障害者とコンピュータ利用教育研究会

1998年11月会報 NO. 100  Mac Education Society(MES)

監修 成田 滋

編集 西谷淳 猶原秀明 丹羽登、 村川佳子、渡部親司、岩井宏氏

PDF版の会報(135K)はこちらです。お読みになるにはAcrobatReader日本語版が必要です。どうかダウンロードしてください。また、コンピュータ関連の雑誌についているCD-ROMには、無料のAcrobatReader日本語版がついています。これをハードディスクにインストールすることをお勧めします。


MES
ホームページ
1998年
10月号
1998年
9月号
1998年
8月号
1998年
7月号
1998年
6月号
1998年
5月号
1998年
4月号
1998年
3月号
成田研究室

 

〒673-1421兵庫県加東郡社町山国2007
兵庫教育大学 学校教育研究センター
  naritas@ceser.hyogo-u.ac.jp
  Fax 0795-40-2203

-100回記念研修/例会の掲示板 | 第6回アメリカ合衆国の障害児教育の研修案内

■ 目次 ■

 

100回記念例会とコンピュータ活用法研修会のご案内

MES--障害者とコンピュータ利用教育研究会とは

第99回関東例会報告

第99回関西例会に参加して

自閉症児を連れてアメリカへ

操作の質問あれこれ

パソコンバンクのコーナー

皆さんからのお便り

「Fun For Everyone!-障害を持つ子供たちの可能性を広げるために-」セミナー

「アクセシビリティセミナー」

100回記念例会とコンピュータ活用法研修会のご案内

 本研究会では来る11月28日にコンピュータ活用法研修会(100回記念例会)を持ちます。全国のMES各支部・関連研究会が一堂に会し、実践報告・研修会を行います。つきましては、貴校の教諭にもご参加いただけたら幸いと存じ、ご案内申し上げます。

日時: 平成10年11月28日(土) 13:00〜17:00
会場: アップルコンピュータ株式会社 セミナールーム
 東京都新宿区西新宿 3-20-2 東京オペラシティタワー(京王新線初台駅 下車徒歩5分)

記念例会プログラム
12:00〜13:00 支部・関連研究会連絡会
13:00〜16:00 実践報告会
21世紀の障害児教育とネットワーク(PDFファイル)
   成田滋(兵庫教育大学学校教育研究センター)
・地域ネットワークと養護学校の連携--進路指導の立場から--
   北陸支部 小塚雄一郎(石川県立七尾養護学校)
・病弱養護学校におけるコンピュータ利用実践
   山陰支部 渡部親司(島根県立出雲養護学校)
   四国支部 横井啓介(高知県立江の口養護学校高知医大病院分校)
・障害児学級と町内イントラネット
   関西支部 西谷淳(滋賀県甲西町立三雲小学校)
・知的障害養護学校・ろう学校での自作教材の取り組み
   九州支部 小宮幸三(福岡県立筑後養護学校:元福岡聾学校)
・肢体不自由養護学校における実践--マジカル・トイ・ボックス--
   関東支部 金森克浩(都立光明養護学校)
・重度重複障害児教育におけるコンピュータ利用実践
   関東支部 永田和子(筑波大学附属大塚養護学校:元久里浜養護)
・盲学校におけるマルチメディア活用について
   関西支部 中島康明(大阪府立盲学校:ACE関西支部長)
・自作教材の紹介と実践報告
   「MES自作教材集CD-ROM'98」教材提供者
・教育・福祉機器の実践紹介
   各支部・関連研究会・協賛企業
16:00〜17:00 懇親・交流会
   参加者や協賛企業、関連研究会の紹介

協賛企業
 アップルコンピュータ株式会社 iMac3台とPowerMac7500-8台の寄贈決定
 アクセスインタナショナル株式会社
 日立デジタル平凡社株式会社
 株式会社アスキー
 株式会社メディアファクトリー
 株式会社毎日コミュニケーションズ
 マイクロソフト(株)
 島津理化機械株式会社
 ヤノ電器株式会社

問い合わせ先
    〒673-1421 兵庫県加東郡社町山国 2007
    兵庫教育大学学校教育研究センター 成田 滋
    Fax 0795-40-2203 Email: naritas@ceser.hyogo-u.ac.jp

※最新の情報はMESのWWWホームページで発信しております。あわせてご覧ください。
 http://www.ceser.hyogo-u.ac.jp/narita/mes/mes.html

■MES--障害者とコンピュータ利用教育研究会とは

 MES(Mac Education Society)、障害児教育にたずさわる親や教師、それを支援するたくさんの人たちが集う研究会です。障害児教育のテクノロジーからの支援を研究する会ですが、かたい雰囲気ではなく、障害児や保護者も気軽に参加できるよう運営して参りました。月1回行われるMES例会は今年で100回目を数えます。
 MESは1989年にはじまりました。関東地区から始まったMES例会は、現在では関西、北陸、九州、四国、信州と全国に広がってきました。月1回発行されるMES会報は全国の会員に郵送・電子mailされる他、WWWでも公開されています。

MES自作教材集CD-ROM
 MESでは自作教材の普及につとめています。子どもたちのニーズに応じた自作教材は市販のものと違う良さがあります。教材作りはそれほど難しいものではありません。MESでは例会の場で教材制作の研修や合評を行い、その普及につとめています。
 MESでは自作教材ソフトウェアを集めた「MES自作教材集CD-ROM」をMESの研究紀要として位置付け発刊して参りました。教育利用・非商用とさせていただいておりますが、その配布に関しては送料と制作費の一部を協力金としてご負担いただくことをお願いしております。

パソコンバンク
 パソコンバンクは「眠っているパソコンを障害児教育に役立てよう」という主旨ではじめられました。少し古くなり使われなくなったパソコンを譲り受け、障害児教育に活用する取り組みは、MES会員の熱心なお父さんや教師を中心に行われています。
もちろん、パソコンバンクでは配布だけでなく、各地のMES会員による様々なケアも行なっています。

最新の教育情報の調査と紹介
 MESでは、アメリカの教育視察も行なっています。テクノロジーによる障害克服の支援などにとどまらず、IEPやホームスクールといった今日的課題についても調査を行い、会報やWWW上で紹介しています。また、海外の様々な文書も翻訳しWWW上で提供しております。

様々な研究実践を支援
 MESがきっかけとなって始まった研究実践プロジェクトも数多くあります。障害児学校・学級インターネット活用プロジェクト「チャレンジキッズ」は、MESの例会での話し合いがきっかけとなって始まり、発展してきました。MESではこういった研究実践プロジェクトを支援しております。

MES自作教材集CD-ROM'98(135K)
 本研究会では各校で実践されている自作教材ソフトを集めました「MES自作教材集CD-ROM'98」(平成10年度版)を12月1日より配布いたします。本研究会に御賛同いただき、配布を御希望される方は同封の葉書でお申し込みいただけたら幸いです。
 「MES自作教材集CD-ROM」は障害児教育にたずさわる親や教師、そしてそれを支援するたくさんの人たちによって作られた自作教育ソフトウェアを集めたCD-ROMです。「MES自作教材集CD-ROM」はMES障害者とコンピュータ利用教育研究会の研究紀要と位置付けております。教育利用・非売品とさせていただいておりますが、その配布に関しては送料と制作費の一部を協力金としてご負担いただくことをお願いしております。送料込みで1枚2,000円をいただいております。
○動作環境
 Macintosh 漢字Talk7.5以上推奨
 Windows  Windows95以上推奨
○教材の対象 幼児から高等部の生徒
○教材のねらい
 ・遊びを通しての学習レディネスの育成 
 ・表出活動による創造性の育成
 ・調べや探索学習
 ・シミュレーション学習
 ・教科別の予習や復習の補助学習
○制作スタッフ
  総指揮
    成田 滋(兵庫教育大学)
  編集
    大杉成喜(滋賀大学附属養護学校)
    金森克浩(東京都立光明養護学校)
    川井久也(石川県立医王養護学校)
    小塚雄一郎(石川県立七尾養護学校)
    小宮幸三(福岡県立筑後養護学校)
    西谷淳(滋賀県甲西町立三雲小学校)
    宮下恵子(千葉県立聾学校)
    村川佳子(兵庫教育大学大学院)
    渡部親司(島根県立出雲養護学校)
  イラスト
    近藤英治(滋賀県立甲良養護学校)
○教材提供者(敬称略)

	戸田幸子(東京都)
	相原誠(千葉市)
	立川幸男(広島市)
	谷内みどり(川崎市)
	山野照人(北海道旭川ろう学校)
	志村克美ほか(北海道教育大学附属養護学校)
	後藤英光(山形県余目中学校)
	安永啓司(東京学芸大附属養護学校)
	小松敬典(東京都立府中養護学校)
	佐原恒一郎(千葉県立市川養護学校)
	加藤利彦(群馬県立みやま養護学校)
	広瀬雅彦(愛知県立春日台養護学校)
	大野裕子(名古屋市立小碓小学校)
	大川真一(名古屋市立高針小学校)
	盤若一樹(高岡市立こまどり養護学校)
	徳野悦子(石川県立医王養護学校)
	神佐博(石川県立七尾養護学校学校)
	小塚雄一郎(石川県立七尾養護学校)
	前正人(石川県立七尾養護学校)
	河野俊寛(石川県立明和養護学校)
	藤永裕司(石川県立明和養護学校)
	北元和洋(石川県立愛育養護学校)
	高田隆二(石川県立ろう学校)
	大井雅博(三重県立養護学校伊賀つばさ学園)
	島田勝浩(金沢大学附属養護学校)
	石部和人(滋賀大附属養護学校)
	大杉成喜(滋賀大附属養護学校)
	太田容次(滋賀大学附属養護学校)
	青山純(枚方市立長尾西中学校)
	山上弘之ほか(大阪府立寝屋川養護学校)
	岩井宏氏(大阪市立西淀川養護学校)
	大前洋介(神戸市立垂水養護学校)
	古山伸治(神戸市立友生養護学校)
	宮永実善(兵庫県加古川養護学校)
	樋口治(徳島県立ひのみね養護学校)
	前田宏治(鳴門教育大学附属養護学校)
	酒井瑞雄(高知県立山田養護学校)
	渡部親司(島根県立出雲養護学校)
	加地守(広島西条養護学校八本松分級)
	舛谷晃(山口大附属養護学校)
	清水一郎(山口県立岩国養護学校)
	小野龍智(佐賀県立金立養護学校)
	吉田行孝(鹿児島立鹿児島養護学校)

※このほか、「全国障害児学校データベース」制作には各都道府県の先生方のご協力をいただいております。
■第99回関東例会報告

 宮下恵子 千葉聾学校 QZQ05767

 晴れの特異日といわれる「体育の日」、横浜市立共進中学校通級指導教室をお借りして、第99回関東例会が行われました。出席者は12名でしたが、ベテランの方々に加え、新しい方が2人もいらしてくださり、活気づいた例会となりました。会場をお世話いただいた舞園先生、ありがとうございました。
 共進中学校通級指導教室では、Performa5270が1台おいてある教室がとても人気 があり、通っていらっしゃる生徒さんは、今日は違う部屋だとわかるととても落胆されるそうです。みなさんで、寄贈される予定のMacが届く日を心待ちにしていらっしゃるとのことでした。

 さて、例会は、自己紹介のうちから、エクセルでグラフを作るときの日付表示の仕方の質問があったり、アップルケアに関する情報交換が行われたり、iMACの話題になったり、と盛り上がって進みました。
 そして、まず、林さんから機能拡張などを4種類紹介されました。Husya ver1.11は、音に合わせて絵がくるくる回転します。こんどは自作のPICT画像をとりいれることや、ウインドウサイズを自由に変えることができるようになり、音に対する感受性もあがったそうです。なんと会場のくしゃみに反応して風車が回転し、大笑いしました。取り込んだ顔をぐるぐるさせると、興味をもって発声練習に取り組めるかもという話がありました。他には、OSAKAフォントをChicago風にするNaritaフォントや、カーソルを、ウインドウの右上に自動的に持っていってくれる機能拡張Zoomie、メニューに持っていってくれる機能拡張Menuetteです。

 続いて、「マウスクリック専用超小型ADBインターフェス(仮)」の紹介です。前回、笹野さんが説明されたマウスクリックのみの単機能ケーブルで、ADBポートに接続します。中をみせていただいたら、接続部分のところに小さなマイコンが入っていました。林さんは車椅子の生徒さんとワンクリックゲームをするときに使われるそうです。

 「レコメール」も紹介されました。これはカードの磁気部分に音声を録音し再生できるおもちゃです。NiftyのFEDHANで話題になっていた活用方法の紹介もあり、コミュニケーション発達支援用具だという認識をもちました。磁気シールは手持ちの紙にはれますので、おこさんの書いた絵に貼るなど工夫したカードができそうです。本体と磁気シールが入っていて500円だそうです。笹野さんがスイッチ部分の改良について検討されていました。ただ、おもちゃですので音質はそれなりですし、ボリュームも小さいです。外部出力できるとさらに活用範囲が拡がるのではないかと思います。

 次に佐原さんからは「まんがAAC入門」が紹介されました。これはAACの考え方を説明する8ページの自作まんがです。原画をスキャナーでとりこみ、レタッチソフトで微調整をし、クラリスワークスでふきだし文字をいれて作られています。クラリスワークスでは、「画像をとりこみ、文字とあわせる」ようなファイルは、ドローよりワープロで作る方がはるかにファイルサイズが小さくなるようです。

 また、System7.0.1の上にゴムトークをのせて日本語(漢字トーク6.0.7)が扱えるようにしたClassicの紹介もありました。ひさびさに富士山のアイコンを見たときは、とても懐かしく思いました。しかし、今回の参加者の1/3は初めて富士山のアイコンをみた人でした。Hypercard player 2.4.1を使って、スタック「石鹸出来高表」やゲームが紹介され、しばらく6.0.7時代の回顧談に花が咲きました。

 その次に、安永さんから、金銭利用練習用ソフト「Sim3 ver1.1」の発表がありました。これは、自動販売機シミュレーションスタック:SimJuice、自動券売機シミュレーションスタック:SimTicket、公衆電話シミュレーションスタック:SimCall(金銭使用型)3作の統合バージョンです。統合にあたり、Simcallはカード利用から現金利用に変わりました。Bカード利用の練習の場合は、単体版「かけほうだい」をお使いくださいとのことです。

 10円、50円、100円、500円硬貨と1000円札をすべての場面で共有して使用でき ます。1000円札、50円玉、500円玉では電話はかけられないことなど細かい配慮もついています。1000円札しかない状況で電話をかけるために、ジュースを買いおつりをもらう方法をとることも学習できます。また、今までは電話番号を登録するためにはフィールドを書き換える必要がありましたが、予め登録しておけばポップアップボタンで切り替えることができるようになりましたので、複数のお子さんが一緒に練習するようなときは便利です。

 最後に、熊谷さんからは新しいG3Macの紹介がありました。蓋にある白いリンゴが目立ちます。
 このように100回例会を前にして、APPLEやMESの歴史をひもとくような例会にな りました。プレ100回として、とても有意義な例会だった思います。参加されたみなさまありがとうございました。

■第99回関西例会に参加して

 大前洋介 神戸市立垂水養護学校 omae@geocities.co.jp

 神戸の大前です。
本日17日のMESの会、成田先生をはじめ、みなさまありがとうございました。多くの充実した会話がなされて楽しく過ごさせていただきました。私自身、好き勝手なことばかり発言しておりました。失言等もあったかと思います。どうかご容赦ください。太田さんからのチャレンズキッズの運営の意志の強さとスタッフとしてのご苦労なども聞かせていただき勉強になりました。毎回ですが、大杉さんのエピソードを交えた解説によるテンポのよいMES教材の紹介、ユーモアたっぷりで楽しく鑑賞させていただきました。思わず笑い声をあげすにはいられません。本当に教材の改善等、詰めの編集ごくろうさまです。

 kenxのていねいな説明、石原さんありがとうございました。今後もお世話になると思いますので宜しくお願いします。本日の成果は、職場である垂水養護学校や同じく神戸の友生養護学校に還元したいと思います。
 神戸では友生養護学校がkenxのとりくみに先生、保護者とも熱心です。保護者の方みずから、セットアップファイルを作られるほどですから。そのご家庭の実践がWebで発信されていますのでご紹介させていただきます。

http://member.nifty.ne.jp/OhisamaTeratera/index.html

 まゆみは、1987年6月20日に生まれ、生後4ヶ月の時、脊髄性進行性筋萎縮症の乳 児発生型ウルドニッヒホフマン症という病名を診断されました。全身の筋力が低下する病気で、生後7ヶ月に自宅で呼吸困難を起こし、すぐに人工呼吸器が装着されました。10ヶ月の時に気管切開がなされ、神戸中央市民病院で約4年間の入院生活を送りました。1才ぐらいまでは、よく笑う子でしたが、その後いつの間にか笑えなくなっていました。が、眉毛をよく動かしていることに気づき、『YES』のときは、上下に動かし、『NO』のときは、しかめるという方法で、少しずつコミニュケーシヨンがとれるようになりました。詳しいことは、難しかったですが・・

 神戸の養護学校には、幼稚部の年長から通学するようになりました。・・・・そして、3年生になって、このスイッチをKe:nxという障害者補助入力装置に接続してパソコンも操作できるようになりました。ちびまる子のゲームやキティのゲームを楽しんだり、日記を書いたりしています。文章の内容は、まだまだ幼いですが、言葉を獲得するまでに、呼吸器装着でコミニュケーション手段を失った娘が、独自の方法で言語を獲得し、書きためた作品を紹介したいと思います。
 母 順子 
URL: http://www.geocities.com/CollegePark/Gym/5088/

■自閉症児を連れてアメリカへ

佐藤恵利子・佐藤 裕 札幌市 ysato@execpc.com

親の活躍(普通学級

ヨピの新しいクラス
 普通学級での私の手伝いは、特殊学級においてのそれよりも多かったような気がする。 3年生になったヨピの新しい担任のペイトン先生(昨年度インターナショナルウィークには日本をテーマに選んだ)との個別懇談は夏休み中に行われた。私達の帰国が近づいていることが先ず話題になり、彼女は「あなたにはまた色々教えてもらおうと思っていたのに......。」と儀礼上でも残念がってくれる。 後になって、彼女は親をボランティアとして上手に使うテクニックの持ち主であることがわかるのだった。

多様なボランティア
 私にとって学校の年度の始まりを体験するのは、これが初めてだ。学校(ヨピのクラス)から届いた多くの書類の中で特に目に留まったのは、担任の先生から親に対するボランティア活動の依頼だった。ボランティアの内容を記した細かい項目があって、自分にできる箇所にチェックして提出するものだ。雑用から、遠足等の付き添い、特技の披露、自分の専門分野を教授することなど多伎にわたっている。そういえば昨年度の学校からのニュースレターに、整形外科医が本物の骸骨を持参して子供達に講義をしたことが書かれていたことを思い出した。また今年度になってからヨピのクラスのお便りの中に、自国の昔話を披露しに来た母親、「祖父母の日」に老人病について講義をしに来た老人病専門医の父親、衣装や道具を持参して南北戦争の話しをしにやってきた、南北戦争の演劇俳優を趣味としている父親、定期的に先生の雑用を手伝いにやってくる母親達のことが紹介されていた。

日本の先生方、御苦労様
 私も簡単なお手伝いに行くことがあるが、それを知っているテピのアシスタントの一人がこう言っていた。 「先生達は一度に20人余りの子供を見なければならなくて大変なの。だからあなたのようにお手伝いに来てくれる人がいると本当に助かるのよ。」 これを聞いて、もっと大人数の子供をかかえ全教科を一人でこなす日本人の先生達のことが思われた。常に質素で活動的な姿で忙しく働く日本の先生達ご苦労様、と言いたくなった。

先生のゆとり
 行動面などで気にかかる部分のある子供の観察・対処はスクールソーシャルワーカーの力を借り、一緒に対策を練ることができる。また、体育、美術、音楽、コンピューターの授業などは専門の先生に任せた上、親に何かと手伝ってもらうのが当たり前のここの先生達はそのゆとりのせいか楽しみながら仕事をしているように感じることがある。真っ赤なマニキュアと長い爪、大きな指輪を数個という華やかな手をしていても十分仕事はこなせる環境。先生のゆとりが子供達の心のゆとりとして伝わるのかもしれない。そして親が関わることで新鮮な空気、新たな好奇心が子供達はもちろん先生も涌きおこるようだ。
 親達の仕事はあくまでボランティアであり、先生達は上手に親の心をその気にさせ色々な仕事を与える。また親達もとても協力的で、仕事をもっていても積極的にボランティアを引き受けている。ある母親は「子供の様子を見たくてボランティアを引き受けているのよ。」と言っていた。そういえば授業参観という行事はなかった。

担任の先生を指名?
 ここでは地域、親、学校が対等で柔軟な関係にあるようだ。お子さん3人がこの学校を卒業された知り合いの日本人が、過去にお子さんの担任の先生を自ら選択・指名してそれが叶えられたことを語っていた。そんなことまでできるなんて信じられなかった私は、PTOで活躍している知人に確かめてみた。確かに数年前まではそういうこともできたのだそうだ。でもそれには問題があり、先生を指名できることを知っている古くからここに住む白人の親達の子供だけが人気のある先生のクラスに固まり、白人だけのクラスができてしまうという問題がでてきたのだそうだ。

暗に示唆は可能
 直接先生を指名することは今はできなくなったが、子供の学習環境をよりよくするために毎年、年度末に送られてくる次年度のクラスに対するアンケートに、遠回しに希望の先生をほのめかすことはできるのだそうだ。例えば、「うちの子はサイエンスが大好きなので、その興味を深められる学習環境を強く希望します。」と書けばサイエンスに力を入れているA先生のクラスを希望しているんだなと分かる、また「うちの子は叱られると萎縮して自分の力を出せなくなるので、むしろ誉められながらのびのびと学習できる環境に置きたい。」と書くと、よく怒鳴るB先生を敬遠しているのだなと分かり、その希望が叶えられることが多いのだそうだ。こういったことの書くために得た情報量は日頃のボランティア活動の収穫なのかもしれない。

親以外のボランティア 
 学校に関わるものだけでも、いろんな形のボランティア活動がある。上に述べたものの他、地域の人達がスポーツ指導やクラブ活動の手伝いに来たり、ソーシャルワーカーの卵がボランティアで10歳以上の子供のレクリエーションを企画したりと地域の人的資源は十分に活用される。  

PTO活動
 小学校PTO(日本のPTA活動は米国のものを真似て発足したのだそうだ)の活動もボランティアの中にはいるのだろう。PTOの会合や行事は夜か土曜日に行われることがほとんどで、ざっと見回してお父さんとお母さんはほぼ同数のようだ。 学校の中でPTOは強い権力をもっていることを思わせる話を聞いた。 その学校の校長先生を選出する際、教育行政より数人の校長候補が送られてきて、親達による面接試験があるという。親達は面接の結果その中から2人を選ぶことができ、その2人のうちどちらを選出するかといった最終決定は教育委員長が行うのだそうだ。 また新しく教員を採用する時も校長先生だけではなく親達も面接試験に立ち会い、評価をする権利が与えられているらしい。

寄付は常識 
 ボランティアという意識がキリスト教的思想をベースにしているとして、同じベースをもつ寄付活動も学校の中でも気軽に行われる。PTOの大きな行事には参加するにあたって献金が付き物であるし、学校の備品もニュースレターで寄付を求める。その他PTOの予算が不足すると、父兄に寄付を求めることもあるようだ。学校で行われるパーティーなど食べ物が付く行事の際のお菓子や料理はほとんど親からの寄付で、私も3度ほど手料理を運んだ。  日本のようにPTO会費というものがない。しかし、お金集めには工夫を凝らして毎年15,000ドルもの収益をあげている事実も権力に結びつくのだろうか。 親達の積極性と発言権はどちらが先かは分からないけれど、相関関 係にあるようにも思える。児童の約半数が外国人だという条件下にありながら市内でもトップの学力を持ち、誰もが口を揃えて素晴らしいと絶賛するショウウッドヒルズ小学校。それを支えているのは、教育熱心な親達の力であると、親達自身が自負して語っている。

(この原稿は佐藤氏の許諾を得て掲載しています。この原稿が本になりました。親が見て肌で感じたアメリカ障害児教育の魅力」佐藤恵利子・佐藤 裕 著 定価1400円+税 学苑社 )

■操作の質問あれこれ

 山平喜一郎 明石市 k-yamahr@psn.or.jp

>  今度やっとニフティから CD-ROMが送られてきました。
> 環境のすごい変わりようにびっくり!
> ニフティマネジャー Ver.4.70 ですが、じつはインストールしようとした > ら、「 A:\NIFTY 」を修正する部分がよく分からず、こわくて先に進まず > やめてしまいました。
> 間違って今までのメール情報が削除されるんじゃないかと。
> 今のは Ver.1.40だったかなあ。(自信がない。2年前の今ごろのもの)
> 初めてインストールした時のことはよく覚えていないのです・・・。
> 私は ウィンドウズ95 の PCー98シリーズを使っています。
> すみませんが、また教えてくださいませ・・・。
 第一回目のメールを出す時、「かなり不安」だったんではないでしょうか?FAXだって一回目は「不安」がありませんでしたか?でも今は、当然のこととして、メールを出したり、FAXを送っていますね。人はだれでも慣れるまでは不安を感じるものです。

 まずコピーの件、パソコンがここまで一般化したのは、WinでもMacでも複数のウィンドウが開けて、指定した範囲の情報が、文字であれ図形であれ、ウィンドウをまたいで(もちろんウィンドウ内でも)、コピーや移動ができるからです。基本的には(入力できる)全てのソフトが、このこと(簡単に「カットアンドペースト」と言ったりします)を前提に設計されています。逆に言いますと、これはパソコンを使う(活用する)上での必須条件です。パソコンを使う人は必ずやっていることですから、安心してやってみて下さい。

 いきなりメールソフトよりも、まずワープロ、エクスプローラ、メモ帳、ノートパッド等でテスト用のファイルを二つ開いて、そこで操作方法を十分納得できるまで、やってみて下さい。(失敗しても害はありませんので)

 操作方法は重複しますが、以下のとおりです。

1. 範囲を指定する。(左上をクリックして、そのまま右下までドラッグ)
2. メニューバーの「編集」をクリックし、移動なら「カット」か「切り取り」、  コピーなら「コピー」を選ぶ。
3. 移動先またはコピー先にカーソルを持って行ってクリックする。
4. メニューバーの「編集」をクリックし、「ペースト」か「貼り付け」を選ぶ。
Winでは、メニューバーの他にもマウスボタンで編集メニューを出すこともできますので、やりやすい方を使って下さい。またソフトによって範囲指定の方法はもっと多くの機能がある場合がありますが、基本機能として上記の方法は用意されています。

 次にニフティーマネージャーのインストールの方法ですが、私はニフティーを使ったことがありませんので、一般論としてWinでのインストールについて述べます。
 Winでは一つのハードディスクを複数の論理ディスクに分けることが一般的です。PC98のWin95ではA,Bがハードディスク、Cがフロッピィーディスクとすることが一般的です。DOS/V互換機(IBM,コンパック、PC98NX等)ではAがフロッピーです。したがって、「 A:\NIFTY 」はニフティーマネージャーをインストールする場所を意味しているはずです。旧のものをAドライブにいれているのであって、置き換えるのであればA, 別のところに置きたければB(Bを設定している場合)を指定します。

 バージョンアップ用のCD-ROMならば、Aを指定すれば、プログラムの新しいものを入れて、古いものを消してくれるのが一般的です。その場合、データ(やりとりしたメール等)はそのまま残してくれるはずです。説明書または「始めにお読み下さい」ファイルにそのあたりのことは書いてあるのではと推測します。

 心配ならば、安全のために、過去のメールはフロッピーにコピーしておくとよいでしょう。これには「エクスプローラ」を使用します。(アイコンになければ、プログラムメニューにあります)右側にコピーしたいファイルを表示しておいて、マウスの右ボタンのドラッグで、左側のCドライブ(FDD)まで持っていきます。メニューが表示されるので、コピーを選びます。書類に羽が生えて飛んでいくような絵が表示されたら成功です。これもいきなり本番ではなく、文章の部分コピーで作成したファイルで実験することをお勧めします。

 以上、推測で一般論で書きました。ニフティーとPC98に詳しい方がおられましたら補足して下さい

■パソコンバンクのコーナー

障害児教育の原点
 前田俊幸 龍野市 PXE00631@nifty.ne.jp

 就学については少なくとも私も2回大いに悩みました。1回目は小学校です。就学指導委員会に親が出席できないことには本当に教育を受ける側の言い分がなぜ聞いてもらえないのかと腹が立ちましたが、普段から子供を知っている委員の人の意見が通ったようで、地域の小学校に通いました。2時間半の討議時間で、うちの子供に2時間使ったとかいう話でした。運動会は大変でしたが。2回目は養護学校に行くか、地域の中学校かですが、もう学力に十分差がついていたのと中学校の先生との意見交換で雰囲気が良くなかったことで養護にしました。でも地元の子供達と縁が切れてしまったのは残念です。

 Kさんが以前「障害児教育は教育の原点」と書いておられました。その子供を見つめ 、その状況にあった教育法を実践する、といったことではないかと勝手に想像していますが、行政の感覚とのギャップは大きいと思います。言葉は悪いですが、「できないものばかりを一堂に集め、それなりに時間を過ごさせる」感覚からでていないと思います。ごめんなさい、養護の先生方がそうだというのではなく、行政がその程度にしか考えていない、そのために貧困な財政が起きてくる、ということが言いたいのです。知恵遅れの子供に鉄道で通学させ、よくできる子供は徒歩や自転車で通学というこの矛盾!

 実は私の弟も教師をやっていますが、以前メーカーのクレーム担当だったときに「おまえのとこは製造物責任もたんですむからええなあ」と言ってやったら、「兄貴もいやなこと言うなあ、事実やけど。ただ製造中は(在学中は)きつい」と答えていました。特殊教育は、一筋縄では覚えられない子供に、いかに覚えさせるか、教えるかではなかったかとおもうのですが・・・

●前田さんの意見へ
  坪田 宏 兵庫県立播磨養護学校 QYQ01046@nifty.ne.jp

 前田さん,「できないものばかりを一堂に集め、それなりに時間を過ごさせる」感覚は,養護学校にはもちろん,行政も基本的にはそのような姿勢ではないと思います。その感覚がどこにあるかと言えば,それは「普通校」といわれる世界でしょう。なにをもって「できる」「できない」というのかという議論をせずに,ただテストの成績であるとか,大学の進学率とかで,生徒や学校の価値を決めるこの風潮です。

 私はもともと兵庫県の「阪神地区」出身ですので,今の学校に来て,近所の「普通校」から転勤してこられた先生の話を聞いて,その風潮にほんとにびっくりしました。前田さんは,養護学校の生徒ばかりが遠いところへ通学するようなことを言われましたが,高校になると,「できない」生徒たちは大人よりも遠距離の通学を余儀なくされます。家の近所に高校があるにもかかわらず,です。

 そのことだけでなく,私は今の学校に来て,障害児(者)教育にたずさわるようになって以来,「普通校」のおかしさに背筋が寒くなるような思いをしています。「普通校」から来られた先生は,生徒が勉強ができるできないとか素行がいい悪いは言っても,その年ごろの生徒の,一生懸命生きている姿(たとえば,体育祭や生徒会などで一生懸命悩みながらこんなことができた,とか)などを我々に伝えてくれません。生徒を見る視点が明らかに我々と違うのです。

 障害児教育を教育の原点とする意見に私は何の異論もありませんが,私が障害児教育をやっててよかったと思うのは,山平智美さんがろうそくの炎を吹き消すことができた,とか,私の持っている生徒が自分で初めて手の指の爪が切れた,というような,「普通校」ならどこにも評価できる欄がないようなことを,生徒とともに喜び合えたときです。

 「普通校」的評価にならされてしまうと,「障害児(者)」のやっていることは,何一つ「できたね,よかったね」と言えなくなってしまうと思うのです。それから,特殊教育は、一筋縄では覚えられない子供に、いかに覚えさせるか、教えるかではなかったかとおもうのですが・・・

 これにも私は同意できません。そもそも,「一筋縄」で覚えられる子どもが(「普通」の子どもを含めて)どこにいるのでしょうか?「障害児(者)」教育というと,その反対側に「普通の」教育があって,その「普通の」子どもたちは「普通に」教えればいいのだと思っている人がたくさんいらっしゃるようですが,それは大きな間違いだと思います。

 「障害児(者)」とひとくくりにできないように,「健常者」というのも決してひとくくりにできないのです。だから,養護学校であっても,「普通校」であっても,ひとりひとり違うのだということを,教育にたずさわる人や子どもを養育する人は分かっておく必要があります。そのことを教えてくれた障害児教育が,私は教育の原点であると思っています。

 わたしたち教師に対して,「覚えさせる」とか「教える」とかを期待されるのはよくわかります。しかし,子どもたちはそれをどのくらい期待しているのでしょうか。私は,子どもたちが,「ほら,これができたよ」といって,「普通の」目から見れば「つまらない」といわれるようなことを認めてもらえることをいちばん期待しているように感じています。私は,教師の力量の原点はそこにあると思っています。まだまだ言い足りませんが,このへんにしておきます。

●ふれあいネットワークの皆さん初めまして。
 和中勝三 和歌山市 wanaka-k@nnc.or.jp

 山平喜一郎さんから紹介をして頂きました、和中です。私は、ALS「筋萎縮性側索硬化症」8年生です。寝たきりになってから3年半、人工呼吸器を装着して2年半になります。和歌山県 和歌山市 和歌浦で在宅人工呼吸器療養しています。発病した時は、子供達3人は小学生でした、子供の成長を楽しみに頑張っています。在宅療養に移ってから、マッキントッシュを光センサースイッチで操作しています。

 昨年、5月から兵庫県三田市の同病者とマックが縁で交際が始まり、友人に教わりながら、パソコンを本格的に勉強して、やっと今年の7月にインターネット接続に成功して現在に至ります。今、ALsSメールと友人の作ったMac to Ke:nxの会に加入しています。

● 文部省のINSに関する指定校に
田中好國 兵庫県立播磨養護学校 yotanaka@hyogo-edu.yashiro.hyogo.jp

 10年度から12年度にかけて、本校はまた文部省のINに関する指定校になることができました。お聞きおよびかと思いますが、1.5メガの「光ファイバー」網が入り、サーバやルータなども整備される予定です。現在、兵庫県立教育研修所との接続のために、外部との「チャット」など使いにくい環境にありますが、動画などを含めたHPの送受信に威力を発揮しそうです。たぶん、この件につきましても先生にご指導を賜ることになるのではないかと考えています。

■皆さんからのお便り

●訓練会同窓会
前田俊幸  龍野市 PXE00631@nifty.ne.jp

 このネットとは何の関係もないのですが昨夜、10年来哲也がお世話になっている訓練会の同窓会を我が家で開き、楽しい時間が過ごせました。近くの保育園を週に1回借りて、2時間足らずなのですが播磨養護学校の先生たちとトレーニー、そして親が動作訓練法を実施しています。人は入れ替わりますが、連絡のつく限りで十数人集まりました。本来宿舎を借りてやるつもりだったのですが、台風で会場が我が家になったものです。

もともとしたい不自由児向けの訓練だったのがだんだん知的障害にシフトしました。「よくもこんなにつづきましたね」が何度も繰り返され、すでに就職した子もいます。ビールを初めて飲んだ子、脳性麻痺で注いでもらうときはテーブルにコップを置き、飲むときは両手で、等とこの会ならではの光景でした。ネットで飲み会は無理ですが、会員が増えたらご近所集まって・・・というのも楽しいでしょうね。

●おはようございます。
 渡辺正夫 千葉県教育委員会 w.nabe@ma4.justnet.ne.jp

 いつも情報提供ありがとうございます。いつもとびきり新しい情報をもらえるので大変感謝いたしております。 まだ1年もたたない私のコンピュータが先日動かなくなりました。また,95から入れ直しました。 これまでのデータがとんでしまい,とても残念に思います。 2度とこんなことがないようにと願うばかりです。今後とも,情報の方よろしくお願いいたします。 やっと日本も来年4月から,「精神薄弱」から「知的障害」になりますね。翻訳側からすると本当に遅いなと感じられるのでしょうね。

●「早穂理。ひとしずくの愛」を読んで
 山平喜一郎 明石市 k-yamahr@psn.or.jp

 私は読書が好きです。時間を確保できないので、もっぱら通勤電車の中で読んでいます。また、東京や九州に出張があると、新幹線の中でまとまった読書の時間が取れますので、出張が楽しみです。最近読んだ本を紹介します。「早穂理。ひとしずくの愛」という本で、「重度の脳障害をもつ娘と母の苦悩と癒しの物語」というサブタイトルが付いています。文章の一部を引用します。

「癲癇発作にも負けず、普通の子に近づけるために必死で脚の屈伸を繰り返す。早穂理ちゃんの足首には、いつしか手で握られた跡や、どこかにぶつけた紫色のアザができていた。」「『楽になりたい』 気がつくと、娘の首に手をかけていた。」「睡眠が昼夜逆転すると、真夜中に食事の時間がやってくる。」「ギャーッ、突然、悲鳴が社内の空気を引き裂いた。ーこの子は、自分の手で自分の眼球を・・・えぐり出してしまったんだ・・・」「点滴の栄養補給だけで生きている早穂理ちゃんの身体は、どこもかしこも針の跡でいっぱいになっていた。通常は注射を刺さないような細い血管にも容赦なく針が入れられる。身体にはあちこち紫色のアザが浮かびあがった。」

 この本の書き出しは、「幸せ。それは心の内にある。」で始まります。上記のような必死の子育てを経験し、早穂理ちゃんのまわりに集まってくる多くの人達とのふれあいを経て、最終章では次のようにあります。
「障害者は四葉のクローバー。幸福を運んでくれる使者。子供は神様がくれた素晴しいプレゼント。障害者の母親たちに対して、いや、すべての母親に対して、みどりさん(母親)はそういう受け取り方をしてほしいと願う。そんなふうに誇りをもって、我が子を抱きしめてほしい、とー。」と述べ、「すべての家族へ。そしてかけがえのないすべての命へー」と結んでいます。

 この本を読みながら、必死に我が娘の智美を生かそうと努力していた日々を思い出していました。智美の場合も類似の経験をしたからです。障害児を育てることは並大抵のことではありませんが、その子を受け入れたならば、そこにすばらしい幸せを見い出すことができるということも共通の到達点であると確信しました。今も必死で障害児を育てておられるご両親に一読いただきたい本です。

「早穂理。ひとしずくの愛」;塩沢みどり監修、中川奈美著、原書房、¥1400。

■「Fun For Everyone!-障害を持つ子供たちの可能性を広げるために-」セミナー

田代洋章 XLJ06351@nifty.ne.jp
●セミナー趣旨

 近年、コミュニケーションに障害のある方に対するアプローチとして「AAC」と いう手法が広まりつつあります。AAC(Augmentative and Alternative Communicationの略)とはさまざまな補助・代替手段をもって障害者・児のコミュニケーション能力を拡大していこうという手法です。

 欧米においては古くから用いられてきた手法ですが、日本では近年になってようやく一般的になりつつある状況です。特に子供に対するアプローチの一つとして注目されております。物あるいは人に対してコミュニケーションしようとする心理的な発芽・発達を目的の根幹として、補助・代替手段を提案して行く手法だからです。

 このAACというアプローチを実践する中で「シンプルテクノロジー」を利用した 機器を使用することが多々あります。シンプルテクノロジーを利用した機器とはハイテク機器の対義語に相当し、単純な機構・機能を持った機器と言うことができます。単純ゆえに、誰もが簡単に使用することができます。このシンプルテクノロジーを利用することで、障害を持つ子供たちを含め誰もが楽しくコミュニケーション能力を発芽・発達させることが可能です。言い換えれば、楽しさの中にコミュニケーション能力を発芽・発達させるヒントが隠されていると言えるのではないでしょうか?

 今回のセミナーにおいては障害を持つ子供たちの可能性をひろげるために、できるだけわかりやすくAACを理解していただき、シンプルテクノロジーを利用したさまざまな機器を具体的にどう活用すればよいのかを 米国と日本での実践例を通して皆様方に提案したいと考えております。

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●講師
1:AACについての概略
札幌・仙台<中邑賢龍先生>
東京<吉澤千恵さん>
大阪<岩根章夫先生>
福岡<福島勇先生>)
2:AACと機器/国内での実践例(講師:こころ工房/英さん)
3:AACと機器/米国での実践例(講師:able net社/Peggy Lockeさん)
4:質疑応答
●日時と会場
 11月1日(日)札幌:北農健保会館(13:00-17:00)定員80名
 11月3日(火/祝)仙台:仙台市福祉プラザ(13:00-17:00)70名
 11月7日(土)東京:国立オリンピック記念青少年総合センター(12:30-16:30)200名
 11月8日(日)大阪:アジア太平洋トレードセンター O's棟6Fコンベンションルーム
( 14:00-17:00) 120名
 11月9日(月)福岡:福岡市市民福祉プラザ(13:00-17:00)100名
●主催:FFE事務局
●参加申込先
大阪市北区同心2-5-22パシフィックサプライKK内 CA係
fax 06-352-9991
●参加無料
但し、定員に達し次第打ち切らせていただきます。申込はメールでも結構です。
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■「アクセシビリティセミナー」

このたび、パソコンの業界団体の「PCオープン・アーキテクチャー推進協議会(通称OADG)」によって、OADGフェスタ '98が開催されますので、ご案内いたします。参加は無料です。今回は、技術セミナー1として、「アクセシビリティセミナー」を企画しております。国際福祉機器展の最終日にあたりますが、多数の皆様のご参加をお待ちしております。OADGホームページもご覧いただければ幸いです。
http://www.oadg.or.jp/
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テーマ:パソコンを誰にでも、より使いやすく
〜アクセシビリティへの取り組み〜」
会 場 :幕張メッセ 国際会議場1F ファンクションルーム
日 時 :11月6日(金) 13:00−14:00
講 師 : マイクロソフト株式会社 佐藤 秀一
日本アイ・ビー・エム株式会社  飯塚 慎司
テクノツール有限会社 島田 努
富士通株式会社 飯塚 潤一(敬称略)
概 要 : 体の不自由な方や高齢の方がパソコンを使う際の問題点と、それを軽減するための技術(アクセシビリティ)をOS、パソコン、ペリフェラルの観点からご説明します。OADGとしての取り組みについても紹介します。
 次のいずれかでお申し込みください。
FAX:044-246-9702,e-mail:festa98@oadg.or.jp
お申し込み締め切り11月2日(月)迄。
なお定員になり次第締め切りいたします。
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では来月の会報をお楽しみに。