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交流とふれあいの丘分校の開設

 十日町市立十日町小学校の校舎内にこの春、県立小出養護学校ふれあいの丘分校が開校した。地元に養護学校をという声を受け、少子化で増えた空き教室を有効利用しようというのがそもそもの発端だが、養護学校と小学校の子供たちが互いに学び合い、共生社会への理解を深めるという新たな教育効果も期待されている。それは、新しい学習指導要領が掲げたテーマでもあるという。
 十日町小児童が、交流のため、管理棟 1 階にある分校の小学部の教室に足を運ぶのは、毎週火、木曜日の昼休み。交流といっても堅苦しいものではない。児童の多くは、肢体不自由児たちがリハビリに使うハンモックや、おびただしい数のボールを満たしたビニール製のプールなどの遊具で遊ぶのだという。
 重度の障害のある分校の子供も、同小の児童がジャンプする振動で体が揺すられると、顔をくしゃくしゃにして笑う。分校の T 教諭が言う。「同年代の子供と触れ合うと、(分校の子供たちの)表情が違ってくる。最近では、自分から(小学校児童に)あいさつしたり、握手したりする子もいます」
 分校に在籍する児童・生徒は、知的・肢体不自由児たちで、小学部が 9 人、中学部が 3 人。分校開校までは、車で 30 分以上離れた小出養護学校に通うか、障害の程度が重い場合には、先生たちが自宅を訪ねて指導する訪問学習で学んできた。
 「地元に養護学校を」と、障害児の保護者が市教委に建設要望を出したのが 1995 年。97 年からは、同小 PTA も名を連ね、県教委などへの働きかけをしてきた。分校 PTA 会長の N さんは、「養護学校の活動には、十日町小 PTA もボランティアとして協力してくれている。子供たちが小さいころから一緒に育った経験が、大人になった時に財産になるはず」と、その教育的効果に対する期待を口にする。
 5 月 26 日に予定されている運動会には、入場行進や聖火リレーなどに分校の子供たちも参加することになっているほか、将来的には「総合的な学習の時間」の勉強をともに築いていくことも構想にあがっている。十日町小の M 校長は「分校の子供たちとの接し方は、今後も指導を続けていく。教職員同士の意思疎通をしっかり保った上で、試行錯誤しながら交流の場をさらに広げていきたい」と話している。

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