障害者とコンピュータ利用教育研究会

1999年8月会報 NO. 109 Mac Education Society(MES) 編集 成田 滋 西谷淳 猶原秀明 丹羽登 村川佳子

 

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成田研究室

〒673-1421兵庫県加東郡社町山国2007
  兵庫教育大学 学校教育研究センター
  naritas@ceser.hyogo-u.ac.jp
  Fax 0795-40-2203

■ 目次 ■

MES山陰 新しい障害児教育を考える研修会のご案内

USB対応のインターフェイス開発

コンピュータ組立講習会

京都府立盲聾養護学校情報教育研究グループ研究大会

養護学校のパソコン教室開放

皆さんからのお便り

■MES山陰 新しい障害児教育を考える研修会のご案内

 MES(障害者とコンピュータ利用教育研究会)は、兵庫教育大学学校教育研究センターの成田滋教授を世話役に学校現場の先生方や教育関係者が実践を持ちより発表しあうアットホームな研究会です。このたび、山陰では初の研修会開催の運びとなりました。さて、今回は、昨今話題となっておりますIEPの現状と課題について、現場または教育センターの先生の発表や、共同作業所の方を招いての新しい就労モデルの発表、コンピュータ活用のデモ等を中心に計画しております。つきましては、貴校の関係の先生方にふるってご参加いただきたくご連絡申し上げます。行事の多い2 学期中でお忙しいこととは存じますがよろしくお願いいたします。

●日 時:平成11年10月23 日( 土) 午後2時〜4時半

●場 所:島根県松江市白潟公民館3 階研修室(松江市灘町)

●内 容:

1.  日本とアメリカにおけるIEPの現状と課題
2.  障害者の自立と就労に向けてのインターネットを活用した取り組み
3. 「MES 自作教材集CD-ROM'98 」と、収録されたソフトの紹介等障害児教育へのコンピュータ活用の実践例

●参加費:無料

●主宰:MES山陰新しい障害児教育を考える会
・ MES(Mac Education Sciety) 障害者とコンピュータ利用教育研究会

●事務局:島根県立出雲養護学校 渡部親司
(学校)Tel. 0853-43-2260 Fax. 0853-43-1246 

m97332h@students.hyogo-u.ac.jp
wshinji@skyblue.ocn.ne.jp
http://mac40ceser.ceser.hyogo-u.ac.jp/~watanabe/home1/my_home.html

 

■USB対応のインターフェイス開発

 会員の笹野さんがUSB対応のインターフェイスを開発する事を考えています。MESはその開発に50万円を提供することになりました。以下、笹野さんから寄せられてい開発の概要とコメントです。
--------------
開発製品の概要:

 ・スイッチインタフェース(5〜12点入力)
・各種ゲームパッド用インタフェースなどをいまのところ考えています。

開発期間:
本業でやるわけではありませんので、1〜3年位またはそれ以上ということになると思います。

製品化の可能性:
 販売代理店が扱ってくれるかどうかによります。が、製品販売後のメンテンナンスや修理をしっかりやってくれるところでないとこちらの負担が非常に大きくなりますので、必ずしも商品化せずに今までのようなシェアウエア的な配付をとりあえず考えています。

具体的な開発費用:
開発ツール USB Developer Kit CY3650 10万円くらい
パーツ USB CPU CY7C63001A-PC(100または200個単位の販売)20〜40万、
プリント基板作成費10万円 、抵抗、コンデンサ、推奨、スイッチなど5万円くらい

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問い合わせ 笹野 潔
onchan@geocities.co.jp
onchan@mugnet.com
HomePage:
http://www.geocities.co.jp/SiliconValley/1954/
http://member.nifty.ne.jp/onchan/

 

■コンピュータ組立講習会

 大コン研のコンピュータ組立講習会のご案内を差し上げます。この会場になる高等聾学校は日本橋にも近く、集合に便利だと思います。なお、コンピュータの組立をしなくても、見学だけでも参加して下さって結構ですのでおこしください。
1.日 時  8月28日(土)10:00am〜4:30pm
2.集合場所  日本橋 地下鉄「恵美須町」出口 マクドナルド前(午前10時)
         *その後部品の購入
3.組立場所  大阪府立 生野高等聾学校 「印刷室」
        付添者  中熊康雄 先生(大コン会員)
4.費 用  約6万円から10万円 希望により増減可能

          ・CPU セレロン400Mhz
         ・HDD 10GB ・RAM 128MB
5.参 加 者 講 師  丹羽 登先生

 

■京都府立盲聾養護学校情報教育研究グループ研究大会

QOLAction in Kyoto'99が盛大に開催

去る10日-11日の両日、京都郊外の城陽市文化パルク城陽において上記のような会合が開かれました。会のテーマは、「障害のあるひとびとの社会参加と自立を支える技術」でした。またその内容は、一般展示や企業展示、情報交換、記念講演、実践報告そして実技制作など盛りだくさんのイベントが繰り広げられました。
 3つの分科会の討議は、それぞれ「障害児教育におけるネットワーク、インターネット利用」「肢体障害、知的障害のある子どもたちへの障害支援技術」「自閉性障害や重度の知的障害によってコミュニケーションの障害がある子どもたちに対するコミュニケーション支援環境作り」でした。
この会合を主として企画したの京都府立南山城養護学校高等部のは大森直也教諭でした。詳しい問い合わせはHGF01266@nifty.ne.jpまでどうぞ。

http://member.nifty.ne.jp/ohmori/qolact.htm

会場の様子1 会場の様子2

 

 

■養護学校のパソコン教室開放

神戸市立友生養護学校 大前 omae@geocities.co.jp
 前任校の神戸市立垂水養護学校で7月26日から4日間、夏休み中のパソコン教室の親子開放という企画がありました(をやっていますーー現在進行形)。垂水養護学校の小黒先生の提案で今夏から学校のプールの開放(水泳)、動作訓練室の開放(訓練)に日程を合わせてパソコン教室も自由に使ってもらおうという初めての試みです。私も他校職員ながらスタッフとしてお手伝いさせていただきました。私ができるサポートは参加するこどもさんが使うスイッチのフィッテイングや使いやすいソフトの選定です。こうした試みがどういう成果につながっていくのか興味深いのですが、ここまでの経過をまとめると参加者数は次の通りです。

初日  小学部児童2人とその保護者。
2日目 小学部児童2人、中学部生徒2名、高等部生徒1名とその保護者
3日目 小学部児童3人、高等部生徒2名とその保護者 

 内容は、お母さん、お父さんといっしょにソフトで遊びながら、デジタルカメラでこどもの顔を写して暑中見舞いはがきを作り印刷するというものです。
こうした自由な参加形態は、その日のうちに保護者間の口コミでもひろがっていき誘い合って、日々参加者が多くなり活性化していくようです。親子で参加したことによって、保護者のパソコン理解が深まりました。パソコンにこどもに適するソフトがあること、こどもに使えるように入力機器を工夫することができること、を知ってもらったことが大きな成果です。3日目には、あるお母さんは興味関心が拡がって部屋に置いてあった「こころリソースブック」や「アクセスインターナショナルのカタログ」を熱心に読んでいました。使ってみたソフトでお母さん方が興味をもち、個人でも欲しいと要望されたものは「にじのせかい」でした。これは以前、神奈川の田村先生に教えていただいて昨年度末に購入しておいたソフトです。
 また、こども自身がパソコンを使うという活動とは別にデジタルカメラを使ってわが子を写真におさめてパソコンで編集して楽しい印刷が仕上がることはとても人気がありました。時期的に暑中見舞いハガキを作ろうとしていたお母さんたちにはタイムリーヒットだったようです。こどもを被写体としてパソコンを利用していくことも活動内容として大切だなと思いました。参考までに、作成手順です。

1. こどもの背後に赤色(単色がよい)のセノック(訓練用のマットです)を掲げデジタルカメラでバックが単色のこどもの写真をとる。
2. パソコンにデータを取り込む。jpeg書類。
3. フォトレタッチソフトで開く。
4. バックの単色の色を範囲選択する。単色なのでバックだけ正確に範囲選択できます。
5. 選択範囲を反転させます。こどもの顔だけ正確に選択されます。
6. 編集メニューのコピーを実行します。
7. 具満タン(画像素材集)のCDを入れて、同梱のカタログから保護者の方に背景写真の候補を選んでもらいます。
8. その写真を開いて、ペーストします。このとき背景と顔写真が違和感なくとけ込むように大きさを調整します。
9. 目的に応じて、ハガキサイズなどに設定して「暑中お見舞い・・」などの文字を入れて(自筆をスキャナで取り込むオプションもあり)印刷します。

背景写真がパリの凱旋門などであると「・・ちゃんがパリへ旅行したの・・」などと
会話がはずみます。この「うちのこどもが外国に行けた?」というバーチャル体験写真については賛否両論あると思いますが、とにかく保護者の方がパソコンのおもしろさを実感したことは確かです。
 またこうした活動の中で保護者の方の中には自分自身の問題としてパソコンのスキルを身につけたいという願望をおっしゃった方もおられました。これは、こどもの介助をしつつもパートや在宅で仕事ができないかな?という願望につながっているようです。最近の雇用の採用条件にワード・エクセルできる方というのが多くなってきましたね。保護者の方のスキル向上のサポートも大切なのかなと思いました。

 

■皆さんからのお便り

 ●開放教室について 
小黒直明 神戸市立垂水養護学校高等部 SmallBlack@aol.com

開放教室について、提案者から補足として付け加えておきます。4日目は、小学部児童2人、高等部生徒1名とその保護者の参加でした。4日間毎日がんばった小6の児童は、昨日難しくてできなかったソフトを今日はがんばってやるぞと思って一番に来たのですが、スタッフの一人がそのソフトはできないだろうと言って昨日持ち帰ってしまったものでした。ごめんねとあやまりながらもその子の意欲、たくましさを感じ、反省させられました。でも、別のソフトで大好きな野球ができたので大喜びでした。
今日は、年賀状だけでなく、うちわの製作もしたいとシールの用紙も写真といっしょに持ってこられ、印刷したものを持ってかえられました。(訓練講座の時に作ったソフマップで販売しているうちわのセットの残りの用紙がワンセットあったのでそれも型あわせのためにも持ち帰ってもらいました)
この開放教室で子どもたちが遊んだ(使った)ソフトを紹介しておきます。時間もなかったのでメーカー名も省略しています。また、ソフト名もしっかり確認していないので覚えちがいもあるかもしれません。その場合は、お許しを。
虹のせかい、ちびっこくらぶ、よーいドン、ひらがなえほん、らすたあちゃんとあそぼ、FattyBear、ポンキッキーズのシリーズ、キティちゃんのシリーズ、黒ひげ危機一髪、MESの教材(いろいろ)、自作ソフト(電子絵本、ワンスイッチソフト等)でした。

●智美の近況
山平喜一郎 明石市 k-yamahr@psn.ne.jp 

 娘の智美は元気に神戸光生園に通っておりまして,先日始めてのお給料をもらってきました。智美にとっては学校と授産施設の区別はあまりついていないのかも知れません。「がっこ,かっこ」といっています。近くまで送っていくと,自分で走って行きますので,気に入っているのでしょう。

先日,京都にいたとき,月に一度セラピーに通っていた京都女子大からお誘いがあり,何年かぶりに家内が連れて行きました。かっての友達や先生方,建物やトイレの場所等を覚えていたそうです。先生方からは「ずいぶん落ち着きましたね」という評価をいただいたそうですが,その当時ずいぶん大変だったという話も今回始めて家内が聞いてきました。
記憶力に関しては,確かにかなり正確なものがあるようです。先日神戸の農業公園(ワイン城)に行った時のことです。駐車場で車を降りるとすぐに,両手を耳の上に当てて何かを要求します。前回行った時にもこの動作がありましたので,今回はすぐにわかりました。それは「うさぎのいるゲージに行きたい」という意味なのです。すなわち,駐車場に至る道,駐車場周辺の風景を見てここが農業公園であり,その一角にうさぎやにわとりがいるゲージがあることを思い出して,そこへ行きたいという意思表示をしているのです。言葉でのコミュニケーションができないことを除けば,健常児と変わりません。


 今日,長女が家内に「智美の言うことは他の人にはわからないだろうね」と言っているのを聞いて,逆に智美が智美なりの言葉や身振り手ぶりで周りの親しい人達とコミュニケーションしていることが解りました。
先週の日曜日には,高等部三年生の時のクラス会があり,担任の三木先生や米沢先生とかってのクラスメートの皆さん達といっしょに楽しい一日を過ごしました。帰ってきてから、さかんに歌(らしいもの)を歌っていました。それからプラスチックのボーリングセットを出してきてピンを並べ,ボールをぶつけてピンが倒れると手を叩いていました。それでカラオケとボーリングを楽しんだことが分かりました。よほど楽しかったのでしょう。

●NKKよりのパソコンが稼働中です
正木隆 筑波大学附属大塚養護学校 t-masaki@za2.so-net.ne.jp
 

 この度はNKKより寄贈していただいたパソコン頂戴し、本当にありがとうございました。生徒が使えるようになるまでにモニターの準備など時間がかかりましたが、現在は稼働しています。
夏休み直前に何とか生徒も使えるようになりました。とりあえず、生徒がパソコンに向かっている姿を送ります。この夏休みは、パソコンの整備。必要な教室への配付、ホームページの作成など課題はまだありますが、情報委員団結して頑張ります。

使用している様子1

使用している様子2

使用している様子3
では来月の会報をお楽しみに。