日本特殊教育学会第33回大会発表 1995年9月15-17日 秋田大学 国際理解を深める障害児教育と「インターネット」の活用   成田 滋      小宮幸三       多田幸浩 兵庫教育大学    福岡県立福岡聾学校  大阪市立聾学校 学校教育研究センター 「情報処理の促進に関する法律」に基づいて設置された通産省所轄の情報処理 振興事業協会にある「教育ソフトウエア開発・利用促進センター」と「コンピ ュータ教育開発センター」(CEC)は共同事業として、全国100か所程度の小中 高校、特殊教育諸学校においてネットワークを活用した教育・学習や交流を可 能とする技術的な環境を整備しようとしている。これがいわゆる「100校プロ ジェクト」である。このプロジェクトによると、小中高校、特殊教育諸学校に 通信機器を設置し、こうした学校とセンターをネットワークで結ぶことによっ てデータベース等へのアクセスはもちろん、国内外の学校などとの絵や写真な どの画像を交えた手紙のやりとりや学校関連の情報の受発信、世界各地の情報 資源の活用、遠隔地の学校との共通テーマに基づく調査や研究などが可能とさ れている。  このように我が国の初等中等教育において、現在はまだ一握りの学校ではあ るが、児童生徒が情報活用能力を育成するために「インターネット」という、 世界をつなぐ情報網の結合体に乗り入れる基盤的な整備の第一歩を踏み出した といえる。障害児教育の分野においても大阪市立聾学校をはじめ、いくつかの 学校が「100校プロジェクト」として指定され、画像やニュースなどの情報資 源の積極的な活用、学校間あるいは生徒同士の国境を越えた交流が期待されて いる。福岡県立福岡聾学校も生徒間のコミュニケーションにネットワーキング を利用している。現在、こうした情報網の豊かな資源をどのように教育に活用 するか、教育的ネットワーク上への参加によって、どのような情報を発信する のか、それによってどのような貢献が世界にできるかが課題となってきている。 本発表は、子どもの情報活用能力の育成を「インターネット上での国際理解を 深める情報資源の活用と参加」という視点からとらえ、その手法や利用方法、 今後の課題に言及し、これからの新しい障害児教育の方向性を模索することを 目的とする。