本気になると世界が変わってくる,自分が変わってくる

Updated 10,Mar,1997

〜〜〜'97米国教育視察研修〜〜〜

障害児教育とマルチメディア/ネットワーク活用の視察の報告です。

 学校教育研究センターの成田滋教授を含む参加メンバー17名で米国のカリフォルニア州のSanta Clara市,Fremont市,Cuptertino市を中心に視察研修を実施しました。その概要を写真,参加者の感想を交えてご紹介させていただきます。

概要

行程

スナップ写真の数々

関連サイト

参加者のメーリングリスト

感想より

行程

2月8日(土)
出発(関西,成田空港)カリフォルニア州サンフランシスコ市着

9日(日)
休養,サンフランシスコ市観光

10日(月)
午前 パロアルト市に移動
午後 Santa Clara学校区視察
   Santa Clara High School guided by Ms Heidi Gou.
   Wilcox High School guided by Mr Wayne Iwasaki.
   Peterson Middle School.
   Cabrillo Middle School guided by Jack.
   Patrick Henry Training Center guided by Mr. Dan Steele.

11日(火)
午前 Fremont学校区視察
   Thornton Junior High School guided by Ms Laura Ashizawa.
午後 Fremont学校区視察
   Irvington Senior High School guided by Ms Laura Ashizawa.
   Web Master intensive technology training and staff development.

12日(水)
午前 Cuptertino学校区視察
   Cuptertino High School guided by Ms Laura Dominguez-Yon.
午後 Garden Gate Elementary School guided by Mr. Russ Ottey,
   Mr Harvey Barnett and Ms Susan Douglas.

13日(木)
午前 フリータイム
午後 アップル本社見学
   Apple Corporation guided by Ms.Lisa Nakamoto.
   Presentaion by Mr. Scott Ryder, Mr Shinichiro Hori, and
   Dr Alan Brightman.

14日(金)
アメリカ特殊教育児童協会(CEC)
テクノロジーメディア年次会議に参加(希望者)
フリータイム(希望者)

15日(土)
サンフランシスコ出発

16日(日) 
帰国 (関西、成田空港)


スナップ写真の数々

●アップル本社でのBrightman博士の講演

●中学校の先生が20年かけて作った自然観察園

●リソースルームの様子

●コンピュータ教育の様子


関連サイト

●Fremont Unified School District, Resurce Room Teacher,
   Ms Laura AshizawaさんのEメールアドレス:ashizawa@earthlink.net

●Santa Clara Unified School District, Technology Specialist,
   Ms Heidi GouさんのEメールアドレス:hgou@scu.k12.ca.us

●Apple Corporation guided by
   Ms.Lisa NakamotoさんのEメールアドレス:nakamoto.l@apple.com

●Cupertino Union School District, Coordinator of Public Services,
   Ms Susan DouglasさんのEメールアドレス:
    douglas_susan@cusd.cupertino.k12.ca.us

●Cuptertino High School Technology coordinator,
   Ms Laura Dominguez-YonさんのEメールアドレス:rhombus2@fuhsd.org

●German teacher,
   Robert Morrey, Ph.D. さんのEメールアドレス:ramorrey@fuhsd.org


参加者のメーリングリスト

成田 滋  兵庫教育大学 学校教育研究センター
   naritas@ceser.hyogo-u.ac.jp
栢木 隆太郎 大阪市立教育研究所
   VZZ06370@niftyserve.or.jp
中島 康明  大教大附属養護学校
   MHG03143@niftyserve.or.jp

小林 巌  東北大学院情報科学研究科
   iwan@dais.is.tohoku.ac.jp
吉利  宗久  鳴門教育大学障害児講座
   yoshitos@naruto-u.ac.jp
筱  更治  兵庫教育大学 生徒指導講座
   shino@edu.hyogo-u.ac.jp
三宅 泉   生徒指導講座
   miyake@mailshare.ceser.hyogo-u.ac.jp
村上 万里  生徒指導講座
   mumari@edu.hyogo-u.ac.jp
竹本 務  教育方法
   tutomu_t@mxa.meshnet.or.jp
小田 浩伸  障害児講座
   oda@mailshare.ceser.hyogo-u.ac.jp
阜  正是  障害児講座
     otaday@edu.hyogo-u.ac.jp
中尾 博  障害児講座
   nakao@mailshare.ceser.hyogo-u.ac.jp
小畑 勝嗣  障害児講座
   RXL11625@niftyserve.or.jp
高木 浩三  障害児講座
   takakiko@mailshare.ceser.hyogo-u.ac.jp
南  敦浩  障害児講座
   minamia@mailshare.ceser.hyogo-u.ac.jp
東  みゆき 障害児講座
   higashi@mailshare.ceser.hyogo-u.ac.jp
曽根 秀樹 障害児講座
   sohideki@edu.hyogo-u.ac.jp


感想より

■アメリカ研修参加の皆様 吉利宗久 鳴門教育大学 障害児教育専攻
 皆様、いかがお過ごしでしょうか?月日がたつのははやいもので帰国から約一週間が過ぎようとしております。
 皆様それぞれ以前の生活リズムに戻り、忙しい毎日を送っていることと思います。  さて、今回の研修についての諸先生方の感想メールいただきました。そこで、私も自分なりの感想を簡単に述べたいと思います。今回の研修は、私にとって大変意義ある研修であったと思っております。約2年半ぶりの渡米ということで、緊張もありましたが、米国の教育の現場を目の当たりにできたことは、大きな刺激となりました。特に、(成田先生もおっしゃっていらっしゃるように僅かな訪問、見学で「アメリカでは、、、」 ということは危険なことかも知れませんが)私にとっては、修士論文との関係において、全てが新しい発見で疲れながらも、学校訪問が楽しみでなりませんでした。(必ずしも十分とは言えないかも知れませんが)まさに、「百聞は一見に、、」で文献だけでは伝わってこないこともあったように思います。不可能なことかも知れませんが、まだまだ多くの見学をし、自分なりに 一つでも多くの発見、疑問を得ることができればと思いました。しかし、残念なこともありました。それは、皆様も感じていらっしゃるように語学力の未熟さでした。自分の意思を正確に伝えることができれば より意義のある研修になったかも知れません。今回の経験を機会により積極的に語学に取り組み次の機会に生かせることができればと思っております。
 最後になりましたが、他大学であることに加え、世間知らずの私を快く受け入れてくださいました成田先生をはじめ、諸先生方に心より感謝致します。これからも、末永いお付き合いよろしくお願い申し上げます。
 不十分な感想でしたが、今回はこれぐらいにさせていただきます。有り難うございました。

■お礼のメッセージ 栢木 隆太郎 大阪市教育センター
 1週間を振り返ってみますと、あっという間に過ぎてしまいました。こんなに時間の経過が早く感じられたことはありません。大変有意義な時間であったと思います。私なりの印象と感想を少し述べて見たいと思います。
 今回の研修では、米国での障害児教育の現状を自分の目で見ることを目的にしていました。IEPが作成されるプロセスについては、知っていましたので、具体的な指導場面を参観できることに、また、インクルージョンがどのようにおこなわれているのかが最大の関心事でありました。
 ガーデンゲート小学校では、IEPに即した指導が行われていることに感心いたしましたが、スピーチセラピストの指導では、対象児のレベルに最適かどうかは疑問を感じました。IEPに記述されている以外の指導法があるように思われましたが、契約された指導内容と異なる指導が難しい側面が伺われました。しかし、指導者の指導態度には多いに学ぶべき点があったように思います。専門職としてのプライドが感じられました。日本の教師(もちろん全てでありません)が学ぶべき点だと思います。
 インクルージョンについては子どもの評価をどのようにしているのかを尋ねることができませんでしたので、印象しか述べられませんが、大阪の現状と大きく異なるという感じはしませんでした。しかし、保護者や本人の意志が反映されている点では基本的に異なっているように思います。保護者や本人の意見表明に基づいている点に国状の違いが出ていると思います。
 いずれにしても、個の責任がいかにあるべきかが問われる国であることを強く感じました。その意味では、自分が日本の文化で育ったことを強烈に感じ、日人であることの良い点と学ぶべき点が少しは理解できたような気がします。  先生のご指摘のように、もっと対話能力があればより大きな収穫があったように思います。米国はより興味ぶかい国となりました。これを機に対話能力が少しでもみにつくようにがんばってみたいと思います。

■村上万里 兵庫教育大学 生徒指導講座
 今回、アメリカの学校教育の現状の見学から得た印象、感想、収穫を述べて、成田先生への感謝の気持ちを表わしたいのですが、あまりに多すぎてうまくまとまりません。思いつくままに列挙してみたいと思います。

1)アメリカにおける現在の学校教育の根本理念となっている、包括的な統合の雰囲気を実感できたこと。アメリカは日本のように文部省による上意下達の一局支配によって教育が行われている(最近それではいけない、もっと地方が主体的にやれ、と文部省自身が言っていますが)のではないので、州により、また学校区により、また学校それぞれよって、教育の具体的な表われ方は、まったく個別的なので、たった1回の経験で”アメリカでは、、、”などと一般化することはできませんが、その”半端ではない”決心といったものを目のあたりにした思いです。

2)教師の専門性と役割分担の在り方を考えさせられたこと。給与の問題や雇用の保証の問題など、厳しさはわれわれの想像以上だと思いますが、それにもかかわらず、今回お会いした先生方の口から出た言葉、たとえば ”この子供たちのprogress から、私の方がhopeをもらっている”とか、西洋古典文字の筆写のクラスで子供たちが「この授業はとても楽しいと」言ったので、先生に”生徒たちはとても授業を楽しんでいるように見える”と私が言うと ”私も楽しんでいる。子供たちは、だんだん複雑な文字を練習して行くが、他のレポ-トの表紙をその文字で飾って提出することができる。古典を楽しむこともできるようになるかもしれない。教科の最後は、子供たちが気に入った文字で私に手紙を書くんだ。動物みたいな文字もあるけどね”と答えた。なんのために練習するのか、などと質問した私は恥ずかしくなりました。

3)とにかく、主役は生徒。「、、、のように指導する」というのではなくて、「私たちは何でもって子供の成長に貢献できるか」と言う態度がはっきりしていて素敵だなと感じました。見習いたいと思います。このような学校に、アメリカの学校が変化した歴史的社会的な背景については少し、勉強しましたが、アメリカの学校の”今”を知ることができたことは幸せです。

 私たちを案内してくれた生徒たち、お茶とお菓子で歓迎してくれた学校、一生懸命仕事をし、夫を尊敬しているハイデイさんやロ-ラさん。素敵なスク-ルサイコロジストの先生。出会った方たちの顔が浮かんできて、これからちゃんと手紙を書かなければ、と思っています。
 以上、ほんの少し感想をお伝えします。

■曽根秀樹 兵庫教育大学 障害児教育講座
 それにしても今回の研修旅行は刺激的な旅行でした。話にはリソースルームやインクルージョンを聞いていましたが,実際見学するのは初めてでした。また,IEPの資料を手に入れることができ収穫のあった旅行でした。実際に見ると聞くでは大違いでした。通常学級の授業も見学でき,いろいろな問題が含んでいることもわかりました。何もアメリカだけが素晴らしい教育をしている限らず,日本とアメリカの良い点と悪い点が理解できた研修旅行でした。日本に帰ってから大学院の授業を受けていますがこのままで日本の教育はいいのかなと考えさせられます。日本の授業には活気がないように感じました。もう少し,自分を出せよ,日本人といった感じです。アメリカ人にはもう少し基礎学力をつけようよと思いました。できる人はどんどんやるし,やらない人はほとんど何もしないといった感じを受けました。それでアメリカにはリソースルームのような制度が必要なのかなと感じました。
 私の反省点としてはニュースレターにも書いてありましたが対話能力がないことです。言葉が不自由だとあれほどフラストレーションがたまるのかなと感じました。自分の要求が通じないといやな気分です。また,アメリカの教育制度をもっと勉強してから研修に臨めば良かった思います。せっかくミネソタ州の本が手元にあるのに失敗しました。そうすればもう少し深く掘り下げることができたと思いました。
 アメリカはプレゼンテーションが素晴らしい国です。自分が調べたことをテキストだけでなく,グラフ,写真,動画,地図,ジェスチャー,絵等あらゆる手段を使って紹介します。それが実に要領が良く,小さいときから鍛えられているようです。先生があれだけ口をすっぱくして言うのがわかりました。また,先生が車にお金を掛けないのもアメリカの風土を見てわかったような気がします。
 今回の研修旅行で課題が1つ見つかりました。対話能力の必要性,それが人間同士だけでなく,コンピュータともです。お互いのやりたいことが通じ合えばこんな素晴らしいことはありません。何事も目標を持って頑張ることが大切であると感じました。
 10日間ぶりに家族に会うと娘は私の顔を覚えていたようでした。少し,身長が伸びたような感じがしました。院生室に行くと植物が大きくなっていました。蘭の花はしおれてきましたが,新芽の勢いがいいです。他の植物も葉が大きくなっていました。今回の旅行で初めてホームシックにかかりました。夜になると早く娘に会いたいと感じました。子どもができてから初めての長期外泊でしたので家族のありがたさを感じる研修旅行でした。この9日間はかけがえのない9日間でした。この研修旅行を勧めていただきありがとうございました。

■成田先生をはじめとする参加者の先生方へ 竹本務 兵庫教育大学 教育方法
私にとっての今回の研修は、たいへん収穫の多い物でした。

1.情報先進国でのコンピュータ利用状況
2.インターネットの利用状況
3.アメリカでの教育状況
以上の3点が大まかな収穫であるように、現時点では認識しています。

 成田先生のNO.11にもあるように、今回の研修だけで、アメリカのすべてを知ったとは感じていませんが、多くのまだ見えないことを予測するには十分な経験をさせていただいたと思います。また、私の専門が障害児教育ではなく教育工学ですので、多くのみなさんとは違った観点で今回の研修に参加させていただいたと自覚しています。

1.について
 以前からいろいろと文献では見ていたのですが、やはり、個別学習での利用と言う面を感じました。また、Palo Altoと中心としてMacの利用が大変多く、やはりアメリカの教育界でのMacの底力を見たように思いました。ただ、インターネットが絡んできた昨今ではPCも十分力を付けているようにも感じました。しかし、結局はMacであろうとPCであろうと、その利用目的がはっきりしていれば、別に機種を考える必要は無いような感じも受けました。

2.について
 インターネットは予想通り「情報検索」の一手段としての位置づけを見たように感じました。特に高校レベルでは、図書館や資料室との連動があったように思います。また、e-mailなどの1対1のコミュニケーション手段は、まだ未完成で今後、まだまだ理想的な展開が期待できそうに感じました。

3.について
 これは「ドラッグ」と「異文化理解」という大きな柱があったように感じます。多民族国家の故に、けっして抜かしてはいけない物であることを、小中高のすべての学校で肌で感じたように思います。他民族ではない日本と同じような展開をしていくことは考えられませんが、一つの別世界をまざまざと目の当たりにしたように思います。

その他

 語学力:残念ながら、そう急に身に付く物ではなく、残念ではありましたが、自分なりには「対話」「会話」ができたように感じます。自分の聞きたいことをすべて把握できたようには思いませんが、思っていた以上に、コミュニケーションは取れたように感じました。それでも、より一層の語学力の必要性は痛感しました。
 日本の教育:これは、しょうしょう残念な言葉をよく耳にしました。今の日本の教育はそんなひどい物ではないと自信を持っています。もしかするとアメリカよりも数段上をいっている物もあるように感じます。このようなことから、自分の国の教育を悪く言われるのは非常に心外でした。お互いの良いところを見つけ、不足しているところをその国の立場で補いあってこそ、理想の教育につながるように思っています。

 短いような長いような1週間でした。今回の研修では、大きな意味でアメリカを必要以上に意識することはありませんでした。「アメリカへきたんだ!」「でっかい国なんだ!」と言う感じを受けなかったのが正直な気持ちです。ただし、日本とは確実に異なった文化を持つ国であることは感じることができたように思います。

 また、こんな機会を与えていただけるのでしたら、是非参加したいと思います。  ただ、語学力の力は、まだまだ不十分でしょうけれども・・・・・・

■米国教育視察研修に参加して 筱 更治 兵庫教育大学 生徒指導講座


 今回は、前回ニューメキシコ・テキサスに引き続いての参加をさせていただくことができて大変喜んでいます。成田先生、ご同行の皆様、ありがとうございました。

 成田先生には、昨年の夏過ぎから何かと準備が大変であったことと思います。ホテルの予約・航空券の手配・訪問学校区や学校の担当者との通信、また行き先の地図の入手から参加者への10数回にわたるニューズレター、訪問中は言葉の不慣れな私をはじめ参加者の便宜をはかってずっと通訳も続けていただきましたことなどなど。
 さらに、2月14日のご自身の学会発表も相まって実に多忙なスケジュールをこなしていかれたものと思います。本当にお疲れさまでした。また、ありがとうございました。

 私の関心の中心は、学校カウンセリングでありましたが、教育機器を利用した特殊教育の一端や米国でのinternetの教育への利用・教員の自主的な教育に関する研修の様子、教員生活の長きにわたって自然から学ぼうとされていた取り組み、高等学校でのresource roomを通した指導、多文化を象徴するかのような言語教育(English, Spanish, German class)重視の傾向、中学校レベルでも想定できる学校でのgun problem、そして一つの学校に母国語が何十か国語もあると思われるそれぞれの家庭から通ってくる生徒たちに、ここは、United States of Americaだなぁと実感した次第です。
でも、直訳するとアメリカ合州国と考えられますが、日本語ではアメリカ合衆国でしたね。まさにアメリカ合衆国を実感した思いでした。

 学校カウンセリングの実情の一端ですが、高等学校でのカウンセラーは、3人いました。うち一人は、パートタイムでの勤務ということでした。30分近くゆっくりと話をして説明をいただいたのですが、言葉が不十分で聞き取りの力が不足していることを痛感しました。
 感じとしては修学や進路や問題が中心ではないかと思われます。カウンセラーの資格としては教員の資格の上に大学院での単位取得が必要とのことです。もちろん日本の進路指導担当教員のような授業の兼務は無いとのことです。また、二人カウンセラーの一人は、無線のハンドトーキーをもっておいででして、他の教員から急な連絡が入る可能性を示唆していました。
 また、他の学校でうかがったことですが、以前カウンセラーを雇用していたが、数年前に予算削減で引き払ったということがあったそうですが、また、次年度の9月からは入ることになっている、という中学校の先生がおられました。人件費にかかわる問題はどこでも厳しいものがあるのでしょうね。

 学校の訪問を通じて全般的に感じられたことの一つは、指導のニュアンスから支援へと傾いているような受け止めです。肌の色が違い、英語が中心ですが家庭での言葉がそれぞれに違っていたり、もちろん様々な生活様式の違いもあるなか、合衆国市民を育てる役割を模索するアメリカがそこに感じられました。
 Internetの利用については、そんなに進んでいるということではありませんでしたし、教員がすべてemailのアカウントをもっている、というような全員が使っている状況というのは、まだ先のように感じました。
 しかし、能力のあるボランティアが様々に学校に関与していて、地域になじんだ学校の姿を感じました。カリフォルニアでは、家庭から無制限にInternetに接続して月に20$程度という話もあり、やや日本に比べると割安感がありました。NTTのOCNがこの春ごろから全国展開をすると、日本でも使いやすい環境に近づくのでしょうか。

 車社会のアメリカはまさにさのとおりでしたが、右側通行でずっと安全運転には、気をつけました。STOPの標識のあるところでは、先に一旦止まったものが交差点に入るということや、赤信号でも右折は自分で安全を確認して進むこと、またFree way では、65mileで4, 5車線もあってうっかり右端を走行していると外に出てしまったこと、San Jose で地図がなくPoliceに道を聞いたら、丁寧に教えてくれたこと、道を間違えて一方通行を逆走していたら、子どもが大きな声で'One way!'と叫んで、笑っていたこと、ナビゲータをしていただき、大変走りやすかったこと、Stanford大学まで頼まれた図書を探しに走ったこと、最後の午後は、モントレーやカーメルへドライブし、金曜日・バレンタインデーと重なってレストランを探しにテクテク歩いたことなどなどすてきな体験をさせていただきました。

 同行いただいた方々、ほんとうにありがとうございました。

そして、カリフォルニアの学校区の子どもたち、先生方、ボランティアのみなさんにも感謝の気持ちを申し述べます。ありがとう。

■一アメリカの学校研修視察を振り返って一 東みゆき 兵庫教育大学 障害児教育専攻

 今回の研修では,幼稚園から高校まで10校もの学校訪間が叶い各学校の生き生きとした子ども達の様子を伺い知ることができた。
 コンピュータテクノロジーについては勉強不足のため丁寧な説明を受けながらもその多くを理解することができなかった事を深く反省している。
 今回の研修旅行で一番の関心事であったアメリカの障害児の様子についてはFremont Elementary Schoolで担当の一人の先生に詳しい話を聞く事ができ,感謝している。個人的に伺いたかった事は,重度の知的障害児とのコミュニケーション手段であったが残念ながら10校訪間しながら自分が探していた重度の障害児と彼らの指導者に会うことはできなかった。重度の基準が日本とアメリカでは少し違うような気がした。アメリカでは重度と見られている子ども達は,日本の中度程度のように感じられた。重度或いは最重度の子ども達はどこで学んでいたのか。ある学校の教師はスペシャルスクールで教育を受けていると話してくれたが,日本で言う病院併設の重症心身障害児施設のような所に入るのだろうか。だとすると障害児教育については軽度から重度まで学校で教育を受ける権利を与えられている日本の方が進んでいるかも知れないと思った。
Fremont Elementary Schoolの女教師から伺った話の内容はおおよそ次の通りである。
 理解言語や表出言語に乏しい知的障害児としっコミュニケーション手段は主にPicture,つまり絵カードやコミュニケーションボードで,時には写真を使うこともあるようだ。
 障害児は校区のパブリックスクールに通っているが,障害種別に学校が振り分けられているようであった。Aの学校は脳性麻痺児が中心,Bの学校は自閉児が中心という具合に。特殊教育に携わる教員の免許の種類も日本と幾分違っていた。アメリカの方が障害種によって細分化されているようである。
 スペシャルニーズのクラスは2人のティームティーチングで指導しているが一人は特殊教育の免許を持つ教師であり,もう一人はPT,STやボランティアでサブ教師として入っている場合もあるようだ。各々の役割がはっきりしているせいか,教師は誰も皆自信とプライドを持って生き生きと指導しているように感じた。
 今回の研修旅行では学校見学だけでなく,アメリカ文化の一部を体験することができたことやアメリカに住む人達と接することができたことも大きな収穫であったように思う。一生のうちに何度味わえるだろうかというような感動的なことも幾つか経験することができた。
 今回の研修旅行を企画し,お世話くださいました成田先生には心からお礼を申し上げます。そして,旅行中はいろいろと大変な仕事をお引き受けくださった方々にも心から感謝申し上げます。最後に,今回の研修旅行でお会いした16名のみなさん,ありがとうございました。来年も是非お会いしとうございます。


監修:成田 滋  Ph.D 学校教育研究センター教授/兵庫教育大学
第3回アメリカ合衆国障害児教育の視察旅行の案内のページ
郵便番号:673-14 兵庫県加東郡社町山国2007-109
電話番号:0795-40-2205

制作:曽根 秀樹