2003年5月会報 No.148
contents


■特記ニュースから

●第五集-「MES自作教材CD-ROM2003」を刊行しました。
◎「MES自作教材CD-ROM2003」に収録された自作教材は教育目的・非商用という条件で配布を行っております。本CDはMES障害者とコンピュータ利用教育研究会の研究紀要とご理解下さい。収録された教材の著作権はソフトの作者およびリソースの著作権者に帰属します。説明文で改造自由としているものほかは、無断で改造することはできません。また、研究発表会や公開授業など公の場で使用する場合、印刷物として配布する場合、データベースに収録したものを公開する場合は、必ず事前に著作権者までご連絡ください。

◎CD-ROMは書き込みができません。そのためデータの書き込みが必要な教材はそのままでは完全に動作しません。ハードディスクにコピーしてお使い下さい。
◎「MES自作教材CD-ROM2003」はMacOS9以上あるいはWindows98以上でのご使用をお薦めします。もちろん最新のMacOSXやWindowsXPでも動作いたします。また、それ以前のシステムでも動作するものもあります。詳しくはそれぞれの教材に添付されたテキストをご覧ください。
◎使用場所によってパソコンの環境は様々です。入出力装置はもとより、ユーザーの好みでシステムも自由にカスタマイズできます。そのため、収録されたソフトが全てのユーザー環境で動作することはお約束できません。どうかご了承ください。あくまで、教育現場で実践されたソフトを集めた教材集CD-ROMであるとご理解ください。
◎「MES自作教材CD-ROM2003」に収録された自作教材はCodeWarriorやVisualBasicで作られたアプリケーション、HyperCardやMacromediaDirector、MacromediaFlash、Fillyといったマルチメディアツールで作られたもの、FileMakerProなどのデータベースソフトのマクロ、あるいは、HTMLで書かれたHyperTextと様々です。この中必ずしも教材とは言えないものも含んでおりますが、子どもたちの学習環境を楽しくするものとしてご利用いただけたら幸いです。
◎「MES自作教材CD-ROM2003」に収録された自作教材は作者ごとに分類しています。「教材カテゴリごとに分類してほしい」という意見も承っていますが、教材の著作者を大切にする観点から、MES自作教材CD-ROMは作者ごとの分類を続けてきました。それぞれの教材には作者の思いが込められています。教材名と作者名を記した「教材説明.txt」をご覧になり、必要な教材をお手持ちのパソコンにコピーしてお使い下さい。また、気に入った教材については、ぜひ作者に感想をお伝え下さい。皆様の声が、教材づくりの励みとなります。
◎「MES自作教材CD-ROM2003」に収録された自作教材は教育目的・非売品ですが、CD制作費や送料などの実費がかります。申し込みはE-mailかFaxで以下までお願いいたします。公務にさしさわりがありますので、電話でのお問い合わせはご遠慮下さい。

 ★MES障害者とコンピュータ利用教育研究会についてのお問い合わせ
  〒673-1421  兵庫県加東郡社町山国2007 兵庫教育大学学校教育研究センター 成田 滋
  Fax 0795-40-2205 naritas@ceser.hyogo-u.ac.jp MGH00175@nifty.com
 ★「MES自作教材CD-ROM」についてのお問い合わせ
  〒239-0831  神奈川県横須賀市久里浜6-11-3-3-105 大杉成喜 気付
    「MES自作教材CD-ROM」編集部
      oosugi@nise.go.jp         HGA01651@nifty.com
 ◎ジャケットのデザイン

 
●名古屋市が人材派遣会社に小中学校に障害持つ子供の介助者を委託

 人材派遣業「ピープルスタッフ」(本社・愛知県名古屋市)は、5月から名古屋市立小中学校を対象に、学校生活で介助が必要な児童・生徒を手助けする「学校生活介助アシスタント」の派遣事業を始める。同市教委の委託を受けて実施する。民間企業の参入は全国で初めてという。
 介助対象となるのは、障害を持ちながら普通学級に通う児童生徒で、現在約100人いるという。保護者が病気などで一時的に学校での介助が困難になった場合、保護者と学校長が市教委を通じ、ピープルスタッフに介助アシスタントの派遣を要請する。介助アシスタントの仕事内容は、学校内の移動、着替え、食事の手伝いなど。派遣日数は原則年間60日以内で、派遣実績に応じ、市側がピープルスタッフに委託料を支払う。
 市教委によると、学校での介助業務は、横浜、川崎市などで臨時職員を使って実施した例がある。市教委は「派遣業者でも対応が可能で、(臨時職員雇用に比べ)コストも安い」との理由で、入札で業者を募集、ピープルスタッフに決まった。
   
●コメント-名古屋市の人材派遣
 高木浩三 大阪府立寝屋川養護学校 takakiko@zb3.so-net.ne.jp
 私のところは朝日新聞ですが、2年ほど前に大阪版で守口市在住の家庭に家庭教師を派遣していますとの記事があったような気がします。ある大手の教室では、障害者も受け入れて指導しているようですが、家庭教師の派遣会社もシェアの開拓分野として乗り出したのかなとの印象を記事を読んで受けました。
 学校教育が全てではなくなってきている現代において(フリースクールを含め)色々な教育を受けるあり方があってもいいように考えます。また、もしかしたら学校より有能な人材の派遣や人材の教育を受けた家庭教師が派遣されるかもしれません。ただ、個人の負担が多く限られた人になるかもしれませんが・・・。

●山梨県立盲学校の指導で弱視学級開設
 甲府市下飯田にある県立盲学校との連携で、県内の公立小学校3校に弱視学級が開設されます。昨年5月の学校教育法改正で障害のある児童・生徒の普通学校への就学基準が緩和されたためで、盲学校では各学校に教室内の設備や授業法を指導するほか、文字を拡大した教科書などの提供で支援する方針です。
関連リンク http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/05/20030403wm02.htm

●中教審が教育基本法見直しを答申
 中央教育審議会(鳥居泰彦会長)は3月20日、教育基本法の全見直しを求める答申をまとめ、遠山敦子文科相に提出した。「21世紀を切り拓く心豊かでたくましい日本人の育成を目指す」観点から、新たに追加すべき教育の基本理念として、「社会の形成に主体的に参画する『公共』の精神、道徳心、自律心の涵養」「日本の伝統・文化の尊重、郷土や国を愛する心と国際社会の一員としての意識の涵養」など8項目を挙げた。文科省は今国会への提出を目指し、与党と協議しながら改正案を作成する。
 ◆関連ホームページ◆
☆文部科学省・新しい時代にふさわしい教育基本法と教育振興基本計画の在り方について(答申概要)
 http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo0/toushin/030302.htm
☆文部科学省・新しい時代にふさわしい教育基本法と教育振興基本計画の在り方について(答申)
 http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo0/toushin/030301.htm

●今後の特別支援教育の在り方について(最終報告)のポイント
特別支援教育の在り方に関する調査研究協力者会議
 http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chousa/shotou/018/toushin/030301.htm
 近年の障害のある児童生徒の教育をめぐる諸情勢の変化等を踏まえて、今後の特別支援教育の在り方について、平成13年秋に調査研究協力者会議を設置して検討を行ってきたところであるが、同会議ではこれまでの調査審議を踏まえ最終報告をとりまとめた(平成15年3月)。そのポイントは以下のとおりである。
 
1. 現状認識
    特殊教育諸学校(盲・聾・養護学校)若しくは特殊学級に在籍する又は通級による指導を受ける児童生徒の比率は近年増加しており、義務教育段階に占める比率は平成5年度0.965%、平成14年度1.477%となっている(平成2年度より減少傾向から増加傾向に転換)。
   重度・重複障害のある児童生徒が増加するとともに、LD、ADHD等通常の学級等において指導が行われている児童生徒への対応も課題になるなど、障害のある児童生徒の教育について対象児童生徒数の量的な拡大傾向、対象となる障害種の多様化による質的な複雑化も進行。
   特殊教育教諭免許状保有率が特殊教育諸学校の教員の半数程度であるなど専門性が不十分な状況。また、専門性の向上のためには、個々の教員の専門性の確保はもちろん障害の多様化の実態に対応して幅広い分野の専門家の活用や関連部局間及び機関間の連携が不可欠。
   教育の方法論として、障害のある児童生徒一人一人の教育的ニーズを専門家や保護者の意見を基に正確に把握して、自立や社会参加を支援するという考え方への転換が求められている。
   近年の厳しい財政事情等を踏まえ、既存の人的・物的資源の配分について見直しを行いつつ、また、地方分権にも十分配慮して、新たな体制・システムの構築を図ることが必要。

2. 基本的方向と取組
   障害の程度等に応じ特別の場で指導を行う「特殊教育」から障害のある児童生徒一人一人の教育的ニーズに応じて適切な教育的支援を行う「特別支援教育」への転換を図る
  (1) 特別支援教育の在り方の基本的考え方
 【特別支援教育】   特別支援教育とは、従来の特殊教育の対象の障害だけでなく、LD、ADHD、高機能自閉症を含めて障害のある児童生徒の自立や社会参加に向けて、その一人一人の教育的ニーズを把握して、その持てる力を高め、生活や学習上の困難を改善又は克服するために、適切な教育や指導を通じて必要な支援を行うものである。
 
「個別の教育支援計画」(多様なニーズに適切に対応する仕組み)
 障害のある子どもを生涯にわたって支援する観点から、一人一人のニーズを把握して、関係者・機関の連携による適切な教育的支援を効果的に行うために、教育上の指導や支援を内容とする「個別の教育支援計画」の策定、実施、評価(「Plan-Do-See」のプロセス)が重要。
   特別支援教育コーディネーター(教育的支援を行う人・機関を連絡調整するキーパーソン)
  学内、または、福祉・医療等の関係機関との間の連絡調整役として、あるいは、保護者に対する学校の窓口の役割を担う者として学校に置くことにより、教育的支援を行う人、機関との連携協力の強化が重要。
   広域特別支援連携協議会等(質の高い教育支援を支えるネットワーク)
  地域における総合的な教育的支援のために有効な教育、福祉、医療等の関係機関の連携協力を確保するための仕組みで、都道府県行政レベルで部局横断型の組織を設け、各地域の連携協力体制を支援すること等が考えられる。

(2) 特別支援教育を推進する上での学校の在り方
  盲・聾・養護学校から特別支援学校へ
  障害の重複化や多様化を踏まえ、障害種にとらわれない学校設置を制度上可能にするとともに、地域において小・中学校等に対する教育上の支援(教員、保護者に対する相談支援など)をこれまで以上に重視し、地域の特別支援教育のセンター的役割を担う学校として「特別支援学校(仮称)」の制度に改めることについて、法律改正を含めた具体的な検討が必要。
 小・中学校における特殊学級から学校としての全体的・総合的な対応へ
  LD、ADHD等を含めすべての障害のある子どもについて教育的支援の目標や基本的な内容等からなる「個別の教育支援計画」を策定すること、すべての学校に特別支援教育コーディネーターを置くことの必要性とともに、特殊学級や通級による指導の制度を、通常の学級に在籍した上での必要な時間のみ「特別支援教室(仮称)」の場で特別の指導を受けることを可能とする制度に一本化するための具体的な検討が必要。

(3) 特別支援教育体制を支える専門性の強化
 ・国立特殊教育総合研究所、国立久里浜養護学校のほか、研究実績の豊富な大学等が密接に連携協力することにより、専門性の高い総合的な特別支援教育体制の構築を図ることが重要である。
・同研究所は、企画調整機能を強化し、より効果的・効率的な研究・研修推進体制を構築。
・同養護学校は、近年課題となっている自閉症の教育研究を行う学校として基礎的な研究を含め総合的な取組のため、大学の附属学校となり、その機能が最大限に発揮されることが期待。
・なお、特殊教育教諭免許状については、障害の重度・重複化や多様化を踏まえ、総合化など制度の改善が期待。

●不登校対策「待つ」から「働きかけ」へ
 文部科学省の「不登校問題に関する調査研究協力者会議」は4月11日、最終報告をまとめた。子どもを見守る姿勢を打ち出した前回報告(1992年)から軸足を移し、「自分の力で立ち直るのをただ待つだけでは改善にならない」と働きかけの大切さを訴えた。教育委員会が学校復帰を目指して設けている適応指導教室の充実や、実績のある民間施設との連携も提言した。報告は今後の不登校施策の指針となる。文科省は同教室を地域の核として、学校や児童相談所などとネットワークをつくる事業をさらに進める。年度内に学校用の指導の手引きをつくる計画である。
 1992年の報告は「登校への促しは状況を悪化させてしまうこともある」などと述べていた。今回の報告はその記述に触れ、「誤った理解をし、働きかけを一切せずに時機を失ってしまう場合がある」と指摘した。具体策としては、同教室の指導員の約8割が非常勤である点を指摘、常勤を配置するよう提言した。また、同教室や学校がフリースクールなどの民間施設の情報を提供し、民間と共同で事例検討会を開き、指導計画をつくるよう促した。適応指導教室の「適応」という言葉が、学校への適応ばかり求めるかのような誤解を生むとして、「教育支援センター」と呼ぶことも提案。通えない子には、教育学を学ぶ大学生らが訪問することも提言した。学校に対しては、担任が一人で抱え込まないよう管理職や養護教諭らも含めたチームをつくり、かなめの担当教員を決めることや、個別の指導記録をつくることを求めた。

●障害児遠距離通学の負担軽減で開校(宮城)
 県立角田養護学校の白石校が十日、白石市立白石二小に開校した。県の障害児地域教育充実事業第一号で、遠距離通学の負担軽減を図る。白石二小の空き教室を使い、角田市にある角田養護学校小学部に通学していた白石市、蔵王、七ヶ宿両町在住の児童九人が通学する。
http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/06/20030411wm05.htm


■近況や報告
●チャレンジキッズ研究会2003 報告
 報告:井上久美 大阪府立交野養護学校 inokumi@rr.iij4u.or.jp

 2003年3月29日(土)13:00から、30日(日)11:00にかけて、滋賀大学教育学部附属養護学校において、チャレンジキッズ研究会2003が行われました。主催はチャレンジキッズ研究会、共催はMES(障害者とコンピュータ利用教育研究会)、CCN和歌山「和歌山障害者とコンピュータ・ネットワーク利用研究会」、大阪養護教育コンピュータ研究会(大コン)、マジカル・トイボックスで行われました。協力は、(株)富士通、(株)アップルコンピュータ、(有)キットカットでした。
 今回の研究会では、「特別支援教育とICT (Information and Communication Technology) 活用」をテーマとして、1発表15分で、17にのぼる研究実践や自作ソフトの紹介発表が行われました。
 13:00より、滋賀大学教育学部附属養護学校において、佐原先生の司会で第一部の発表がスタートしました。まず最初に、滋賀大学教育学部附属養護学校の片岡副校長先生より、「全国各地から集まった人たちと貴重な時間を有意義に過ごせるように」とのご挨拶をいただきました。次に研究会開催にあたって、滋賀大学教育学部附属養護学校の太田先生より、会の流れの説明がありました。今回は、山形大学教育学部附属養護学校とテレビ会議で生中継のため、会場の前スクリーンは発表用、後スクリーンはテレビ会議用で山形大附属の参加者の様子が映し出されていました。太田先生の「山形聞こえますか〜?」の質問に、山形から「OK!」と返事があり、テレビ会議での中継も順調にスタートしました。

(1) 和歌山大学教育学部附属養護学校の小栗さん、CCN和歌山のみなさんの「みんなつながっていこう!」では、地域における障害児を取りまくネットワークづくりとして、ATACへの参加、保護者も参加の夏合宿、産官学研究会の活動の紹介がありました。また、3年に及び継続されているMLでは、2000件以上のやりとりが行われているとのことでした。ユーモア溢れる地域性をアピールした和歌山ラーメンの紹介もありました。

(2) 愛媛大学教育学部附属養護学校の高市さん、チャレンジいよかんのみなさんの「チャレンジいよかん」の活動紹介では、附属養護学校と愛媛県内の特学担任のネット上での情報交換、またMLでのやり取りの中で声の上がった宿泊研修の取り組みが報告されました。研修の内容には、チャットの体験や先生たちの得意分野を生かした実技研修の他、附属養護の先生を講師にWISCの研修や教材研究、薫製作り等が行われたとのことでした。さらにMLでは1年半の間に1130件のメールが交換され、300の書き込みに800の返信があり、部屋の中で先生同士のやりとりが行われ、「チャレンジいよかん」が先生たちがつながるための有効な手段となっているとの報告でした。

(3) 山形大学教育学部附属養護学校の荒井さんの「知的障害者の地域生活支援のためのネットワーク活用」ではテレビ会議でチャレンジZAOUの活動紹介が行われました。まずチャレンジZAOUのチャレンジキッズ参加への経緯について、続いて山形でのローカル展開について、作業所、関係諸機関、学校、保護者参加による月1回の進路指導会や地域生活支援セミナーinやまがたの説明がありました。また進路関係の情報や卒業生のアフターフォローのためのやまがたWeネットの活動報告がなされました。

(4) 甲西町発達支援センターの西谷さんの「地域の療育、保育園・幼稚園、小学校・中学校・養護学校・自治体をつなぐ甲西町発達支援システムとイントラネット」では甲西町に住む障害のある子どもを、乳幼児期から就労後も支援して行くための発達支援室のたちあげと支援システムについて報告されました。長年の準備と温め期間を経て、平成14年度から本格的にスタートしたとのことです。発達支援室たちあげに甲西町町民の13000人の署名集めをされたそうです。ひとり1人のIEP作成のための情報交換が、発達支援室のイントラネットサーバを中心に各係各課の担当者によって綿密に行われているようでした。詳しくは『発達の遅れと教育9月号』に掲載されています。

(5) 富士通(株)の伊藤さんの「障害児者用メールブラウザソフトの紹介」では、ふりがな、分かち書き、読み上げ、オートスキャン機能等を備えた「らくらくメール」「らくらくブラウザ」の紹介が行われました。6校の養護学校で試用中で、先生や生徒から、意欲的に情報検索しているとの感想があがっているようです。

(6) 大阪府高槻市立養護学校の田村さんの「居住地校交流について」では、30年間続けられている居住地校交流の定義や高槻市立養護の居住地校交流について説明された。学校にとっては30年続けられて来ている交流であっても、子どもたちにとっては、いつもゼロからのスタートであることを認識し、個々のねらいと全体のねらいを鑑みつつ、各学校、保護者、地域が共に作り上げる交流活動としていきたいとのことでした。詳しくは学校ホームページを参照下さい。

(7) 和歌山大学教育学部附属養護学校の岡さんの「自閉症児のコミュニケーション能力を育む〜AAC支援を通して〜」では、子どもが自分で判断して自立する力をつけることを目的とした活動についての報告でした。スケジュールの自己管理、手順の支援、タイムログの支援の紹介、また小学部から高等部まで共通で使用しているPCSシンボルや和歌山のサンタ社のVOCAの紹介が行われました。学校から地域へコンテンツとアイデアを発信して行きたいとのことでした。

(8) 滋賀県立野州町立野州小学校の細谷さんの「障害児学級でのコミュニケーション支援の実践」では、肢体不自由、病弱、情緒障害、難聴、知的障害の10名の生徒たちの活動場所の整備と、活動内容の提示方法をPIC、写真、実物、手話を用いてやりとりすることで、子どもたちの生活や行動が落ち着いて来たことなどが報告されました。また、特学担当者は障害児教育に明るくない人も少なくないので、養護学校の実践を分かりやすく特学担当者に流してもらえれば、とのことでした。

(9) 滋賀県米原町立醒井小学校の阿部さんの「小学校障害児学級の総合学習」では、事前が句集をし、自分の足で興味のあるものを見つけ、デジカメで撮影し、原稿を書く活動を通して学校新聞を作成した活動について報告されました。パソコンを使っての作業では、写真を見ることで調べたことを思い出しやすかったり、記事の修正が容易であることから生徒は意欲的に活動を持続することができたとのことでした。

(10) 兵庫教育大学大学院成田研究室の浦さんの「子どもたちの学びを記録し、共有・再利用する取り組み〜ポートフォリオの活用」では、総合的な学習の授業を評価する手だてとしてデジタルポートフォリオソフトの使い方の説明が行われました。評価をする上での規準と基準の違いの説明がありました。また今後は授業だけでなく、学校のコンピュータ整備状況と併せて家庭との情報共有のための在り方を検討して行きたいとのことでした。

(11) 兵庫教育大学大学院成田研究室の藤本さんの「教師と保護者の期待に応える養護学校のセンター的役割に関する分析と提案」では、これからの養護学校の地域のセンター的役割について兵庫県加西市の保護者と教師のニーズをアンケートとインタビューを通して調査し、分析されました。教師のニーズとしては研修の充実、情報提供、相談できる専門機関、専門家による生徒の実態把握があげられていました。また調査結果と考察から、将来の構想を提案され、今年の課題を大杉先生と約束されていました。

(12) 兵庫教育大学大学院成田研究室の名倉さんの「情報通信ネットワークを活用した中学生の障害者理解を深めるためのフォローアップシステムとコーディネート方法の検証」では、小学校時代を共に過ごしたクラスの健常児たちと1名の障害児の交流を卒業後も継続していく方法として対面、同期、非同期の形で交流を行うことで、子どもたちの障害者理解の深まりを分析していくとの計画が説明されました。

(13) 和歌山大学システム工学部で知識工学を専攻している学部4年生の小川さんの「自閉症児を対象としたデジタルコンテンツオーサリングシステムの設計」では、生徒個々の学習状態に適合したデジタルコンテンツを作成するために、学習者の言語認知スキル、数認知スキル、マッチングスキルのそれぞれの段階およびコンテンツから教材を選択し、学習者のデータを入力、学習内容のデータを入力して行く方法について説明されました。入力装置にはポンポンランドのスイッチを用いているとのことでした。今後は教師用に編集可能なソフトの開発を進めて行きたいとのことでした。

(14) 香川県立高松養護学校の内園先生の「自作オートスキャンパネルソフト」では、音声とともに画面上で、聴きたい音楽を選んだり、食べたいものを選んだりする提示方法の提案について報告されました。独特のお話ぶりとユニークなソフトに笑いが絶えませんでした。


(15) 佐賀県の養護学校の酒村さんは、障害のある人たちと一緒に劇やダンスをする活動をされている報告が行われました。佐賀では芸術活動のフェスティバルを行う事業が盛んであり、実際に会場へ足を運べない人たちのために、ステージ、ワークショップ、ギャラリーの他にネットシアターやネットギャラリーの活動を支援しているとのことでした。
(16) MES関東の佐原さんの「ねずみくんのクリック」では、USBのスイッチインターフェースがない現状から、「ねずみくんのクリック」を作成、さらに現場からのフィードバックとしてワンスイッチでできるソフトをターゲットとしたこと等、独特の話術で説明が行われました。

(17) MES事務局(独立行政法人国立特殊教育総合研究所の)大杉さんの「MES自作教材集CD-ROM2003の紹介」では、今回で6集目となるCDの紹介がなされました。実際にはCDの中の『アルファベットあそびうた』のデモが行われ、「ひらがなあそびうた」を良く知るユーザーから笑いが出ていました。同時に3月28日に出た『今後の特別支援教育の在り方にについて(最終報告)』も触れられ、特別支援学校、学級の在り方、養護学校のセンター化、甲西町の取り組み等についてもお話がありました。

 以上17の発表は17時過ぎに終わり、第1部はテレビ会議での山形からのコメントで終了しました。テレビ会議で参加した感想として、『1人ずつの教材やアイデアがこのような研究会で一緒にできるのは素晴らしい。山形でも小さい研究会を始めたいと思う。各地のみなさんの活動に圧倒された。テレビ会議で関西と山形がとても近く感じた。』などなど、楽しんで参加された様子が伝わってくるものがあげられました。

 第一部の終了後、にじの家へ移動し、参加者の中の選りすぐりのシェフたちが新鮮な食材とお料理を提供して下さり、大感謝の夕食でした。各地の実践についてさらに話し合いを深めたり、情報交換をしたり、生き生きとした会話に満ちあふれた夕食会でした。夜中の1時過ぎにチャーハンが出来上がり、VOCAで「チャーハンができました」と起こされたというめずらしい体験をされた先生もおられたようでした。事前からの準備と調理に夜中まで腕を振るって下さった先生方、ほんとうにありがとうございました。

 二日目の朝も前日に引き続きシェフによるたいへん美味なキムチ雑炊と、買い出しに行って下さったパンとジュースでの朝食をいただいた後、研究会の感想を参加者全員から出してもらい、二日目終了となりました。参加者の多くから、こんなに良い会があるとは知らなかった、来て良かった、来年もまた来たい、という声が聞かれました。それぞれの参加者が、この会での人と人との温かいつながりを大切にして、各地での活動を元気にがんばろう!と思われたのではないかと思います。年度末のお忙しい中、素敵な研究会を準備して下さった滋賀大学教育学部附属養護学校の太田先生をはじめ、運営、発表、参加された方々と共に充実した時間を過ごさせていただいたことに感謝したいと思います。どうもありがとうございました。

●チャレンジキッズ研究会に参加して
   田村真一 高槻市立養護学校 tamura@fb3.so-net.ne.jp
 チャレンジキッズ研究会に参加してきました。なかなか面白かったです。MES自作教材CD-ROM2003のお披露目もありました。他、いろんな自作ソフトやいろんなIT活用etcなど、HumHumって感じ。あと、夜のセッションも。何よりも、人とのつながりが増えることが楽しいですね。メールでしか知らなかった人と実際に会えるのもあり、これから文字を見て顔が浮かぶってよさ(第一回研究会の小野先生の話の中にもありましたね)ってのもありますね。報告は、次回府養研ニュースにのる予定。(またもや他の人に頼んでしまう、このあつかましさですので)
もうひとつ、富士通の伊藤さんから、らくらくプラウザの試作品(?)のデモがありました。やはり、IEやネットスケープなどに比べて子どもたちには使いやすいと思います。あと改良を加えて、10ごろ発売予定だそうです。9500円の予定だとか。全部のパソコンに入れる予算措置は難しいとは思いますが、使ってみたいソフトのひとつです。らくらくメールは、高槻市はセンターの回線では子どもはメールができないことになっているので、公式には使えないのですが、プラウザなら問題はないですしね。
 さて、表題のMSE自作教材CD-ROM2003ですが、田村が、100枚預かってきました。一枚2000円です。注文を受けて郵送って手もないとは思わないのですが、ちょっとお金の受け渡しとか、作業とか、のこともあって、別の方法を考えたいなって思ってます。府養研総会や研究会のときとかに「販売」しますってアナウンスして、出られる方に頼んでもらうとか、支部とか市町村単位でまとめて、支部役員会議のときにお渡しするとか(お金もそのときにもらう)、ってのはどうだろうかと思っています。
 それと、プロジェクトのお披露目研究会を早い時期にもって、そのときに2000円で買ってもらい、このMLで使用報告や検討を行っていったり、どこかで発表会を持つ、ってのもいいかとも思ってます。共通ソフトで話ができますので。いかがでしょう。
 
●研修会に参加
 藤本久美子 加西市立加西養護学校 fujimoto907-406@river.sannet.ne.jp
 こんにちは。藤本です。先ほど浦さんや前田さんの 報告にありましたように滋賀大学の附属養護学校での発表が 無事に終わりました。いろいろな発表を聞くことができて楽しかったです。養護学校のセンター化については、思わぬ反響があり びっくりしました。以上、報告です。
 
●参加して
 浦 嘉太郎 堺市立金岡南中学校 ura@ac.wakwak.com
 今日は滋賀大附属のチャレンジキッズという催しに行って参りました。現地で,前田英さん,藤本さん,名倉さん,井上久美さん,西谷さんらとお会いしました。発表は順調でした。会は大変面白く,興味深い発表が多かったです。以上,ご報告いたします。


■皆さんからのお便り 
●智美さんの様子
 前田俊幸 龍野市 PXE00631@nifty.ne.jp
 智美さんの様子を興味深く拝見しました。哲也に初めて使わせた8ビットのマシンを思い出します。キーを押すと同じ文字がディスプレイにでるので彼はアルファベットの方をあいおえおより先に覚えてしまい、小学校に通いだすと職員室に行って先生のワープロをさわって[ABC・・・」とやるものですから、「この子はすごい!」と美しい誤解?を受け、一躍有名になりました。有名人というのはこういう場合、非常に有利です。「自閉症」という小学校にとってははじめての障害名を覚えてもらい、発達のアンバランスぶりを全職員にアピールしたわけです。当時の校長先生が私の恩師だったこともあり、「こういう子なんだ」とうけいれてもらいました。もちろん運動会や遠足という厳しいものもありましたが・・・ただ、奇妙に山の中では落ち着き、今の月1回の登山会につながっています。パソコンはキッドピクスで遊ぶことと、ワープロですね。大河ドラマと放映年度、主な配役はすべて頭の中に入っていて、順序よく書いていきます。生まれる前の「花の生涯」や「赤穂浪士」までなぜ出てくるのか・・・たぶん本で覚えたのでしょうが。
 最近のこととして、「あと何日」という概念が出てきたようです。今までは「きのう」「あす」「あさって」という具合に今日を原点にした感覚だったのですが時間的な原点の移動ができるようになったのだろうと思います。

●異動のお知らせ
 東みゆき 鹿児島大学教育学部附属養護学校 YHW01412@nifty.ne.jp
 こんばんは!ご無沙汰しています。この4月より,鹿児島大学教育学部附属養護学校へ異動となりました。出水養護学校には,新設時より3年間通いましたが,ほんとに,あっという間でした。やり残したことは山ほどあり,いよいよこれからと思っていましたが,異動の対象になりました。新転地で頑張りたいと思います。メールアドレスは変わりませんが,この際なのでADSLにしたいと思います(遅いですね!)。引っ越しもあるため,インターネットは4月の中旬からでないと使えないようです。とりあえず,お知らせまで。

●触発された研修会
 川村弘之 大阪教育大学教育学部附属養護学校 Kawahiro@cc.osaka-kyoiku.ac.jp
 MES自作CDのお披露目会というか、チャレンジキッズ研究会に川村も行って来ました。今、旬の話題がたくさん出ていて、とても触発されました。ホストの滋賀大附属の太田先生をはじめ、みなさまありがとうございました。自作cdもいよいよ6枚目です。今回はワンクリックで楽しめる教材が沢山はいっています。ことばあそびうたの英語版もありますよ。大コンのみなさん、田村先生が研究会に持ってこられたときは、どうぞお手にとってご覧下さい。
 
●IT教育状況
 森 雅巳 茨城県立結城養護学校 cbs32890@pop21.odn.ne.jp
 我が赴任校である結城養護学校のIT教育状況ですが、まず結論から申し上げると
1 検索学習を目的としたインターネット活用
2 市販教材のCD-ROMを使った学習
の2つがメインです。1については、小学部、中学部の生活単元学習、高等部の総合的な学習の時間などで活用されています。2については、国語、算数、あぞびの学習などで使われております。職員のニーズとしては、
・デジカメで撮影した画像を自分の好きなサイズにプリントアウトしたい、または撮影した画像入りの文書を作りたい
・スキャナーで身近な題材を取り込んで、教材を作成したい。
・デジカメ、スキャナーで身近な題材を画像化し、パワーポイントで教材を作成しい
の3つです。2003年を迎えましたが、IT教育の状況としては少し厳しいものです。また、新たに導入されるパソコンには、一太郎がプリインストゥールされておらず、OFFICEのみです。(結城養護学校は、一太郎がメイン)一太郎での情報交換が職員間でできず、ワード・エクセルの研修から始めなけれ ばなりません。新しいコンピュータ環境を期待していたのですが、前途は多難です。しかし、若い同僚もたくさんいますので、一つ一つ地道に解決していく覚悟です。以上、たいへん遅れましたが、現状を報告します。遅れて本当に申し訳ありませんでした。成田先生のご支援も近い将来受けられるよう頑張っていきます。よろしくお願いします。

●異動です。
 丹羽 登 大阪府教育委員会 nobchan.niwa@nifty.com
 こう書くことが出来るのも、あと残り40分ほどになりました。茨木養護学校で17年いたことになりますが、明日より府教委の障害教育課への勤務ということになりました。本研究会の会長も高等学校の方へ転出され、事務局体制のことについても未だけりがついていない段階での転勤です。最後の最後まで転勤が決まらないため、なかなか運営体制について話をすることが出来ませんでした。1昨年は、運営体制を決定したあとで、重要なお二人の転勤がありもう一度体制を確認することから始めたということがありましたので今年は、はっきりと分かってからしか動けないと言う制約があり困ってしまいました。運営体制については、運営委員会のMLの方に流させて頂きますが大コンの今後の活動について、積極的な意見を出して頂けたら幸いです。大コンの活動については、陰ながら応援させて頂くことになると思いますので、今後ともよろしくお願い致します。
 
●東京学芸大学大学院で研究です。
 金森克浩 都立光明養護学校 NAH00531@nifty.ne.jp
 このたび、東京都教育委員会からの派遣で光明養護学校を離れ、東京学芸大学教育学研究科障害児教育専攻修士課程で1年間の研修をすることとなりました。大学院ではこれまで実践してきたコミュニケーション、コンピュータ、AACをテーマとして研鑽に励みたいと思っております。みなさまには今後一層のご指導ご鞭撻を賜りますようお願い申し上げます。
 
■研究室訪問者
 パソコンバンク 前田俊幸さん
 
関連リンク
 ・障害者とコンピュータ利用教育研究会 ・パソコンバンクのページ
 ・障害者とコンピュータ利用教育研究会・九州
 ・成田研究室

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