障害者とコンピュータ利用教育研究会
1999年9月会報 NO.110 Mac Education Society(MES)
〒673-1421 兵庫県加東郡社町山国2007
兵庫教育大学 学校教育研究センター
naritas@ceser.hyogo-u.ac.jp
http://www.ceser.hyogo-u.ac.jp/naritas/mes/sept99/sept99.htm
編集 成田 滋 制作 宮野秀樹 miyanox@pop06.odn.ne.jp
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目次
・会報の作成は宮野秀樹さんに
・10月MES関東例会(第1回北関東例会)の案内
・MES山陰--新しい障害児教育を考える研修会のご案内
・日本特殊教育学会が北海道大学で開かれる。
・ATACカンファレンス1999京都から。
・皆さんからのお便り
■会報の作成は宮野秀樹さんに
今月からMESの会報は、兵庫県の社町にお住まいの宮野秀樹さんに作ってもらっています。宮野さんは車椅子で生活しながら、DJやら脊椎損傷の方々への様々な支援をしています。会報の作り方はですが、兵教大にあるMES専用のFTPサーバーに接続し、そこから原稿をアップしたりダウンしてファイルを転送しています。在宅で会の活動を支援してくれるのはありがたいです。(成田 滋)制作の様子 自宅の部屋と学生
■10月MES関東例会(第1回北関東例会)の案内
MESの例会の栃木での初めての例会を開きます。益子という有名な場所です。帰りの手土産に不自由しないところです。是非お越しください。
・日時 10月9日(土) 2:00-4:30 pm
・会場 栃木県立益子養護学校
栃木県芳賀郡益子町七井3650
0285-72-4915
・内容 市販ソフト及び自作ソフトの紹介
インターフェイス及び各種スイッチ類の紹介など
Q&A
懇親会も行います。
●学校までの経路
・自動車の場合
一番わかりやすい宇都宮ICからのルートを書いておきますが、鹿沼ICからのルートもあります。そちらから来ようと思う方は連絡していただければ詳しいルートをお教えします。
--宇都宮ルート
東北自動車道宇都宮ICを宇都宮市街地方面(一番右の道)に下りて1キロぐらい進むとT字路に出ます。そこを右折して国道119号にのり南下してください。5キロぐらいで宇都宮環状線の交差点に出ます。ここは交差点の名前はありませんがかなり大がかりな工事をしていて2車線道ですのですぐに分かると思います。そこを左折し「小山」、「国道4号線」方面に進んでください。この道も国道119号と表示されています。6〜7キロぐらい進むとガードをくぐります。ガードを出たところから国道4号線のバイパス(新4号とも言う)に合流しますのでそこをさらに直進してください。ここも5キロぐらい進むと国道123号の表示が出ますのでそこで新4号線を下りて左折して123号線を進んでくださ
い。そのまま国道123号線を20キロぐらい進むと芳賀町を通過し益子町に入ります。そして左に日石のガソリンスタンドが見えてきます。そこをすぎる小さな橋がありそこを渡ると標識・信号のあるY字路に出ます(ファミリーマートの手前)。市塙・七井駅方面に左折してください。その後すぐに踏切があり渡ってすぐ(3mぐらい)左折します。(益子養護の標識あります)。そこを500mぐらい進むと案内板がありますのでそこを右折します。坂をのぼっていきますと学校らしい校舎が見えてきます。はじめに出てくる門は裏門ですので(当日はしまっていると思います)入らないで、次の門を入ってください。そこに益子養護学校があります。宇都宮ICをおりてからスムーズにいっても1時間はかかりま
す。また県下でも有数の混雑する道路なので覚悟して来てください。
・公共交通機関の場合
JR下館駅から真岡鉄道に乗り換えて七井駅でおりてください。そこからタクシーにのって10分ぐらいで益子養護学校に着きます。タクシーは駅前にタクシー会社があるのでそこで拾ってください。徒歩ですと30分以上かかるのであえてここではふれません。もしタクシーではなく徒歩でピクニック気分で来たいという方は連絡くだされば経路をお教えします。どっちの方法で来るにしてもかなり分かりづらいところにありますので、事前に自分なりに地図などを見て予習しておいてください。
備考
参加希望の人は10月1日までに下記の連絡先にメールをお願いします。今回は会場の都合で参加者名簿を作らなければならないので、事前に参加を決められた方は必ず連絡ください。また当日飛び込みでも結構ですのでどんどん参加してください。 また宿泊場所もこちらで確保しますので宿泊希望の方も連絡してください(現在さがしているところです)。益子町か隣の真岡市になると思います。
連絡先
宮田宜浩(益子養護学校教員)
E-MAIL gabaji@d3.dion.ne.jp
参加の連絡をメールでくれた人には返信に宮田の携帯の番号をのせておきますので、当日迷った ときはそこに連絡してください。
●日 時:平成11年10月23 日( 土) 午後2時〜4時半
●場 所:島根県松江市白潟公民館3 階研修室(松江市灘町)
●内 容:
1. 新しい就労モデルの発表
2. 日本とアメリカにおけるIEPの現状と課題
3. 障害者の自立と就労に向けてのインターネットを活用した取り組み
4. 「MES 自作教材集CD-ROM'98 」と、収録されたソフトの紹介等障害児教育へのコンピュータ活用の実践例
●参加費:無料
●主宰:MES山陰新しい障害児教育を考える会
・ MES(Mac Education Sciety) 障害者とコンピュータ利用教育研究会
●事務局:島根県立出雲養護学校 渡部親司
(学校)Tel. 0853-43-2260 Fax. 0853-43-1246
m97332h@students.hyogo-u.ac.jp
wshinji@skyblue.ocn.ne.jp
http://mac40ceser.ceser.hyogo-u.ac.jp/~watanabe/home1/my_home.html
■皆さんからのお便り
●バンク宅急便最近の話題
清水直博 兵庫県立赤穂養護学校 JCC03402@nifty.ne.jp
相生市での月例会に参加している子どもさん宅へのバンク宅配実施レポートです。生徒は、相生市のA小学校の障害児学級に在籍中で、相生の月例会にこの4月くらいから来ていました。母子分離不安があり、学級へ登校したらその場ではうまく活動や学習ができているようですが、家庭へ帰るとお母さんべったりで、着ているものにすこしでもお茶や水がかかると嫌がって脱ぐなどの防衛反応が極度に強いようです。そこで動作法でゆるめや共同注視課題を中心に実施していたところです。
しかし、パソコンの威力は絶大で画面の切り替わりを待っていたためおしっこを失敗するまでずっと待っています。見るとぐっしょりと濡れていたにもかかわらず、知らん顔でパソコン画面を食い入るように見ていました。お母さんの驚きようは、まさに「呆気にとられた」という様子でした。通学している学級の担任とも パソコンの必要性を検討していた矢先だそうでした。そこで、月例会の帰りに倉庫へ赴き、バンク宅配便の要請をしました。翌日は、私の子どもの運動会があり、それが終わってから宅配に行きました。
まさに渡りに船、即宅配ができ大喜びでした。訪問しても、私が帰るまでずっと画面にひっついては離れないというくらいでした。お母さんも、この子が一人でお留守番ができたり、時間を一人で待てるようになることを期待しますと、ぱそこんの重要性を痛感されてました。忙しい休日でしたが、彼の笑顔で疲れも吹っ飛んだ一日でした。いい話が載せられてうれしい一日でした。
●バンク宅急便最近の話題 つづき
山平 喜一郎 明石市 k-yamahr@psn.ne.jp
山平です。
> お母さんの驚きようは、まさに「呆気にとられた」という様子でした。・・・
> 訪問しても、私が帰るまでずっと画面にひっついてはなれないと言うくらいで
> した。
> お母さんも、この子が一人でお留守番ができたり、時間を一人で待てるように
> なることを期待しますと、ぱそこんの重要性を痛感されてました。
> 忙しい休日でしたが、彼の笑顔で着かれも吹っ飛んだ一日でした。
智美がパソコンを使い始めた頃を思い出します。パソコンを使い始めると、「呆気にとられた」、「信じられない」といったことの連続でした。重度の知的障害で多動でしたから、何かに集中して取り組むということができなかったのです。本人は必死で興味の対象を見つけようとしていたのでしょうが、結果的に家の中をひっくり返してしまい、家内がその度に大騒ぎをしていました。
はたしてマウスを使えるのか?どうやってマウスの使い方を教えればよいのか?
と考えましたが、それらの杞憂を吹き飛ばすのに時間はかかりませんでした。マウスは一週間もすれば使いこなすようになりました。これは教えたというより、自らの試行錯誤によってマスターしたのです。単にマウスの使い方だけではなく、マルチウィンドウやプルダウンメニュー等のOSの機能や各学習ソフトの使い方を全て試行錯誤の結果として理解していったのです。これらは全て本人の意志で行われました。朝起きてから学校に行くまで、学校から帰ってきてから寝るまで、パソコンに張り付いていて、食事をさせたり風呂に入れたりするのが大変でした。
智美はA判定(重度)の知的障害で言葉が話せませんし、こちらの言うことも理解できない、物事に対する判断力がないと思われていましたが、そうではない、少なくとも理解力があるということを自ら実証して見せたのです。その過程は「信じられない」の連続でした。
これらの事実から、「養護学校でも、最も障害の重い一人である智美ができるのだから、他の子供達も当然パソコンを使って自らの能力を伸ばしていくことができるはずだ。」、「障害を持っている子供達はパソコンを待ち望んでいるに違いない。」という確信が生まれ、パソコンバンクが誕生しました。
現在、智美がパソコンを使い始めて約3年になりますが、すっかり生活の一部になっております。早起きの智美は朝起きるとまずパソコンのスイッチを入れます。通所施設から帰ってきても相手をしてくれる人がいないとパソコンに向かいます。あるいはミニコンポで好きなCDをかけて#や♭を押して音が変化するのを聞いています。自分の行動に対する何らかの反応を求めているようです。私が休みの日は、起きると「クルマ、クルマ」と行ってきます。車に乗り込むと高速道路の割引券を指さします。「高速道路をドライブしよう」という意味です。私がいる時といない時で興味の対象を変えています。状況判断ができるようになってきたのです。
昨日も祖父母の家に行っていまして、そこで牛乳パックで作られた椅子を見てすっかり気に入ってしまい、ずっとそれを持って遊んでいました。帰る段になっても離そうとしません。以前であればもらって帰るところなのですが、「我慢させよう」ということになり、説得しましたところ、祖母に差し出しました。一般生活における判断力も付いてきて、その場の欲望を押さえることができるようになってきました。確かに成長したと思います。
その成長に寄与したパソコンの役割は無視できません。最近は自我と自信からでしょうが、横に行って画面を覗き込んでも、「向こうに行け」とばかりに部屋から追い出されてしまいますので、その過程は確認できませんでしたが、「HAPPY BIRTHDAY」の文字があと一文字で完成という場面もありました。
このようにパソコンの有用性が確認できておりますので、これからもパソコンバンクの活動を続けて行きます。特に智美のショートステイの際にかいま見た入所施設で暮らす障害児・者にとってパソコンが大きな働きをするのではないかと思っています。木口財団からの補助金は残念ながら受けられませんでした。
●隼人の進路
石原義郎 新宿区 isi@i.bekkoame.ne.jp
石原隼人の父の石原義郎です。最近の近況を報告いたします。
自閉症の隼人も今や小学6年生、来年には中学生となります。これまで、地元の新宿区立NT小学校の普通学級に在籍して、何とかやって来ました。
隼人の体重も55キロに達し、幾分肥満気味ですが、学校に通いながら、土曜日は西新宿サッカークラブで好きなサッカーをしております。相変わらず、鉄道と飛行機が好きで、また、Jリーグ清水エスパルスの熱狂的なサポーターであります。
さて、隼人の中学ですが、先だって担当教師から呼び出しがあり、今の現状でそのまま隣のNT中学に進学すべきか話し合いをしました。今の学力差で、そのまま進学しても3年を無為に過ごす可能性があるということでしょう。私も妻も、目標は「隼人をどうやって自立させるか」にありますので、普通学級、特別学級などの区別にこだわっておりません。
選択肢としては、1) 地元の中学に通いながら、他の施設にも補完的に通う、2) 近くの特別学級に通う、3) 隼人に適した中学に越境して通う――などが上げられます。最初の1)
は「他の施設」にどのようなものがあるのか妻と2人でいろいろ調べることが必要となります。2) はHT中学のW学級に通うということですが、これも隼人を連れて見学する必要があるでしょう。3)
は隼人と同じクラスで、ハンディキャップを持つ子供の親御さんが、世田谷区のA中学の特別学級がとても評判が良いので、そこに越境したいということでした。
同じ東京都の公立小学校の特別学級でそんなに違うものなのでしょうか。これは自分の目で確かめたいとは思いますが、A中学の特別学級はその指導法が大変評価されているようです。いずれにしても、中学の3年間はあっという間に過ぎてしまいますので、隼人にとって最も充実した3年間が過ごせるような道を探っていきたいと思っています。就学場の選択や進路の指導で同じような経験をお持ちの親の方や教師の方からのご意見をお待ちしています。
●学校心理士の仲間入り
丹羽 登 兵庫教育大学大学院 (大阪府立茨木養護学校) nobchan.niwa@nifty.ne.jp
今日、自宅へ帰ると日本教育心理学会から学校心理士の審査結果が来ていました。必要な単位を全部取れているし、大丈夫だろうと思いつつも、少し気になりながら封を開けると、”合格”と書いてありほっとしました。
この学校心理士の制度は、先日の特殊教育学会での教員の再教育を考える上で、参考にさせていただきました。そこでは、終身制の免許だけではなく+αの資格の必要性を訴えました。つまり資格を取るための門は広くしておいた上で、その資格の維持にはPoint制を導入して、最低限の研修を必要とするという形式です。
東京都教育委員会では能力給が導入されますが、教頭や校長の評価、保護者の評価といったもの以外に、この様な教育上役に立つ公的な資格を持っていれば給料をUPするのはどうかなと思っていました。現実に会社では情報処理2種を持っていれば5,000円UP、1種を持っていれば10,000円UPというシステムの所も珍しくないと聞いています。出来るだけたくさんの教員が、研修を自発的に行うために、この様な制度が一部でも取り入れられたら、教員の意識もずいぶん変わると思うのですが。・・・・やっぱり難しいですかね。
来月号をお楽しみに。