数学や科学を学ぶ生徒の得点に関して、仮免許状を有する教師と標準的な免許状を有する教師とでは生徒の得点に差は無いことも報告している。Darling-Hammond(2000)は、州公認の専修免許状を有する教師の割合と教師の専攻領域は、生徒の学力を予測する有力な指標であるとしている。

SPeNSEのデータによれば、全米の92%の障害児教育の教師は、職務に要求される免許状を有している。その内、1.5%の教師は免許状や資格がなく、4.8%の教師は仮免許状を有し、2%の教師は主たる職務以外や他州の専修免許状を有していることが判明している。免許状などの資格に関する話題は、経験の少ない教師や情緒障害の分野で指導する教師について問題とされている。経験年数が3年以下の71%の教師は、専修免許状を有している。それに対して、経験年数が3年以上の94%の教師は、専修免許状を有している。、経験年数が3年以上の情緒障害の分野で指導する教師は、84%が専修免許を状有している。

前述した教師の教育歴と生徒の学力の関係は、結論づけることが困難とされている(Daring-Hammond, 2000; Ferguson, 1991, Goldhaber & Brewer, 1997; Hedges, Lain,e & Greenwald, 1994; Wenglinsky, 2000)。Daring-Hammond(2000)は、州認定の修士号を有する教師の割合は、生徒の学力を予測する有力な指標であるとしている。SPeNSEのデータは、教師の教育歴は有意に教師の免許状などの資格と関連があることを示している。そのデータによると、59%の障害児教育の教師は修士号を有している。他方、普通教育の場合の教師は49%となっている。

因子3 自己効力感

教師の自己効力感は、生徒の学力と他の学業成果と密接に関連していることが繰り返し報告されている。そのことは、生徒の学力の測定方法が異なっても同じ結果となっている(Ashton & Webb, 1986; Midgley, Feldlauger, & Eccles, 1989; Moore & Esselman, 1992;Ross, 1992)。 Gibson & Dembo(1987)によれば高い自己効力感を有する教師は、他の教師と異なる態度を示す。こうした高い自己効力感の教師は、生徒が間違った回答をしたときなどでは、生徒の困難に真剣に対応し、生徒を批判することは少ない。BenderとUkeje(1989)は、高い自己効力感の教師は、より効果的な指導実践方法を使うとしている。Landrum とKaufman(1992)も、高い自己効力感の教師は行動上の障害や困難を示す生徒の指導では、適切に対応する能力があるとしている。

総じて、SPeNSEでは障害児教育の教師は、高いレベルの自己効力感を有していると報告している。そうした教師らは、かなりの程度で自分たちが多くの生徒の学習に際して、適切に対応できる備えや経験を積んでいると考えている。しかも、こうした教師は、ちょっとした努力をすれば、最も困難で意欲がきわめて低い生徒やその逆に、あることの学習を短時間で習得できる生徒対して指導できる、とは思っていないようである。自分らが恐らく指導法を知っているからだ、という意見に対して肯定的ではない。自己効力感が高いことが作用しているようである。全般的には、障害児教師の62%が自分たちの仕事の内容について「とても良くできる」「きわめて良くできる」と自己評価している。

障害児教育の教師は、多くの分野で自分たちは高いスキルを有していると報告している。その分野とは、効果的な単元プランの企画、生徒の行動上のコントロール、適切な指導技術、保護者との連携といったことである。また、教師らは様々な指導場面においてや文化や言語の多様な背景を有する生徒への指導おけるテクノロジーの活用では、まだ十分スキルを身につけているとは言えないと報告している。

因子4 教師の専門性


専門誌を読むことや学会に所属することは、教師たちをその分野の発展に遅れないようにすることを助け、教育での共同体意識を促進することを助ける。しかしながら、教師としての資質の直接的な尺度ではかるのではなく、進路指導の段階では、その質問項目は彼らが教えた生徒の障害がさまざまに異なるので、多くの場合は不適切なものである。従ってこの要因の分析は除外されている。

教師が様々なクラスの実践したことへの多くの回答は、読みを教えたり、行動を操作したり、統合を促進する尺度に組み込まれている。平均して、障害児教育の教師の報告は、3つのすべてのカテゴリー(例えば読みを教えること、行動を操作すること、統合を促進すること)を適切にとらえている。

「個々の障害者教育に関するニーズ(SPeNSE)」教室での実践のスケールに包含される個々の質問項目の多くは、生徒の学力に関連することが証明された。例えば、読みのスケールはしばしば教師が生徒に発音又は音素に関するスキル、系統的な語彙の学習の実践、学習のスタイルやテキストの構成、読んだことの要約や声を出して読むことをたずねた質問を含んでいる。以前の調査は。一貫してこれらの実践と読みの学力の進歩とを関連付けている(Pressly et al.,1998; U.S.Department of Health and Human Services,2000)。

望ましい行動への支援、我々が使っている“不適切な行動を減らしたり、適切な行動を教えたり、好結果のために必要な文脈上の補助を与えたりする長期的な方略”(Warger,1999, p.1)は、問題行動の減少、教育時間の増加、学力を高めることと関連付けられている(Pressly et al., 1998; Sugai & Horner,2001)。行動を操作するスケールの最も良い実践に包含されている多くの項目は、ソーシャルスキルを教えることを含み、明白に社会に適切な行動と認められているものを使い、クラスでタイムアウトを与え、機能的な行動のアセスメント行っている肯定的な行動の支援の調査と関連付けられている。

クラスで、障害のある生徒とない生徒を共に学ばせる目的は、非常に社会的であり、機能的であり、同様に学習的でもある。障害児教育と普通教育の教師がクラスでお互いに教えあい、共に学ぶモデルの使用と、低学力の生徒の学問的な学力やソーシャルスキルを高めることとは、関連している。しかしながら、たいていの統合教育の文献では、統合された学校やクラスで障害児教育を実践された生徒との関連付けをしていない。結果として、生徒の学力と統合教育の最も実践的なスケールの特別なニーズの項目との関係は、根拠が弱い。

---集約的な教師の資質測定尺度---

SPeNSEの研究者が第1の因子(経験、責任、自己効力感、専門性、教室での実践で選ばれたもの)から分析した結果、第2の因子に言及している。教師の資質の一つの尺度を得る試みは、一つの教師の資質を特定することに関連している。すべての教師の資質において、専門的職業意識は、教育者の中での姿勢としての違い、専門的な同一性、教えることの責任、または生涯学習に対する方向性と似ている。

SPeNSEの因子分析から得られた専門性は、MurnaneやRaizenによって述べられた専門的な教師の概念とやや似たものである。彼ら専門性を持った教師は、問題の原因についての知識があり、知的な好奇心が強く、生徒に最も利益のある教育課程に変更することができ、同時に生涯学習者でもある。MurnaneやRaizenらはまた、教師は学会活動に参加し、専門性を持った教師としての適切な実践の出版活動にも活発であることに言及している(Marnane & Raizen,1988)。

SPeNSEは、障害児教育の典型的な教師は、専門誌を定期的に購読し、専門的な学会に所属していることを指摘している。教師の専門的な実践は、SPeNSEにおいて強い因子として現れているにもかかわらず、調査では専門誌を購読し、専門的な学会に所属している教師の下で指導される生徒は、高い学力を有するという事実を支持したり追認したりしていない。

要因5 教室での実践の選択

教室での実践は、教師の資質の基礎である。なぜならば、教師と生徒の相互作用は生徒の学力を開発する興味の達成に直接影響するからである。経過−結果の調査は、特殊な指導実践が生徒の学力に関係があることを示した(Pressly,Wharton-McDonald, Allington,Block,& Morrow,1998; Wenglinsky,2000)。しかし、特別な実践はまた、教師の資質を示すには限界があるかもしれない。なぜなら、良い指導法は様々な種類の方略を使うことを必要とし、教育上の脈絡という状況に依存するからである(Murnane & Raizen,1988)。これは柔軟で個に応じた教育が特に重要な障害児教育においては、とりわけ真実だと考えられる。

SPeNSEは、クラスの実践を直接的な観察したものではない。むしろ、それは様々なクラスでの実践からの自己報告に依拠している。SPeNSEは、読みの指導、行動の操作、進路指導、英語学習(ELLS)の指導、そして統合教育の促進という5つの分野に特定し、注目してきた。英語学習の指導とその環境の改善と専門性は、主たる重要な要因であり、それに自己効力感の影響が続いている。5つの教師の資質の要因のそれぞれが示唆している結果は、教師の資質のすべての尺度の重要な成分であり、教師の資質に関する継続的な研究の必要性を示唆している。

SPeNSEの分析は、様々な因子からなる尺度によって、州、地域、学校にまたがって教師の高い資質を測定することの重要を指摘している。SPeNSEはまた、自己効力感、あるいは生涯学習に対する方向性などについての教師の態度が、教師の資質における調査の重要な事柄であるかもしれないことも示唆している。特に、教師の専門性の因子に関する分析に関しては、その構成要素や教師の資質と生徒の学力の関係を決定するために、なお一層の研究が必要である。生徒の学力と関連する教師の態度が、教師の人格として比較的安定さに関連しているかどうか、それは大学での教師養成過程で植え付けられたものかどうかを特定することも大事である。もしそうならば、どのようにしたらそれが実現できるかを示唆している。

次のステップ:生徒の学力データを活用するモデルの試行

OSEPは、このモジュールで述べられている教師の資質のモデルの妥当性を試すユニークな機会に恵まれている。障害児教育初等長期学習研究(SEELS)は、連邦教育省と契約しているSRIインターナショナルによって導入された。障害のある生徒のデータには、生徒の学力や国語指導における教師の特徴が含まれているのだが、全国的な傾向を代表するデータとして扱われるだろう。SPeNSEやSEELSからのデータの総合的な分析を通して、研究者らは障害のある生徒の学力に及ぼす教師の影響をさらに追求することが期待されている。

研究者らは。生徒の学力と他の知見(例えば、親の教育、家族の収入、学校の規模)の関係をコントロールすることを通して、経験年数、地位の証明、教育歴、自己効力感、読みの指導の実践、生徒の学力、教師の特徴との関係を探求する様々なモデルを開発するはずである。さまざまな異なるモデルも開発されるであろう。そのいくつかは、これまで明確にされてきたが、個々の教師の特徴を含むものとなるだろう。また別な可能性としては、教師のもろもろの特徴を単一の変数に集約した教師の資質モデルとなるかもしれない。

学校や地域で求められる障害児教育の教師の資質は、多くの変数に影響される。これらの変数は、教師教育プログラムから得られたものであり、将来の教室での指導に必要なスキル、学校管理者として識見の養成につながる。さらに、この教師養成は、個人的な方策や高い資質を持つスタッフを確保すること、教師の専門的スキルの育成を展開すること、教室指導や学習プロセスを促進する環境の改善などにつながる。これらの影響はまた、全米の教師のキャリアの選択など資質の向上にさまざまに及ぶと考えられる。もし、教師の給料が他の職業より劣るならば、才能ある大人は他の職業を選択するかもしれないし、経験豊富な教師は、他の分野で高給を得れるならば、その職を辞めるかもしれない。

教師養成プログラムを担当する地方、州、連邦政府の政策担当者や行政官は、今後、財政面や人的資源の分配などにおいて困難な選択を余儀なくされるに違いない。方策や実践におけるいかなる変化が、障害児教育において教師の資質を開発するのに効果があるのかを究明することは重要である。もし、SEELSによってSPeNSEの教師の資質が確認されるならば、研究者は教師の高い資質は、教師の待遇や経験がいかにあるべきかを究明することが期待される。そうした研究は、教師の資質、待遇、補完的な報酬、教師養成プログラムの特徴と教師の資質との関連など、さまざまな話題を提供してくれるに違いない。


要約

最初のSPeNSE因子分析は、教師の経験、資格、自己効力感、専門的技術をテストし、そうしたテストは教室での実践で行われた。研究者は、教師経験が最初の分析において高い負荷を持つ最も強い因子であることを特定した。さらに、第二段階の因子分析によって、教師の資質における単一の集約された因子の発見に努めた。その過程で、教師の専門性が最も重要であり、続いて自己効力感が重要な因子であることが指摘された。他の3つの因子としては、類似した負荷因子を持つことが明らかになった。以上の結果は、5つの教師の資質が教師の資質を特定するうえで、重要な構成要素であることを示している。

教師の資質を測定するためにSPeNSEのデータを使う試みは、いくつかの制約もある。しかし、これらの探索的分析は障害児教育の教師の資質を測定する最初のステップとして重要だと考えられる。将来的なSPeNSEの教師の資質のモデルの妥当性を試し、教師の特徴が障害を持つ生徒の学力にどのように影響するのかに新しい焦点をあてることが必要である。

  参考サイト:

アメリカ連邦教育省
 http://www.ed.gov/index.jhtml
アメリカ連邦教育省障害者教育・リハビリテーション局プログラム
 http://www.ed.gov/about/offices/list/osers/index.html
障害児の親の教育参加権に関する歴史的研究─全障害児教育法の成立過程を通して─
 http://www002.upp.so-net.ne.jp/owl-box/article/syuron1.html

過去の報告書:
2001年アメリカ合衆国個別障害者教育法(IDEA)第23回議会報告書
2000年アメリカ合衆国個別障害者教育法(IDEA)第22回議会報告書
1999年アメリカ合衆国個別障害者教育法(IDEA)第21回議会報告書
1998年アメリカ合衆国個別障害者教育法(IDEA)第20回議会報告書