1996年5月の会報です。

障害者とコンピュータ利用教育研究会のホームページ




目次

「MES自作教材集CD-ROM'96」を配布しています 第70回関東例会のお知らせ 第70回関西例会のお知らせ 第69回関東例会の報告 第68回関東例会の報告 The Magical Toy Box から QuickTime Conferencingの実験 天狼 & ディル in Madison 「皆さんからのお便り 自作教材の紹介 市販教材の紹介 書籍の紹介 埼玉の障害児教育とコンピュータ利用を考える会(障コン会) 国立特殊教育総合研究所での研修報告 事務局よりのお願い

673-14 兵庫県加東郡社町山国2007 兵庫教育大学 学校教育研究センター 0795-40-2205 phone 0795-40-2203 fax naritas@ceser.hyogo-u.ac.jp nifty serve: MGH00175 Web上の会報URL: http://www.ceser.hyogo-u.ac.jp/narita/mes/mes.html

「MES自作教材集CD-ROM'96」を配布しています。

 おかげさまで「MES自作教材集CD-ROM'95」は好評で、いろいろな方々に使っていただいております。「No.2を出してほしい」という声が多かったので、このたび第二弾の「MES自作教材集CD-ROM'96」を製作しました。
 教材を作った人は小中学校の教員が主で、作品に流れるコンセプトは、遊びを通して学習のレディネスの育成、表出活動による創造性の育成、調べや探索・学習シュミレーション学習の支援、教科別の予習や復習の支援などとなっています。
 95年版と同様に96年版も教育目的のために非売品となり、MESの研究紀要的性格を持ったものになっています。これまでと同様、送料などの実費はユーザーからいただき、これを基金とし増版や次作のCD_ROM制作に使いたいと考えております。いずれのCD_ROMもマキントッシュコンピュータで動きます。
 お申し込みは、ハガキか封書、あるいは電子メールでお願いします。折り返しCD-ROM'96と郵便振り替え用紙を同封いたします。なおCD-ROM'95版版も若干残部がありますので、必要な方はその旨お書きください。
●送料実費 2,000円 (95年・96年版とも1枚につき)
●申し込み・問い合わせ先
〒520 滋賀県大津市際川3丁目9-1
滋賀大学附属養護学校 大杉成喜
 Email: osugi@sue.shiga-u.ac.jp Nifty: HGA01651
または、
〒673-14 兵庫県加東郡社町山国 2007
兵庫教育大学学校教育研究センター 成田 滋
0795-40-2205
 Email: naritas@ceser.hyogo-u.ac.jp Nifty: MGH00175

第70回関東例会のお知らせ

◎日時:1996年5月11日土曜日午後2時-5時
◎会場:東京都失明者更生館 (新宿区河田町10-10 03-3353-1277)
 お世話役 失明者更生館主任指導専門 深沢茂氏  幹事 永田和子氏 林正直氏
◎交通:新宿西口小田急ハルク前から都営バス抜弁天経由「東京女子医科大学行き」に乗り「河田町」でおります。進行方向へ70m歩くと左手に青春出版があります。その向かい側に無人の交番があり、その隣に都失明者があります。バスで15分、徒歩1分です。どなたでも参加を歓迎しています。お気軽にお出かけください。

第70回関西例会のお知らせ

○日時:5月25日(土) 2:00-4:30pm
○会場:大阪教育大学附属養護学校 平野区喜連 4-8-71 電話 06-708-2580
    幹事 中島康明氏
○交通:地下鉄谷町線「喜連瓜破」で下車。左に折れ徒歩2分のところに学校があります。初心者や親子連れの参加を歓迎しています。
○プログラム
 自作教材CD-ROM'96の使い方
 いろいろな市販ツールの紹介
  Oracle Media Object-j 滋賀大学附属養護学校 太田容次氏

第69回関東例会の報告

 桜の花も咲きほころぶ4月13日、おなじみ深沢氏のお世話で失明者更正館で関東例会は行われました。参加者はピーク時で17名、横浜の藤重さん、千葉の聴覚障害で片目は失明、残りは弱視という17歳の乙女が両親と出席してくれました。千葉から出席してくれた熊谷氏、宮川さん等に紹介でき、当人やご両親が喜んでくれました。今後の活躍に役立てばと思いました。失明者更正館で訓練を受けている高2のお嬢さんや、今年小学校に入学した筋ジストロフィーのお子さんと新しく来られた方もいての会となりました。さらに、鐵川さん、それに栃木からは宮田氏のほか、久しぶりに栃木の沼尻さん、そのほかに、今年、光明養護学校小学部へ入学された筋ジスのお子さんをお連れになったお父さん等のほか、研究会の安永さん、黒図さん、娘さんを連れた谷中さん等、それに林さん、永田さん、そして佐原で新しい年度はじめの会となりました。
 まずは、深澤さんと知り合ったことで初参加となった藤重さん。某メーカーのハードウェアやボードを設計している方です。あるゲームソフトのロジックボードを作っていた際、過労で30代の若さでクモ膜下出血で倒れたという壮絶な経験をお持ちの方です。コントロール・パネル書類の「クローズ・ビュー」と「リーダーズ・トーカー」を組み合わせたAppleScriptです。内容はというと、当人によれば「OSのボイスナビゲーションという位置づけ」ということです。具体的には、このスクリプトが実行されるとクローズ・ビューによってフォルダやアイコンが7倍の大きさになります。そしてタブ・キーを押すとデスクトップ上のフォルダやアイコンがひとつづつ画面中央に現れ、なおかつ、その名前を読み上げてくれるというものです。タブ・キーを押せば次のフォルダなりアイコンなりを表示します。
フォルダ内のアイコン等もひとつづつ選択することができます。この場合仕掛けとしてはフォルダ内のアイコンなりフォルダなりを指定されたデスクトップ上に移動しているわけですが、使っている方はそういうことを意識する必要はありません。フォルダを開けるのは「コマンド+O」という普通の方法です。「リーダーズトーカー」ではたとえば、HyperCardは「H・Y・P・E・R・C・A・R・D」と短音読みになってしまいます。「スピーチ・マネージャー」を使えばなめらかな発音が可能とのことでした。実際に、参加した弱視難聴のお嬢さんに使ってもらいました。「大きい。読みやすい」とのことでした。ただ、元の表示がOSAKAの9ポイントだったので大きくなった分、何の漢字かわかりづらいものもあり「読めない」とのことでした。コントロール・パネル内の「表示」を24ポイントにすればそれなりに読めるのですが、そうすると名前が画面からはみ出してしまいます。「リュウミン」にすればよいのでしょうがそうすると他に使う場合に遅くなります。藤重さんによれば、「表示フォントをトルゥータイプフォントの文字に置き換えるスクリプトを書けばなんとかなりますね」とのことでした。参加者からは「フォルダごとの整理をしっかりすればブロックスキャンできるね」といった感想がありました。
 深澤さんによれば、「雄弁家」「ドキュメント・トーカー」のボイスナビゲーションのためのAppleScriptも藤重さんにお願いしているそうです。藤重さんからは、「本格的にやるとするとメニューまでいじらなければならないのだけど、今回のは、まぁ、それらしく振る舞うということで」と謙虚な弁でしたが、参加者一同、本格的なAppleScriptの例をほとんど知らないので「すごい」より感想がでませんでした。やはり、本格的な設計畑の人は違います。藤重さんの「本当はスクリプトを書くのは苦手でして、ロジックボードを設計する方が楽なんですけど」なんていうのはもう我々の理解を超えています。
 次は、不肖私の新作「じゃんじゃかじゃん」「どんどこどん」というスタックの設計途中版の紹介です。「じゃんじゃかじゃん」はフォークギターを抱えた女の子の絵の右に「C」「F」「G」とコード(和音)ネームのボタンがあり、それを押すと、コードの音と共に絵の腕が動いてギターをかきならすという趣向です。養護学校の合奏などでは、「障害の程度の重い子はタンバリンか鈴といった簡単な打楽器」といった図式が多いので、これを使えばギターをひけなくても和音演奏ができるといったことで作りました。曲によっては、どこでならしても何とかつじつまの合う和音というのがあるのでそうすれば自由にマウスをクリックして合奏になるというものです。安永さんから「ボタンをバックグラウンドにして、スクリプトを多少書き換えると1曲丸丸の演奏もできるよ」といったアドバイスをいただきました。私自身が驚いたことがひとつありまして、このスタックはPerforma575で作ったのですが、どうしてもギターの音と腕の動きの同期がとれず「まぁ、試作品だからいいか」と持っていったのですが、会場のPowerMAc8100/100だとぴったり同期するのです!やはり時代はPowerMacなのでしょうか。
 もうひとつの「どんどこどん」はドラムとそれをたたく女の子の絵があり、今回はドラムの、例えばシンバルをクリックするとシンバルの音がするというところまでの出来でしたが、今後は音がなっている間は女の子がドラムを叩くアニメにする予定です。これを作った動機は今年受け持った(高3)教室の隣が小学部低学年でうちの教室のパソコンで遊んでいるのでお遊びスタックとして作りました。合奏で使うようなら音を限定するとか差し替えるといった改造で対処できると思います。また、8ビートとかSwingとかいくつかのパターンを演奏できるようにとも思っています。こちらには深澤さんから「さっきのギターと組み合わせてバンドのアニメにしたら」といった意見というか好き勝手というか...まぁ、考えていきましょう。
 さて、最近「ハイパーカード・ユーザー」から「OMOユーザー」への鞍替えを宣言した東京学芸大学附属養護の安永先生。そのOMOこと「OracleMediaObjects」の紹介です。主にハイパーカード似ている点違う点ということで話をしてくれました。似ている点は何といってもスクリプト記述。「OnMouseUp〜EndMouseUP」など見慣れた表現に加えて、リソースを動かす記述はえらい簡単で「昨年のSimLunchやあどべんとかれんだぁで味わったあの苦労は何だったのだろう」とは本人の弁でした。違う点としてはツールバーがワープロや表計算のソフトのようにメニューバーの下にでてくること、カラーの絵はリソース化できるけど音や映像はリンクするだけであることなどです。また、Performa630(68040機)でもストレスなく動かすことができることと、Ms-Windows上でもランタイムを使って動かすことができるのはすごいということでした。実演ではあの名作、「あどべんとかれんだぁ」のOMO版製作(本当にどんどんできていく)や男の子が歩くアニメを紹介してくれました。
 次は、栃木県から久々の登場、沼尻さんから「手にことばを・入門編」(富士通)という手話の学習ソフトの紹介でした。ハイブリッド版でQuickTimeMovieで挨拶などの手話の実演と、手話がどういう意味でその形なのかを説明してくれるというものです。早速クローズ・ビューで画面を拡大して先ほど登場したお嬢さんに体験してもらいました。
 お次は、このまま「手にことばを・入門編」のデモ体験組と文字放送の実演体験組に分かれました。恒例、この後の懇親会では栃木県立今市養護学校の宮田宜浩先生がうっかり墓穴を掘り、今市養護の学校紹介ビデオ(Macで作ったそうです)を来月紹介していただくこと(はめ?)になりました。次回5月も失明者更生館を会場に行われる予定です。
(レポータ:佐原恒一郎(千葉県立市川養護学校 Nifty-Serve GEC02532)

第68回関東例会の報告

 北風は吹いているけれど、日ざしの暖かさは春を感じさせる3月 9日に、富士和興(株)さんのご好意で会場をお借りして3月例会はひらかれました。このところ、東京での開催が多いという声に応えて会場を確保した甲斐があって、神奈川周辺のメンバーが集まり、東京でおこなうときには、参加が難しい方々の参加がたくさんありました。
 参加者は11人、遠くは筑波大から、また、MacPower誌からの取材も入ってとなかなかの盛り上がりが期待できる展開となりました。
 今回は、EXPOの会場で公開したCD-ROM Vol.2の紹介、大貫氏「それらしく見える見取図の描き方の基本」講座、佐原氏「マンガ(アニメ?)風人物の描き方β版」講座、森氏「自作教材の紹介」、荻野氏「Hypermomoderaのデモ」と盛り沢山の内容で進められました。
 CD-ROMは、今回、ますますグレードアップした内容でした。とはいえ、デモを見ている参加者の方も目が肥えてなかなか活発な意見が出されていました。Expo時のお客さんからの反応も製作者本人に伝えられて…。外国人が漢字を覚えるのに使えるとか、こんなソフトが欲しい、通信を利用して話し合って作られた作品もあることや、HyperCard以外でオーサリングに使えるツールの話……。全部を開く時間はなく、完成版の登場が待たれます。いつかは自分も、と思うのですが、あれほどの作品群を見せられると……。
 大貫氏からは説明用のプリントつきで立方体をモデルに、平面上でらしく描くためのポイントとルールを披露していただきました。あくまでも自分で身につけてきたルールなのでと謙虚な大貫氏でしたが、側面に文字を張り付ける、その他の図形を張り付ける際の縮尺等、教材製作時に悩んでいる自分にとっては助かるなあ〜という企画でありました。
 描くポイントパート2は、佐原氏により「人物(顔?)の描き方支援スタックβ版(まだ課題が残っているとのことで…)」でした。リアルに描くのと、マンガ的にデフォルメすることとの違い、から始まって、最終的には自作のマンガ原稿を回覧しての熱演となりました。このマンガは氏が校内の職員向けにコンピュータ利用を啓発するためのプリントに載せているものでなかなかの出来映え、いつか機会を見てMESで発表してもらおうかなという話もちらほら……。また、その他のイラスト類も「マンガを本職にしたかったこともある。」佐原氏談…という作品でした。  森氏の自作教材は、MOによる100MBクラスの大きなものもあり、「本当はCD-ROMに載せたかったのだが、一部著作権の面がクリアできなかったので」とのコメントがありました。文字の練習用の可愛らしいスタックあり、生徒が大好きな電車のQTムービーありとなかなかの力作ぞろいでした。上手に著作権の問題をなんとかして97年版CD-ROMに期待でしょうか。
 荻野氏の「Hypermomoderaのデモ」は、時間の関係で細かく突っ込んだ話が難しかったのが残念でした。しかし、HyperCard上であれだけのことができるという点はかなりすごい!という印象が残りました。高機能な分だけ、スクリプトを書くのは初心者には難しいかもしれない(レポーターだけか……(^^; )。
 MacExpoで買ったという紙芝居(むかし懐かしの)を収めたCD-ROMの紹介も好評でした。単純な作りだけに、より郷愁をかきたてられました。というところで、あっという間に制限時間となり、話し足りなかった部分はいつもの二次会へと持ち込まれ、鍋をつつきながら再び盛り上がりました。ここでも、面白いエピソードがあったのですが、それは、オフラインの話で、ということにしておきたいと思います。最後に二次会まで参加してくれた渡辺君に一言、「また、遊ぼうぜ!」(レポータ:熊谷 修 VYT02721)

The Magical Toy Box から

 当日は、The Magical Toy Boxが吉澤さんはじめ、保護者の方々および、サポートされた元府中養護学校の諸先生方の熱意ある協力関係の下に、調布の文化会館で開催されました。ほぼ One Flore を借りきるという状態でした。12時に開場ということでしたが、40人のボランティアの勢いのすごさか?少し早くから参加者が来られ、思わず慌てるやら、うれしい悲鳴をあげることになりました。そうして、その勢いは、閉会の5時まで続き、何と100余の家族の方々が来場されました。今回の会は序盤戦とのことで、本格的には8月をめざしているのだと、リーダーの吉澤さんは気を引き締めておられました。
 Apple Disability center の花岡さんも情報や資料を机に並べ、訪ねてくる人々に説明をする、という応援をしておられました。そうしてパシフィックサプライ株式会社の方々も、さまざまな製品を紹介、説明のためのコーナーを設けました。大きな机2〜3個の上に並べられた製品について、参加者一人ひとりの要望に応えてくくれ、盛会のうちに無事終了しました。後日、反省会も行われたようです。 (報告 永田和子)

QuickTime Conferencingの実験

 兵教大の学校教育研究センターでは、キャンパスとの間でQuickTime Conferencing Kitを使ったビデオ会議の実験を行っています。現在は、大学院生を対象とした研究指導や授業のための打ち合わせが主たる実験課題です。このシステムは衛星通信システムのバックアップに使う予定です。
 2-4箇所の研究室をつないで行ったこのビデオ会議システムの実験評価から、次のような結論がでています。
1. 被写体の動作が少なければ、画像通信の品質は充分であること、
2. 音声通信の品質は、高感度マイク、アンプ付き外部スピーカなどを用いれば充分な質であること
、 3. 音声の断絶はないが、通信の遅延の影響が大きい
4. 2地点間でも多地点間でも映像、音声の品位は変わらない。
 これまでの実験では、学内LANを流れるパケット量を制約することで画像、音声とも充分な品位で通信できることがわかりました。インターネットを流れるパケット量は多いので、衛星通信回線のバックアップとして利用するには、現在の学内LANの512Kという専用線では困難であることもわかっています。釈迦に説法かもしれませんが念のため、QuickTime Conferencingでのビデオ会議には、漢字Talk7.5以上で、16MBのRAM、AV機能対応でイーサーカードのついたMacがあれば大丈夫です。よろしければどなたか実験をやりませんか。成田の研究室のIP Addressは<202.254.13.135>です。


天狼 & ディル in Madison

〜自閉症児を連れてアメリカへ〜その2
佐藤 裕 ysato@execpc.com
http://execpc.com/~ysato/tenro.html
 私たちは、重度自閉症児テピ(11歳)と普通児ヨピ(8歳)の父と母です。1995年11月15日に札幌から米国ウィスコンシン州マディソン市にやって来ました。滞在は1年間の予定です。私たちは、NIFTY-Serveの「障害児教育フォーラム(FEDHAN)」に参加しています。「天狼」と「ディル」はそこでのハンドル(ニック・ネーム)です。

I. テピの拒絶と適応--マディソン到着直後
1.拒絶
 ユニバーシティ・ハウスでの新たな生活が始まりました。ここショウウッド・ヒルは、湖の近くに位置し、なだらかな丘の上の林に囲まれた住宅地です。歩いているとリスやキツツキの仲間に頻繁に出会えます。もうすっかり冬景色で、木々は葉を落とし、湖にはうっすらと氷が張り始めました。テピの大好きな自然に恵まれているというのに、テピはこの環境を受け入れません。「散歩行こうか?」いつもならこの一言で大喜びするのに、今ではこの一言がかんしゃくの原因になってしまいます。
 テピの安定剤として日本から予め送っておいたCDラジカセで聞くテープが、多少は彼の心を慰めてくれているようですが、効薬にはなりません。また、この家に入居したその日にテピのために直ぐに買ったビデオデッキ内蔵型テレビで見るテピの定番ビデオも、ないよりはましという程度の効果しかありませんでした。 「おうち、かえろうね」
テピはしつこいくらいこの言葉を繰り返します。
「うん、帰ろうね」
と答えてあげればしばらく落ちついていますが、嘘でその場しのぎをしてよいものだろうかと思い悩みます。最近の彼は思いこみが激しくなっているので、その思いこみを強化するような言動は慎むべきではないかと思うのです。「(心の中で「来年」)帰ろうね」というと、まるでこちらの心を見すかしたように、「あした、かえろうね、ほっかいどう、いこうね」と言い返します。ここでこちらが否定の言葉を返そうものなら、かんしゃくが始まります。彼の拒絶がいつまで続くのか、私たちには全く予測がつかないのでした。

2.適応の兆し
 マディソンに来て6日目の朝、テピはアメリカに来て初めて、「くまちゃん」に「くまちゃーん」と言いながら抱きつきました。「くまちゃん」というのは熊を形取った寝袋で、テピが生まれたときにお祝いにいただいたものです。日本にいる時は、このくまちゃんとゴリ君(ゴリラのぬいぐるみ)がテピの親友みたいなもので、安定剤として大きな役割を果たしていました。
 ユニバーシティ・ハウスに入居したとき、「くまちゃん」は既に届いており、テピはいつでもくまちゃんに抱きつくことはできたのですが、自分からは接しようとはしませんでした。私たちが「ほら、くまちゃんだよ」と言って渡すと、黙って受け取りますがこれで不機嫌が解消するわけではありませんでした。
 ところが、この日の朝は違いました。自分から「くまちゃーん」といいながら抱きついたのです。不機嫌とかんしゃくだけだったテピに初めてやわらかな笑顔を見ることができました。落ちついて考えてみると、兆しは前日からあったような気がします。前々日からレンタカーを借りており、買い物に出かけることが多くなっていたのですが、テピはかんしゃくを起こさなくなっていました。相変わらず「おうち、かえろうね」を車の中でも店の中でも連発してましたが。
 前行った時にパニックになった巨大な日用品店でも安定してました。札幌にいるときによく行っていた店「○○ホーマ」を思い出すのか、「○○ホーマ、来たねー」とつぶいやいてました。新しい環境をすべて拒絶していた彼が、自分なりに世界を再構築し始めているのかなと思うと、不安でいっぱいだった私たちに、一条の光が差し込んできたような気がしました。

3.適応
 マディソンに来て6日目にくまちゃんに抱きついたテピはその日以降、 「おうち、かえろうね。」
と言わなくなりました。彼の中でどういうふうに変化したのか分かりませんが、全く言わなくなりました。
「散歩に行こうか?」
 今度はテピは大喜びでコートを着て靴を履きました(テピは玄関で必ず靴を脱ぎます。したがって家の中では靴を履いていません。ヨピは面白がって靴のまま家の中を歩き回ります。最近はテピを見習ってうちではみんな靴を脱ぐことにしました)。アメリカに来て初めての散歩です。外は凍えるほど寒いのですが、ショウウッド・ヒルの自然はテピの気にいったようでした。コミュニティ・センターの近くにある遊び場にブランコがありました。テピとヨピはアメリカ式のブランコに乗って長いこと楽しみました。十分にブランコを楽しんだ後、テピは言いました。
「おうち、かえろうね。」
おうちはユニバーシティ・ハウスをさしていることが、テピの和やかな表情から明らかでした。
 こうしてテピは完全に適応しました。現在はユニバーシティ・ハウスでの生活を楽しんでいます。ゴリラのぬいぐるみもマディソンのマーケットで買いました(買った日の夜は嬉しさのあまり眠れなくなって、夜通し「ゴリ君!」といいながら抱きしめてました)。大好きなくまちゃん、CD、カセットテープ、ビデオテープに囲まれた生活は快適そのものなんでしょう。家は暖かくて広いし、階段もあるし。  ステイト・キャピタル(州議事堂)に見物に行ったときに、巨大なクリスマスツリーを囲んでたまたま開催されていた「クリスマス聖歌」音楽会も最初から最後まで大人しく聞くことができました。帰り道、夕暮れに染まるマディソンの街のあちこちで輝くクリスマス用のイルミネーションを見て、テピは「クリスマス!クリスマス見たねー。」とはしゃいでいました。たしかにはしゃぎたくなるほど、美しい光景でした。

II. M-Team Evaluation
1.我が家で行われたM-Team Evaluation
 学校や教育委員会の記録は全て親が見る権利がある・・・・・・。ウィスコンシン州の特殊教育に於ける親と子どもの権利をうたった書簡を、ミーティングのたびに手渡される。そして、特殊教育委員会と行き来している書類の写しが必ず私の元に届く。これを取りにわざわざ学校に出向かなければならないこともあった。
 M-Team Evaluationの通知に目を通すと、疑われる障害の一覧にはCognitive disability(認知発達障害)と Autismにチェックがしてあった。そこでわが家に哲平の詳しい評価をしに訪れたのは、自閉症のスペシャリストであるジョエルとCognitive Disability (CD) Program Support Teacherのベスだった。彼女達はたくさんの教材の入った大きな鞄を抱えて吹雪きの中を雪だらけになって現れた。

2.教材を使っての関わり
 彼女達が現れた時、テピは窓の外の雪をひたすら眺め続け、彼女達を無視していた。教材を使って何がどれだけできるか正確に見たいという彼女達の誘いに乗る気配は全くなかった。そこで先ず、私が教材を使ってテピと関わり、徐々にジョエルへとバトンタッチしていく方法をとることにした。ジョエルが持ってきてくれた教材はテピのレベルに合っていて、私もテピも迷うことはなかったし、前回の私の報告をよく把握してくれたことがよく分かった。
 この方法はうまくいき、15分間学習を続ける事ができたことをジョエルは喜んでいた。ジョエルは時々シャボン玉を吹いて見せることでテピの視線を自分に向けさせていた。一度、ご褒美?気を引く?ためのお菓子(セサミクラッカー)をもらって食べるが、テピはその目的をくむ様子は見られなかった。

3.コミュニケーションカード
 家で使っているカードを実際どう使っているのか見せ、それを具体的にどう変えるか話し合う。まず、ジョエルが加えて欲しいという言葉の絵カードを増やすことにする。新しい言葉の絵は、コンピューターに入力してある絵を参考にしながら、私が書くことになった。そしてカードの上端には英語、下端にはローマ字を添えた日本語を明示する。テピが理解しにくいと思われる言葉には写真を撮って貼る。「おやつ」の絵は学校で用意できるものに限定すること。「ごはん」の絵も学校のホットランチに変えることなども付け加わった。カード作成作業は全面的に私に任された。ジョエルに合う度に作ってほしいという言葉が増え、結局は40枚余りのカードを作ることになった。

4.テピの好きな物
 テピの気持ちを落ち着かせられる物、やる気にさせられるものについて、前回に続いて具体的に試しながら話し合う。音楽、ビデオ、運動、食べ物、接し方などあげる。実際、好きな音楽を聞いて足踏みしながら笑うテピを見て、ジョエルもテピの手を取ってにこやかに一緒にリズムをとっていた。テピの好きなジャパニーズティー(ほうじ茶)も試飲してもらう。子どもを誉める動作は、日米ともそう変わらないことも分かった。そして、ジョエルの提案の、テピの好きなカセットテープの入ったウォークマンと、ほうじ茶の入った携帯用ポットを毎日学校に持っていかせることに同意した。

5.その他
 ベスがテピの学習能力の細かいことを私に聞き、記録をとる。約2時間にわたるのわが家でのミーティングは、4日後に学校に於いてIEP作成のためのミーティングの約束をして締めくくられた。この時、テピがホームスクールに通えることと、そこには専門の先生が いることを知ることができた。3日後に郵送られてきた、行政官のサインいりのM-team Findingの通知には7ページに埋めれれたテピの評価と、勧めたい教育やサービスの内容、親の評価まであった。

(この文は佐藤裕氏の許可を得て掲載しています。感想をお寄せ下さい。なお、佐藤氏へのメールは、niftyserveの場合は、宛先の箇所にINET:ysato@execpc.comと入力して送信します。-narita-)


皆さんからのお便り

●MES自作教材集について
 東京都 松本聖一 LEB06676
   MAC Expoのユーザー会で、障害者とコンピュータ利用教育研究会のお知らせをもらい2ヶ月以上過ぎているのですが、最近ようやくNiftyに入会してメールを出せるようになりましたので早速お便りしています。このMES自作教材集とは、どのようなソフトウエアなのでしょうか?私の次男は、平成4年8月生まれで現在3才8ヶ月なのですが、言葉の発達が遅く区立の心障者センター自閉症専門の子供の療育を専門とする会など、いろいろと参加させていただいております。以前、妻が助産婦をしております東大病院分院で診療していただいたことがあるのですが、○○○性自閉症と診断されています。(○○○は名前を忘れてしまいました。確か非定型自閉症....)日常生活ではなんら支障もなく、現在は、保育園に毎日通っています。ただ単に言葉が出ないというだけなのです。次男もいっぱしのMACユーザーで、自分で電源をいれてCD-ROMをセットして、子供向けのソフトウエアを自分でやったりしています。そこで、息子でもできるようなソフトをいろいろと買ってあげたりしているのですが、MAC ExpoでMES教材集のことを知り、非常に興味をもっています。現在は、まだ2才のレベルを越えていないような息子ですが、使えるようなソフトウエアでしょうか?

●近況報告やらです。
 筑波大学附属大塚養護学校 永田和子 HGC02524
 4月1日より、筑波大学附属大塚養護学校へ転勤しました。私は、当分、逗子の家から通勤します。幸い横須賀線は始発車、あるいは増結車ですから一時間座って東京まで行けます。さらに、東京駅では一番近いコースの乗り換えで丸ノ内線に乗り、五つ目の後楽園駅下車なので、一時間半強というところなのです。むしろ、身体はその一時間の休みで楽になると思っています。21年間、久里浜養護学校に勤務しての転勤なので、まるで他所の国にいるような感じです。
 児童・生徒が久里浜と異なることでは、何ら戸惑いはないのですが、やはり、組織体制の違いには戸惑いを感じます。しかし、何といっても心強いのは、老齢の私に対する片岡校長先生の暖かい励まし、また、同じ中学部にMESの会員、野村勝彦先生それに正木隆先生というMACユーザーの大先輩がいて下さることです。お陰様で快適に過ごしています。
 新入生の中学生の担当になりますが、とても可愛く、また、保護者の方々もたいへん信頼して下さっているので、久里浜のときから引き続き、よい保護者に恵まれて幸せです。大塚養護学校には、昨年度、野村先生のご苦心でMACが導入されていますので、完全納品を待ち職員へのお披露目を済ませた後、生徒たちに使用してもらえる環境作りの仕事があります。生徒たちの喜ぶ姿が見えてくるようです。

●福岡の小宮です。
 小宮幸三 福岡県立筑後養護学校 k-komiya@jms09.jeton.or.jp
 この春の人事で筑後養護学校に移動しました。今まではなんとなく一人聾学校といった感じでしたが、今度からは今まで以上に他の学校の先生方とも話題が共通していいのではないかと思っています。
 さて、MESの福岡例会(6/30)の件ですが、内容をそろそろ考えてアナウンスをしなければと思っています。私自身が考えていることは、対象としては特殊教育諸学校及び特殊学級の先生方、それに保護者と思っています。また、初めての九州での例会と言うことで長崎、熊本あたりからもこられるのではないかと思っています。  内容として、基本的には顔合わせ程度で終わってもいいと思っています。Macが学校にありながらも使い方がわからず、ほこりをかぶっているのが現状ですから、ヒューマンネットワークを築くきっかけになってくれればと思っています。といってもなにかしないといけないでしょうから、MESの96年版教材CDからいくつかを紹介したり、市販されている教材を紹介したりしたらと思っています。
 それと、一般の発表(中央養護学校の長谷川先生に打診中)も募集したいと思っています。さらに、キーネックスのデモをできればと思っています。福岡市の発達教育センターには一式そろっているので、使える人さえいればデモすることができます。九州あたりで使いこなしている人をどなたかご存じでしょうか?もし、いないようであれば、アップルのデイスアビリセンターもしくは成田先生、関西地区の養護学校の先生方に援助していただけたらと思っています。
 そして、もう一つにインターネットの体験、いろいろな特殊教育諸学校のホームページを見たり障害児教育に関するホームページをご紹介できればなと思っています。できれば、実際にモデムを使ってアクセスしたいと思っているのですが、発達教育センターの電話回線が使用できるか現在調査中です。もし、むつかしいようであれば会場を中央養護学校(隣)にしようかなとも思っています。
 勤務校は変わったものの、住まいは福岡市にまだあるために片道2時間の通勤をしており、なかなかメールを読む時間が持てません。6月の初めくらいには引っ越しをする予定なのでそれまでの辛抱です。6月30日に予定しているこちらでの例会ですが、発達教育センターは、交換機を入れているためにそのままでは使用できないようです。交換機の設定を変更すればできるのか、それとも別回線で引いてあるFax回線を会場まで引っ張って使用しようか、いろいろと検討中です。それから、高知の横井さんにもキーネックスの利用の仕方についてさっそく連絡を取ってみたいと思います。
 筑後養護は、マウスとキーボードだけで特別な入力機器はいっさいありません。5月にもらう懸賞金でタッチウィンドかキーネックスを買ってみようかと思っているのですが、安く買えるところをどなたかご紹介いただけませんか?

●ページを見ました
 東京都北区立障害者福祉センター 福澄節夫 JCH00214                     setu@aqu.bekkoame.or.jp
 早速、WWWページを見てみました。会報のページに載るだけだと思っていたのですが、、、事前に見せて頂き喜んでいます。私もWWwページを作ってみたいと「Arachnid185」というソフトをパソコンに入れてみましたが、いまだに良く使い方が分からないでいます。北区のホームページを兵教大のサーバーに置いて頂く件はできるだけ早く職員、および使用者で検討したいと思います。また、現在光明養護学校の伊藤先生にedhandのメーリングリストを教えて頂き、東北大学の小林さんや日本障害者雇用促進協会の丹さんからは、末広ハウスというところのマックサロンの責任者の小菅さんと連絡をとることを進められています。どういう展開になるか自分自身も分かりませんが、今後ともよろしくお願いします。

●キネックス3.5を読み込むと爆弾
 広島県立教育センター 竹林地 毅 TCC00140
 本日はまだインターネットの講習会をされているのではないかと思います。いつも,会報を送っていただきありがとうございます。本日の人事発表で,引き続き県教育センターに勤務することになりました。文部省肝煎りのソフトウェアライブラリーの準備も順調に進んでおります。障害児教育用としていくつかの学習ソフトやキネックス等の入力関連の機器等もそろえることができました。引き続き,充実を図っていきたいと思います。今後もよろしくお願いします。最近は,やっとハイパーカードを使ってスタックづくりに時間を割けるようになりました。CD-ROM96を楽しみにしています。4月から一年間研修に来られる方がマックを使った研修を希望されているようなので,二人でぼちぼちやっていきたいと思います。ご指導ください。インターネットの講習会もし次回がありましたら,なんとか参加させていただきたいと考えています。いつもお願いばかりで申しわけありませんが,よろしくお願いします。
 ところで,私の630や550Cはキネックス3.5を読み込むと爆弾がでてきます。アップデイトファイルを送ってもらいましたが,セットアップを変えているとフリーズしています。ラムダブラーをはずしたり,色々していますが今のところ全くの不調です。近所に脳性まひの青年がおり,彼に使ってもらいたいと思いながら,うまくいっておりません。センターの5220では,全く問題なく動いています。何か解決方法はないでしょうか。何か情報がありましたらお願いいたします。

●高等部に転進
 愛媛県立今治養護学校 越智敬子 VZD06026
 今年は、高等部に行けといわれて、高等部1年生の担任です。小学部の1年生から急に大きな子を相手にしないといけなくなったのですが、全くイメージがわきません。それも、今年から新設された産業科というクラスの子たちで、将来確実に就職できるくらいお利口な子たちを教えることになりました。あまりのギャップに頭の切り替えができずに困っています。何からしたらいいのでしょう。ということで、せっかく子どもにマックを触らせることができるようになっていたのに、また当分はお預けです。
 話は変って、本校の教諭が今度国総研の教育工学研修コースに参加しますので、少しだけ話をしました。N社の機械しか使ったことがないということなので、行く前にマックも触ってみたらどうですかと言っときました。もう少ししたら遊びに来ると思います。皆さんからもマックのおもしろさをどんどん宣伝してくださいね。幸い新学期になってマックを使っている先生が2名転勤してきました。一人だけじゃないというのはいいものですね。

●2スイッチのひらがな入力ソフト
 府立岸和田養護学校 加藤圭子 JCD01100
 3月下旬に、国立特殊教育総合研究所にある心身障害児教育財団から特殊教育学習ソフトウェアコンクールの佳作の通知と賞金の郵便為替を頂きました。昨年度一年間内地留学させて頂ていたので、何か成果をもって帰らねばと常々思っていましたので、こういう評価をいただいたことで、ちょっと肩の荷が楽になったというのが正直な気持ちです(成果を生かすか否かはこれからが正念場なのですが・・)。
 ソフトは、windows上で動く、2スイッチのひらがな入力ソフトです。重度のアテトーゼタイプの四肢マヒをもつ小学校5年生の児童のために作りました。ひらがなは知っているのですが、ポインティングや視線でのコミュニケーションも難しいこどもです。なんとか意思を相手にわかりやすく、かつ自由に豊かに表現できることをねらって作成しました。文字選択部と文章表示部から画面を構成しています。1つのスイッチでひらがなの走査、1つのスイッチでひらがなの確定をします。確定した段階で単音発声し、文章をまとまりとして読ませることが出来ます。クリップボードに取り込み、他のソフトに持っていくことが出来ます。スイッチはキーパッドの数字キーに割り当てています。実践ではキーボードエミュレータでジョイスティック信号に替えてスイッチを取り付けました。まだ実践が浅いので本児が使いこなせるまでには至っていませんが、2つのスイッチの区別を覚え、楽しんで操作してくれています。機能説明のアクセントが大阪弁のところが本児にウケました。ちょっとした遊びの部分が生徒のやる気を左右するみたいでした。

●スコットランドだより
 香川大学 中邑賢龍 kenryu@ed.kagawa-u.ac.jp
 いかがお過ごしでしょうか?スコットランドに着て10日が過ぎました。キナード村と言う人口80人の村の丘の上にある家を借りて住んでいます。周りは典型的なスコットランドの光景です。9月中旬まで滞在しますので,こちらにおいでになる機会がありましたら,是非御連絡下さい。ダンディ大学マイクロセンターまでは車で20分ほどの所です。AAC研究の方はこれからです。研究所のスタッフも親切で,少しずつ準備を進めています。E-mailの方ですが,こちらから香川大学のメールサーバーを読めることが分かりましたので,引き続き以下のアドレスにメールを送って下されば,連絡がつきます。帰りましたら11月にATAC(Assistive Technology and Augmentative Communication)カンファレンスを開催する準備を進めています。実行委員会からまた案内をお送りするとは思いますが,よろしくお願いします。尚,自宅と研究所の住所と電話は以下の通りです。ダンディ大学の研究室にて。
○自宅:
Kinnaird Castle, Kinnaird, Inchiture, Perthshire, PH14 9QY U.K.
Tel & Fax: +44-1828-686361
○研究所:
MicroCentre, University of Dundee, Dundee, DD1 4HN, UK
Tel +44-1382-344145 Fax +44-1382-345509


自作教材の紹介


「おねがいゲーム」
 スイッチを操作した結果、周囲の環境に大きな影響を与えることができることを楽しんでもらうために作ったスタックです。運動障害があり話すことが困難な子どもたちを対象に考えて作りました。
 おねがいされたらその通りに操られて下さい。何度でも応えてあげて下さい。この教材を使う使わないに限らず、周囲の環境に大きな影響を与えることがでる機会をルーチンの中に組み込むことが重要ではないかと思っています。
都立村山養護学校 奥山 敬 KHA00043

「カレンダー」
 2年生のはるくんは、鉛筆やクレパスで、絵を描くのが好きである。なかなかほほえましい絵を描くが、色を付けると、雑になってしまうことが多い。
 そこで、絵日記や発見カードなど鉛筆で描いた絵を、イメージスキャナーで取り込み、「アドビ・フォトショップ」で色を付けました。2色を選び、その色を次第に変化させることができるグラデーション機能を中心に使って色づけをしました。簡単な操作できれいな色が塗れるのは、パソコンならではの機能です。
 満足のいく出来上がりで、家に飾ったり校長室や職員室に飾ってもらったり、先生たちにプレゼントしたり、友だちにほめられたりで、なかなかやる気になっています。
   使用ハード
・POWER MAC  6100 AV
・カラーイメージスキャナー EPSON GT-9
使用ソフト
・アドビ・フォトショップ  スキャナーから取り込んだ絵にいろを付ける 滋賀大付属養護の大杉先生にページを順に追ってカレンダーを見られるようにしていただきました。
愛知県豊田市立野見小学校こだま学級担任 安部治幸


市販教材の紹介


「もじもじワープロ」
 ”「わたしたちがふだん何気なく使っている日本語は、1字で1音をあらわす世界の中でもユニークな言語です。アルファベットの知識だけでは"today"や"tomorrowを正しく発音できません。でも、日本語は50音さえ知っていれば「あした」も「みらい」もちゃんと読めるのです。「もじもじワープロ」には、単語のなかで音を入れ替えたり、文のなかで単語を入れ替える「ことば遊び」が入っています。ほんの数種類の音やことばから、豊かなイメージの世界が拓けてくる日本語の不思議な魅力を楽しんでください。「もじもじワープロ」のゲームには「正解」はありません。子どもたちには、ことばの世界の入り口で、想像力のつばさを思い切ってのばして欲しいと思うからです。この時期に、表現することばを自分で見つけること、人に伝える楽しさを自分で発見すること。それは将来、過剰な情報があふれる社会に出たとき、自分らしく生きる力になってくれることでしょう。”(ペアレントガイドから)
開発元 Justsystem 5000円

書籍の紹介


●「命かがやく日のために」斉藤茂男著 講談社 740円
”知恵遅れで、しかも内蔵器官に障害をもつ赤ちゃんが生まれたとする。すぐ内蔵器官の手術をしなければたちどころに生命は危険にさらされ、やがて確実に死がくる。手術をするか、しないか。つまり障害児を行かすか、殺すか--もし、そういう選択を迫られたとしたら、私たちはどうするだろうか。
 もともと生死にかかわるほどの障害をもって生まれた生命の帰趨は、かっては神の裁量にまかされていたともいえるだろう。だが、近年の医療技術の飛躍的な進歩にともなって、その裁量は神の手から人間の手へゆだねられるようになってきた。私たちは小さい命をまえに、神を装って審判をくださねばならい。、、、
 障害児の誕生をどのように迎えるか、その反応の仕方には、現代をどのように生きるかという人間の生き方の根本にかかわる思想が等身大で露呈するであろうから、やや口はばったい言い方をすれば、このルポルタージュは障害児出現によってあぶりだされる現代社会の意識状況をとらえようとする試みだった、というわけである。”

埼玉の障害児教育とコンピュータ利用を考える会(障コン会)


「活動の記録 第2巻」
 ”障コン会では埼玉のいろいろな場で活躍する人のネットワークづくりを目指してきました。この「活動の記録」では、そうした人々の活動の交流ができればと考え、会としての活動だけでなく、会員それぞれの活動を報告してもらいました。会員以外の方からも貴重な資料を提供していただき、ありがとうございました。今年度は、埼玉県教育委員会より教育研究奨励費を受けることが出来、印刷・製本を依頼することができました。この小冊子が少しでもみなさんの活動の参考になり、障害児者の学習と生活のお役に立てば幸いです。会員以外の方で読んでみたいという方は1冊500円でお分けしたいと思います。なお、送料は実費ご負担下さい。厳密には補助金をもらった分は売ってはいけないそうです。会員の会費と昨年の第1巻の売り上げで製作した分をおわけしたいと思います。(A4版 96ページ)”
目次
 -家庭での取り組み
 -養護学校での取り組み
 -障害者とかかわる現場から
 -大会・研究報告など
 -資料 
お問い合わせ
   350 埼玉県和光市広沢 4-3
 埼玉県立和光養護学校 桜井宏明氏 HGE03206 048-465-9770

国立特殊教育総合研究所での研修報告


 都立光明養護学校の金森さんの国総研における研修成果が、テキスト部分だけですがWWW上の光明のホームページにアップされています。これから,少しづつ書式を設定して紙に印刷したものと同じようなレイアウトにするようです。期待しましょう。
URL: http://www.koumei-sfh.setagaya.tokyo.jp/~koumei
連絡先 NAH00531@niftyserve.or.jp

事務局よりのお願い


1. 皆さんからのメールは、内容を共有したいときは許可をいただいて会報に掲載させていただいております。私信の場合は、その旨お書き下さい。
2. 原稿やメールには、半角カタカナを使わないで下さい。インターネット上では半角カタカナの転送ができません。なお、ローマ字や二桁以上の数字は半角(一バイト)でお願いします。
3. この会報はいつも月末に皆さんのお手元にとどくよう作られています。いろいろな励ましや助言に支えられてここに70号をお届けします。会報の発行にかかる印刷代や郵送費はすべて、皆さんからの入会金でまかなわれています。研究会は、年会費というものがありませんので、皆さんにはあまりご負担をかけていないつもりです。これからも印刷や電子媒体で会報をお届けいたします。入会金をまだの方は 、できますれば記念切手80円で5,000円分か、銀行からお振り込み下さると助かります。 (^^;)(永田和子)

振込先 横浜銀行野比出張所
普通口座 0754310
名義 障害者とコンピュータ利用教育研究会
4. 4月より勤務先が変わり、会報の送付先の変更を希望されるかたは住所変更をお知らせください。

        5月の会報は以上です。来月号をお楽しみに。