673-14 兵庫県加東郡社町山国2007 兵庫教育大学 学校教育研究センター
0795-40-2205 phone
Email:成田 滋
Web上の会報URL:MES会報
●日時 6月14日(土)1:00-5:00pm
●場所 高知県立高知若草養護学校土佐希望の家分室
高知県南国市小籠107 0888-63-3882
●学習の内容
・各学校での実践の報告
・Ke:nx の利用の仕方
・障害者が利用できる自作の学習用ソフトの紹介
・その他
・土佐希望の家分室の施設や学校内の見学も予定をしています。
●連絡
若草養護学校土佐希望の家分室
柚村正江(0888-63-3882)
高知県立山田養護学校
横井 啓介(08875-2-2195) GGC03573
●空腹状態は避ける
6月、大学付属庭園にて行われた大学主催のガーデンパーティの時のことである。午後3時スタートのこのパーティには裕が初めから出席し、私と子供達は1時間ほど遅れて加わった。平日なので、子供達には学校があったのだ。
庭園には厳しい冬を耐え抜いた植物に緑が戻り始めていた。軽音楽が流れ、シャンパンやワイングラスを片手に談笑する参加者達で溢れている。 会場に着いたテピはまず裕を捜し始める。見つけたと思うといきなり 「ごはん!」と叫んだ。私は「しまった」と思った。テピはとてもお腹を空かせている。いつもなら学校から帰宅して、おやつを食べている時間だ。近頃のテピは驚くほど食欲旺盛になり、おやつの時間にもご飯を食べたがる。特に緊張状態にあるときは、どんなに空腹であっても好みの物以外は食べないという困った癖も持っている。
テピはレストランに来たつもりでいたらしい。軽いスナックの並ぶテントの中を見て不満の声を出し始める。テピの好みに合い、空腹を満たす物は見つからない。試しにチョコレートやビスケットを与えてみたが、テピは怒って拒否する。ジュースでごまかそうとしてもだめだった。そしてとうとう大声で泣き始めてしまった。しまいには芝生の上に仰向けになって、足でバタバタと地面を叩き始めた。 「帰るしかないみたいねえ。」
私達は顔を見合わせてどちらからともなくそう言った。そそくさと帰ろうとしているところ、裕のボス、デイビー教授とばったり出会う。久しぶりの出会いなので、ひとしきり立ち話に花を咲かせることになった。足止めを食らったテピはというと裕の手を引っ張りながらもおとなしく話が終わるのを待っている。この場の雰囲気に少しは慣れてきたのだろうか。時間の経過がテピの苛立ちを静めてくれるということもよくある。
●曖昧な予告は禁物
我が家で初めてパーティを開いたのは、裕の誕生日にかこつけて研究室の大学院生達が集まった時だ。私達はテピが来客にどういう反応を示すか少し不安だったので、パーティの準備をしている間にテピに言い聞かせた。 「もうすぐ、おにいさんたちが来るよ。」
これが裏目に出た。テピは「おにいさん=いとこのおにいさん(アキにいちゃん)」と自分勝手に理解して、「アキにいちゃん、来るよ。」と言いながら大喜びなのだ。アキにいちゃんは東京に住む大学生なのだが、3月にマディソンまで遊びに来てくれたことがあったので、テピはそれを思い出しているらしい。一度思い込むと修正は不可能に近いのがテピの習性だ。それを分かっていながら、「おにいさん」などと曖昧な言い方をしたのは失敗だった。
学生達がやって来た。愛想良く子供達に話しかける学生たち。彼らの顔を見たテピの表情が突然変わった。みるみる堅くこわばり、怒りと拒絶の声を出し始める。 学生達には裕が前もってテピの障害を伝えてあったので、「これが自閉症か」と思ったことだろう。「ごめんなさいね。」と言った私の言葉に、「気にしないでいいよ。」と言いながら、彼らは持ってきた料理をテーブルの上に並べ始めた。
私がテピをなだめながら2階の寝室へ連れて行く。1人にして大好きなカセットテープを聞かせていれば30分で落ちつきを取り戻すことが多いのだ。 席に戻り、パーティは始まった。裕と既に親しい彼らとの会話はすぐに盛り上がり、楽しく平穏な1時間が過ぎた。その時、ゴリラの縫いぐるみを抱いたテピが2階から降りてきた。そのままつかつかと学生達に近づき、顔をしげしげと覗き込む。そして、「やっぱり違う、アキにいちゃんじゃない」というような表情を見せ、また大声を出し怒りを吐き出した。
こんなことを3回も繰り返しただろうか。パーティがそれで台無しになったというわけではないが、「おにいさんが来る」などとテピに誤解を与えるような言い方をしたのが悔やまれた。初対面の人の来訪をテピにどう説明するかずっと迷っていたが、集合的な言葉を使うよりきちんとその人物の名前(写真があるともっといい)を伝えることの方がテピにとってずっと親切だと肝に銘じた。
●散歩をするぐらいのゆとりをもつ
独立記念日に友人宅でのバーベキューパーティーに招かれた。8組の家族が緑の美しい広い庭で歓談しながら目の前で焼き上がる料理に舌鼓を打つ。テピはというとベンチに座りながら、イライラしている様子。持ってきたウオークマンで好きな音楽を聞くと笑顔も見せるが、それも一時しのぎに過ぎないようだ。幸いこの庭は隣接する雑木林へと続いている。裕がテピを誘って軽い散歩に出かけた。
闇が少しづつ深まり、陸生の蛍がゆらゆらと怪しい光を灯し始めている。 しばらくして姿を見せたテピはすっかり緊張が解けた様子。リラックスすると今度はトーンの高い独り言を言い始めるが、テピのいい状態の独り言はこういった自由な雰囲気の中ではそう気にならない。 それからずっとテピは皆の中で落ち着いていた。
独立記念日には米国全土、市内各所で打ち上げ花火が行われる。友人宅から歩いてすぐのゴルフ場も花火会場となった。私達を含め、花火を見に行きたい約半数が一緒にゴルフ場まで移動した。すっかり暗くなった芝生の上にはたくさんの蛍がふわーっふわーっと地面から空に向けて妖しげな光りを放つ。空中に浮かぶ光を手ですくい取り、初めて間近に見る蛍の姿。それが感動的ではしゃぎたい気分になる。この時、間近で見た派手な打ち上げ花火よりも、はかなげな光を放つ蛍達の存在の方が、より鮮明に私の脳裏に焼き付いている。
●好物を持参
英語の先生のケイトが私達家族のために自宅でディナーパーティーを開いてくれた。 テピをよく知っている彼女は、テピのために何か準備できることはないかと事前にとても気を使ってくれていた。 当日私は、寿司と小豆白玉団子を作って持参することにした。親日派のケイトとテピが共通して好きな食べ物だからだ。
こじんまりと暖かいムードのケイト宅。テーブルウェアのセッティングも彼女のセンスの良さを感じさせる。ケイトは手の込んだ料理を作って私達を待っていていくれた。 同席したケイトのボーイフレンドがべた褒めの彼女の手料理。この料理をじっくり味わえるかどうかはテピにかかっている。
オードブルを進める私達の傍らで、テピはケイトが差し出してくれた寿司に手をつけ始めた。凄い勢いで食べるテピ。私はケイトの料理もテピに食べさせたかったが、拒否される。ひとしきり食べると持参したウーロン茶を飲みソファに腰掛ける。そして静かにステレオから流れる優しいジャズの音に耳を傾け始めた。 それからテピは長い時間を穏やかに過ごした。もちろん私達も。
●遅れて行くのも有効
帰国1週間前、大学で裕のフェアウェルパーティーが開かれた。家族も裕同様パーティーの主役である。大学の会議室で大人数が集まるパーティーにテピを連れていくにあたって、私達はこう作戦を立てた。
参加者が多く混雑するのはパーティーの中盤までで、それを過ぎると義理で参加していた約半数の人達は帰る。会場も落ち着き親しい人達が中心で和やかな雰囲気になった頃、私が子供達を連れて現れる、といった具合に。予定どうり、1時間以上過ぎた頃私達は大学に向かった。もちろん食事は済ませて。
会場入り口に一歩足を踏み入れると、裕を含めた紅潮した顔々が私達を一斉に注目する。一瞬たじろいだ私だったが、次の瞬間の歓迎の笑顔に導かれて中へと吸い込まれていった。
テピは言われるままに椅子に座り静かにコーラを飲み始めた。デイビー教授が私を初対面の人々に紹介しに回る。出会いとが別れが一緒になってしまう人々だ。でも裕から常々話を聞かされていた人々には旧知のような親しみを感じる。 私はしばしテピのことを忘れていた。フッとテピの方に視線を向けると、テピはちょうど立ち上がり椅子から離れようとしているところだった。 「お父さんのところに行きたいんだね。」と大学院生がテピに声をかける。 テピはニコニコしながら、話し込んでいる裕に駆け寄り抱きついた。それから帰路につくまで機嫌良く裕に寄り添っていたテピである。
ヨピはというと、どのパーティーでも本当に何でもよく食べていた。大人とは別に子供達だけ集まって子供部屋でゲームをしていたり、動物のいる家ではその動物に魅せられていたりとヨピなりに楽しんでいたようだ。普通児のたくましさをつくづく感じたものである。
(この原稿は佐藤裕氏の許可を得て転載しています。事務局。)
●金魚すくい1.0
中野洋一 yoich-na@aix.or.jp
”バージョン0.93を発表してから早1年1カ月。その間、みなさんからたくさんのご要望をいただきました。そしてついに1.0を完成させることができました。メールをくださった方々にはこの場をかりてお礼申しあげます。
『金魚すくい1.0』新機能のご紹介
・すくい紙のほか「モナカ」が追加されました
・「音」も少々
・自分のつくったアイコン(絵)が得点表示の際に使えます
・超ムヅカシイ「夜店モード」
さあ、パーフェクトめざしてがんばってください!でも、今までのようにカンタンにはいきませんよ。さっそくやってみようという方は下の「あそんでみる」をクリックしてください。”
○「金魚すくい1.0」の画面
●パソコンバンクへ情報をお寄せ下さい
障害の克服に役立つと思われる、以下のような情報をお持ちの方は、その情報をお 知らせ下さい。
1.障害児が興味を持って取り組んでいるソフトウェア
2.障害の程度とその克服に役立ったソフトウェア
3.障害の克服に役立つと思われるソフトウェア
4.障害の克服に役立つと思われる周辺機器
このような情報をデータベース化して,いつでも見ていただけるようにしたいと 考えています。
●ボランティアや基金への寄付金を募集しています
以下の点で支援をいただける方はパソコンバンクまでご連絡下さい。
1.ハードウェアやOS(MacOS,Windows)に関する知識があり、セットアップやトラブルシューティングに対応できる方(電話によるQ&A含む )
2.ハードウェア(パソコン本体、周辺機器)やソフトウェア(教育関係)を寄付または廉価で提供できる個人または法人
3.無償または廉価で接続サービスを提供可能なプロバイダ
4.基金に寄付できる個人または法人
(連絡先)
「明石地区手をつなぐ育成会」
山平喜一郎
Email:k-yamahr@psn.or.jp
naritas-pcbank2@ceser.hyogo-u.ac.jp
FAX:078(927)3693
●Oracle Media Objectって
細見洋介 兵庫県のぎく療育園 tvs@jsn.justnet.or.jp
先日は兵教大でのデモありがとうございました。つたない説明で十分に分かって頂けたか心配です。キネックスの使用がパソコンを動かす前提になりますので、その上でスタックを評価して頂けたらと思います。
のぎく療育園で使っているキネックスはVer3.5.2-Jの日本語版で、日本語でスクリプトが組め、日本語音声も付属しています。また、セットアップを作る時、動作に必要なアイコンや音声をセットアップファイルに含ませず、キネックス本体のファイルを参照する設定にしていたので、英語版と互換がうまくとれなかったのかもしれません。機会があればのぎく療育園で見て頂きたいと思います。
MESの会報に有りましたOracleMediaObjectについてなんですが、ハイパーカードに似たソフトと聞いたことがあるのですが、どのようなソフトなのか知りたいと思っています。
○「細見さんと兵教のゼミ風景」の画面
●転任あいさつ
伊藤可主也 松本市芳川小学校 HGC02705
謹啓 時下ますますご清祥のこととお慶び申し上げます。私ことこの度 松本市芳川小学校勤務を命じられこの程着任いたしました。安曇養護学校在勤中は公私とも大変お世話になりました。開校時から九年間に渡る子ども達との日々は、長いようでも瞬く間のごとく感じられ、一方ではまた、自分の人生を変えるかけがえのない出会いの積み重ねでした。貴重な経験を下さったあらゆる方々に対し、本当に感謝の気持ちでいっぱいです。十分な恩返しができたか悔いを残しつつも、新たなスタートを迎えました。
新任の芳川小では、情緒障害児学級を担任することになりました。場所は変わっても、障碍を持つ子らとともに歩むことを決心した者として、精一杯努力していきたいと思います。今後とも一層のご指導とご鞭撻を賜りますようお願い申し上げます。末筆ながら皆様のご健康とご多幸をお祈りしお礼かたがた転任のご挨拶といたします。
勤務先 〒399 松本市芳川村井町366
電話 (0263)58-2030
●お陰様で奨励研究当たりました
岩間絵里 紋別郡雄武町立幌内小学校 QYJ13572
メールを初めてだします。ご無沙汰しております。北海道紋別郡雄武町立幌内小学校の岩間絵里です。大杉先生の弟子ですが、わかっていただけるでしょうか。幕張では、お世話になりました。お会いできてうれしく思いました。しかし、実はそれよりも前からお世話になっていたにもかかわらず、直接ご挨拶もせず失礼いたしました。
そのお世話になった、文部省の奨励研究なんですが、お陰様で当たったようです。一筆書いて下さったお陰です。本当にありがとうございます。幕張で皆さんとお会いしたときも、「へき地とマルチメディアという観点が面白いからいけるかも」というようなことをおっしゃって下さっていましたが、私は初めてでしたので、まさかと思っていましたので、非常に驚いています。また、実際のところは、ほとんど大杉先生にしてもらっていましたので、これからどうすればよいかが、自分でもわからないといったような状態です。こんな私ですので今後ともお世話になるとは思いますが、どうぞよろしくお願いいたします。
●転任の挨拶
神尾敦男 長野県総合教育センター a-kannoo@edu-ctr.pref.nagano.jp
会報を送っていただきありがとうございました。プリントアウトして読ませていただきました。来年度に向けて<障害児教育におけるコンピュータ利用>の講座を開設したいと願っています。ご指導を継続的にお願いいたします。なお、今回メールを送っているアドレスのメールボックスは必ず毎日見ますので今後はこのアドレスを使っていただいたほうが確実です。暑くなってきましたが健康に留意されご活躍ください。
●教材募集期間: 1996年9月1日-1997年4月28日
●刊行予定: 1997年7月
●開発環境: HyperCard2.0以上、Oracle Media Object、Expand Book、Action、Macromedia Directorその他
●教材の著作権: 教材開発者に帰属します。
●貯蔵媒体:128-230MO、リムーバルハードディスク、Zipなど
●媒体の送り先:
673-14 兵庫県加東郡社町下久米942-1 10-206
大杉成喜
Email: osugi@sue.shiga-u.ac.jp
NiftySERVE: HGA01651
●問い合わせ先:
673-14 兵庫県加東郡社町山国 2007
兵庫教育大学学校教育研究センター
成田 滋
直通 0795-40-2205
Email: naritas@ceser.hyogo-u.ac.jp NiftySERVE: MGH00175
障害者とコンピュータ利用教育研究会のホームページ:
http://www.ceser.hyogo-u.ac.jp/narita/mes/mes.html
●制作:成田 滋
●編集:曽根秀樹