障害者とコンピュータ利用教育研究会

1998年4月会報 NO. 93 Mac Education Society(MES)

PDF版の会報(258K)はこちらです。お読みになるにはAcrobatReader日本語版が必要です。

MES
ホームページ
1998年
3月号
1998年
2月号
1998年
1月号
成田研究室

 

〒673-14 兵庫県加東郡社町山国2007
  兵庫教育大学 学校教育研究センター
  narias@ceser.hyogo-u.ac.jp
  Fax 0795-40-2203

■ 目次 ■

第93回関東例会のお知らせ

第92回関東例会のお知らせ

第91回関東例会を兼ねたエキスポの報告

第7回特殊教育学習ソフトウェアコンクール

1997年度アメリカ合衆国公立学校の
インターネット接続状況報告要旨(Issue Briefs)

自作教材の紹介

市販教材の紹介

皆さんからのお便り

事務局から

■第93回関東例会のお知らせ

○日時: 4月11日(土)午後2時〜5時 懇談会も予定
○会場: 筑波大学附属大塚養護学校
     〒112 東京都文京区春日1-5-5 電話 03-3813-5569
○担当: 永田和子(携帯電話 020-655-8706)野村勝彦
     〒232 横浜市南区大岡 2-31 045-742-2291
     お世話役 根立 博氏

○交通: 地下鉄丸ノ内線、または南北線の「後楽園駅」下車、 徒歩7〜10分 丸ノ内線の後楽園駅で下車し、4番出口(小石川方面)を出ると駅のすぐ左手に工事中の公園があり、その前を進みます。(通りの向かい側に文京市役所(シビックホール)があります。)つまり東京ドームから離れる方向に進むと、そこに春日通りの交差点(富坂下)があり、左手(池袋方面)に曲がって下さい。春日通りは上り坂になっていて、やや離れた前方に「中央大学理工学部」の文字のある建物が見えます。その正門前を通過し、「富坂上」交差点まで進んで下さい。その信号を左手(中央大学の外壁に沿うように)に曲がり、突き当たるようなところを右方面に曲がり、すぐ、左方面へ進んで下さい。

 突き当たりにレンガ造りのマンションが見えるところまで進み、左手を見ると、そこに大塚養護学校の正門があります。(区立第三中学校のプールが正門前にある場所です)他に、都営三田線「春日駅」下車、JR飯田橋下車等があります。

■第92回関東例会の報告

 今回は、国立横浜大学附属養護学校を会場に例会を行いました。会場準備の同校、根立先生ありがとうございました。当日は、鴨居小の荻野先生を始め、10人、珍しい顔ぶれとしては横浜国大の中川先生、神奈川県の企画情報システム課の吉田さんがいらっしゃいました。

 まずは、MacWorldExpoでJHUGの江尻さんから提供いただいた、「名刺屋えぢ98」を直接渡された佐原の方から紹介しました。ハイパーカードの名刺作成スタックで、以前は市販されていました。購入者が何名かいて「えーっ?フリーウェアになったのぉ!」と嘆きの声があがっていました。確かに、バージョンアップして無料になったらねぇ。まるで○○みたい...。今回のはE-Mailの項目が増えたり、文字の配置やポイントの増減が十字カーソルのようなものを使って簡単にできること、枠やワンポイントのイラストが増えたことです。江尻さんからは、「養護学校の作業班とかで名刺作成に利用して下さい」とのことでMES CD-ROM98に収録予定です。

 次に、林さんからはNifty-ServeのFEDHANでも話題になっている「ぶたぱずる」と「Bubbles0.9」の紹介です。「ぶたぱずる」は要は「倉庫番」系のゲームでぶたさんが障害物をうまくやりくりしてボールをゴールに入れるというのが何ステージも続くのですが、結構難しいです。でも、自閉症のお子さんなんかはハマりそうなゲームです。「Bubbles0.9」はマウスをクリックしている間中シャボン玉がふくらみ続け、破裂するぎりぎりでクリックをはなすと大きなシャボン玉となり高得点になるというものです。Ver.0.9からはマウスだけでなく、マイクの音声でもシャボン玉が大きくなるというものです。いずれもフリーウェアです。

 また、「金魚すくい」「射的」でおなじみの中野さん初のシェアウェア「Dream Express」も紹介がありました。QuickDraw3Dを利用するためPower Macintosh専用です。あらかじめレイアウトされた線路に用意された電車を配置します。この電車の中外いずれでもかまわないのですが、ビデオカメラを設置し視点を定めます。そうすると、電車が動けばそれに伴ってまるでそこで撮影しているような画像が展開されるというわけです。ビデオカメラの位置は自由に設定できますので例えば10mと設定して俯瞰風景も見ることができます。林さん曰く「3Dのプラレールをやりたかった」というものです。車両はいくつかのバージョンが順次作成されているようなので身近な路線の電車版も近いうちに加わっていくと思います。シェアフィーは1,000円です。

 他には「file検索犬ボチ」とカレードスコープ用の「bokemon」「KITTY」が紹介されましたが、後者2点はフリーウェアとは言え著作権に引っかかると思いますので積極的には説明しません。

 吉田さんからは、近未来の情報教育といいますか、兵庫の学校でのネットワーク構築の計画が半端じゃないこと(研修会でLANの接続や設置の仕方を行っているとか)を紹介した上で、「AppleShare IP6.0」の情報を講義して下さいました。英語版は夏に、日本語版も秋にリリースされる予定のサーバ用のソフトウェアですがこのバージョンからWindowsへの接続が可能になり、クライアント数も無制限になったとのことです。操作やメンテナンスはMacOSとほぼ変わりないので、Macを使っている人なら保守管理ができる、Windows-NTよりは簡単とのことです。また、FileMaker4.0からはWeb拡張機能を使うと、Web上で閲覧・修正ができるのでデータベース利用が広がるだろうとのことでした。どうも兵庫県と神奈川県は学校のネットワーク化に向けての準備が着々と進んでいるようです。

 最後に根立先生から横浜国大附属養護のホームページを紹介してもらいました。その中から派生して実践研究でMandal-Artを利用したプレゼンを公開研究会で行い、研究紀要にも使ったという話から「Mandal-Artとはなんぞや?」「どこで入手できるのか?」の話で盛り上がりました。次回は筑波大学附属大塚養護学校の予定です。

(報告者 千葉県立市川養護学校 佐原恒一郎 GEC02532@niftyserve.or.jp

懇親会の様子


■第91回関東例会を兼ねたエキスポの報告

林 正直 鎌倉養護学校 PFA01176@niftyserve.or.jp

エキスポ、3日目の金曜日、昨年の半分の広さとなった会場に、このMESのブースに、どれだけの人が来てくれるのか、、、どんな人が来てくれるのか。そんな期待の中、今年もいろんな方と話すことができました。お子さん連れのお母さん、筋萎縮症の方、お母さんのために入力機器の情報に関心をもたれた方、等々、、、。お子さんとは「クリックゲームのねこジャンプ」「しゃぼんだま」「動物園へ行こう」で遊びました。楽しく遊んだあとで、お母さんお子さん共々「楽しかった」と笑顔で話してくれました。「うん、やっぱり楽しいよね。」と思いました。筋萎縮症の方は「仲間の中で、パソコン通信やインターネットをしている人はいるけれど、その人に教えてもらえるような状況作りはなかなか大変です。私たちに「パソコンのこと」「関連情報」を教えてもらえる機会があるといいなと思って、来ました。」とのことでした。早速、デモ機でインターネット。筋委縮症関連のWebSiteを見ていただきました。見ながら、MESのこと、筋萎縮症協会のこと等について情報交換ができました。

 また、「金魚すくい」「射的」の作者、中野さんもMESブースにいらしていただき、新作の鉄道シミュレーションソフトについてお話を伺うことができました。次回例会で御披露目していただけそうですので、乞う!ご期待。休憩時間にApple Message Pad2100Jのデモを見にエヌフォーのブースへ行きました。(まえまえから「ほしい!」と思っていたのですが、お値段が。でもほしいな。)今年は1日だけのお手伝いでしたが、他のメンバーの方(なつかしい!方も)ともお会いすることができ、それも大変、うれしかったです。最後になりましたが、まとめ役の佐原さんをはじめ、精力的に参加して下さったメンバーの方々にも感謝しております。ありがとうございました。

会場の様子(その1)
会場の様子(その2)
会場での林さん
会場で子どもの様子をじっと見るお父さん
会場で、「これなあに?」

■第7回特殊教育学習ソフトウェアコンクール

小宮幸三 筑後養護学校 k-komiya@ariake.ne.jp

 さる13日、第7回特殊教育学習ソフトウェアコンクールの表彰式に出席してきましたのでその様子をご報告します。
今回は協賛に富士通株式会社も加わり、文部大臣奨励賞や特殊研所長賞といった表彰が新たに増え、より多くの人々に受賞の機会が与えられるようになっていました。全国から48作品の応募があり19作品が入賞しました。
 文部大臣奨励賞は神奈川県立武山養護学校の原秀人先生が作られた「パズルであそぼう」です。4分割にしてる写真を正しいところにならべていきます。ならべていくと文字が表示されて音声が出てきます。そして、きちんと写真をならべ終わると動画が表示されるようになっています。原秀人先生は以前にも入賞されたことのある常連さんで、今回はVisual Basicで作られていました。プログラムの構成や画面はとてもシンプルなのですが、使いやすく興味を引きつける作品でした。
 国立特殊教育総合研究所長賞は、自分が描いたり塗ったりした絵がパズルになるになるもので、子供のうれしそうな表情が目に浮かびました。アイデア賞の「九九もぐら」は製品版かと思うくらいのすばらしい作品で、単純な繰り返しでいやになりそうな九九の学習にぴったりのものでした。いろいろと条件設定ができてほんとにすばらしいなと感心しました。
 続いて、金賞は岩国養護学校の清水一郎先生が作られた「トーキングねこちゃん」です。猫の顔に人間の口を付け、それをモーフィングさせて動かし、最終的には動画に編集されて「いちご」などの単語にされてありました。審査の過程で気持ちが悪いなどと意見が二分されるくらいの完璧なできで、しかも、すべての絵は清水一郎先生自身が作成されるなど、Macの機能をプルに活用された作品でした。先生の口形を見ても真似をしない生徒が、この「トーキングねこちゃん」であれば一緒に真似て話をするのがよくわかります。
 銀賞は名古屋盲学校の細川陽一先生が作られた「南山堂医学大事典」点訳検索ソフト」です。薄い本でも点訳すれば分厚い本が数冊になってしまい、調べるのに時間がかかってしまったり人にお願いしなければならなくなりますが、これがあれば自分で短時間に調べることができます。また、後方検索ができるなど、検索方法にも工夫がしてあるとのことでした。
 銅賞は名古屋市立小碓小学校の大野裕子先生が作られた「ひらがなことばあそびうた」です。これは荻野先生の作品を参考にしながら拗音のことばあそびうたを作られています。レイアウトも文字が常に見えるように工夫されています。とても心地よいリズムで歌が流れており、音楽療法をベースに作成してあるとのことでした。今後はカタカナや濁音の作品を作られるとのことで楽しみです。
 このほかに、銅賞には聾学校の養訓関係の仕事をアシストする作品が入賞していました。
 今回、私の応募した「どうぶつえんへいこう(現在はMac版のみ)」も銀賞に入賞することができました。動物のや鳴き声、体の一部分などを見て動物を当てる学習で、データベース形式にしていますのでデータの追加や変更が容易にできるようになっています。また、ドキュメントトーカを使って説明文や動物の名前も読み上げてくれるようにしています。この作品には市販されている音楽データが取り込まれており、現在のところコンクールへの出品しか許可がおりていません。MES98年度版の締め切り(6月30日)までには交渉をしてなんとか皆さんに提供できればと思っています。それから、受賞された先生方にも98年度版CD-ROMへの作品の提供をしっかりお願いしておきました。

■1997年度アメリカ合衆国公立学校の
インターネット接続状況報告要旨(Issue Briefs)
1998年2月発表

翻訳者
 成田 滋 兵庫教育大学教授 naritas@ceser.hyogo-u.ac.jp
 筱 更治 奈良県立志貴高等学校教諭 shino@edu.hyogo-u.ac.jp
 曽根秀樹 仙台市立第一中学校教諭 sohideki@edu.hyogo-u.ac.jp

 全米の生徒は、研究課題の調査のために国会図書館に接続し、アラスカのアンカレッジからノームまでの犬ぞり競争の経過を追跡し、熱帯雨林の現状を調べたり、あるいは世界中のペンパルと電子メールの交換ができるだろうか?そうしたネットワーク接続による学習活動を保障するために、クリントン大統領の提案する[先端技術リテラシー計画]は、全米すべての公立学校、コンピュータ教室、図書室、メディア教材センターなどの全ての教室をインターネットに接続しようという計画である。学校におけるインターネット接続状況を追跡するために、全米教育統計センターは1994年度の全米公立学校台帳からサンプルを抽出して調査している。この報告は、1995年から継続して行っている調査の一環で、急激に変化する学校のインターネット利用環境に関するものである。


●学校はどのように進展しているか?

「情報スーパーハイウエイ」の構築として、全米のすべての学校を接続しようという試みが急速に展開している。この3か年で公立学校でインターネットに接続している学校は、1994年の35%から1997年の秋には78%へと延びを示している(table1参照)。全体としていえることは、学校は全米のすべての学校をインターネットにつなぐという目標に向かって着実に前進している。

「情報スーパーハイウエイ」は進展を見せてはいるが、学校のインターネット網の展開にはいくつかのギャップがあることも心配されている。1997年の統計によれば、生徒の50%以上が少数民族で占める学校は、そうした生徒がほとんどいない学校に比べて20%あまりの差があることである。さらに生徒数の少ない学校は、生徒数の多い学校に比べて接続が低い。小学校は中学校よりも低いということが判明している。無料ランチサービスを受ける貧しい家庭の生徒が全生徒数の71%を占める学校では、63%がインターネットに接続している。同じく無料ランチサービスをうける生徒が全体の31%から70%を占める学校は、1996年では58%であったが1997年には78%に上昇している。さらに1996年から1997年にかけて、学校のインターネット接続は米国南部では62%から84%へ中央部では66%から79%に増加した(table1参照)。


●教室においてインターネットが使えるのか?

全米のすべての公立学校をインターネットに接続しようという目標は、着々達成しつつあるが、教室ですべての生徒がインターネットを活用できるようになるまでは、なお努力が必要である。1996年度は、5教室以上がインターネットに接続できる学校は、全体の25%であったが、1997年には43%となっている(table2参照)。インターネット接続状況をとらえるもうひとつの指標は、教室すべてがインターネットを利用できるかである。これによると、1995年には8%の学校、1996年には14%の学校、1997年には27%の学校におけるすべての教室でインターネットを利用できる。1997年では教室からのインターネットへの接続ができない2%の学校では、生徒はほとんどインターネットとの接触はない。さらに、インターネットの接続ができる教室であっても、生徒はこうした教室で実際にインターネットを使われないかもしれない。


●2000年までのインターネット利用の向上についての見通しは?

全米のあらゆる地域のすべての学校管理者たちは、先端テクノロジーを導入すると表明している。1996年の資料によれば、2000年までにインタネットに接続する計画を報告する中で、87%の学校でインタネット接続の機能が不足であるとしている。従って、もしこれらの学校が利用できるなら、2000年には、すべての学校の95%がインターネット利用を実現することになるであろう(table3参照)。もしこうした期待が実行に移されるなら、93%の学校で、しかも71%以上の学習者が2000年までにインターネットを利用すると考えられる。そして、少数民族出身の生徒が半数以上いる学校においては、91%がインターネット利用を達成すると見込まれる。向こう3か年の間には、1994年と1997年の間に起こったと同様に、学校や教室でのインターネット利用は、増加が続くと考えられる。

「昨年一年間で、1996年に報告されている学校の2000年でのインターネット利用に対する期待は、着実な発展を遂げてきている。全体として、1996年での事実上の利用と2000年の利用期待の違いとしての43%というひらきは無くなっていくと考えられる(table3参照)。その上、40%以上の目標への達成という進展は、様々な学校で別な形で達成されている。


●どのような教育機関や地域社会の機関が遠隔通信を支援しているか?

保護者・地域社会・地元業者そして非営利団体に対する1996年の調査で判明したことは、インターネット利用を達成しようとする学校やその他の先端遠隔通信事業への援助の提供である(table4参照)。10%の学校が、こうした計画のための企業から資金が提供された報告している。また18%の学校が、保護者や地域社会の団体より資金援助を受けたと報告している。さらに、6%の学校は、図書館や博物館といった地域社会の機関が提供する資金を受けたと報告している。とはいえ、最も支援が可能な資金の提供源は学校区自身である。次いで指摘できる最も可能性の高い資金の提供源は、州や連邦の政府機関である。


●学校がインターネットを利用するに従って、教員にはどんな課題が明らかになるか?

インターネット環境を利用できる状況が進むにつれて、教員や学校管理者は様々な方法でテクノロジーを取り入れることになる。それらは、成績の記録をはじめ、保護者との連携、遠隔学習、専門的発達、教材開発そして学級指導の道具としてである。そうした遠距離通信の活用のために、教員は連携しながら様々な課題に対応する必要がある。そうした課題とは、ネットワーク環境でのハードウェアやソフトウェアにかかわる技術的な支援を受けることである。教員や学校管理者がこうした支援を受けることによって、テクノロジーを統合する人材の開発に向けた時間とその利用や、学習者の知識を高めるための効果的なインターネットの利用を増進させ、さらにインターネット上の不適当な有害情報から生徒を守ることができる。学校管理者らは、学校が設定するインターネットのリンクについて、従来的なモデムよりも軽快で広範な帯域幅がありより信頼性のある接続方法を達成するために尽力することが必要となる。


解説

「Issue Briefs:報告要旨」は最新の話題となっている教育情報を提供するものである。全ての推定は妥当性のあるサンプリングに基づいている。有意差は統計上5%に設定してある。このIssue BriefsはJohn Bare, Knight基金とAnne Meek教育統計サービス機関が担当している。情報については,Edith McArthur, NCES, (202)219-1442かEdith_McArthur@ed.govに連絡すること。Issue Briefの追加注文やNCES発行所は,1-800-424-1616まで電話してほしい。NCES発行所はインターネットのhttp://www.NCES.ed.gov/で利用することもできる。

■自作教材の紹介

 MES自作教材集CD-ROM97年版に教材を収録していただきありがとうございます。学校でもこのCDを紹介し、これまでコンピュータにあまり興味がなかった教職員にも教材としての面白さを伝えることができました。その後、自らコンピュータを購入した教職員や、自作教材を作ってみようという教職員も現れ、今後のコンピュータの活用が楽しみなところです。

 昨年度は教育センターでの研修として教材ソフトの自作などに取り組みましたが、今年度は現場に戻り、授業や行事の合間に教材ソフトの活用や新しいソフトの開発に取り組んでいます。

 今回もオラクル・メディア-オブジェクトを使って朝の会の進行支援ソフトや文字や言葉の学習ソフトなどを製作しています。そのうち3つをZipに収めました。『ひらかな絵カード 1.0』と『ひらかなつみき 2.0』は、学習というよりも、文字や言葉に慣れ親しんでほしいという思いで製作しました。『のりものビデオ1.0』は、バスハイクや散歩のビデオから、担任している生徒が喜んで見ている場面だけを抜き取って試しに作ってみたものです。よろしければ次のMES自作教材集CD-ROM98への収録を検討してみてください。

 教材で使用しているイラスト、写真、ムービー、音声などはすべて自作または著作権フリーのものです。各ソフトの簡単な説明は以下にあります。なお、97年版に収録していただいた私の作品は、一部ハードディスクにコピーしないと正常に動作しないものがありましたが、今回のものは大丈夫だと思います。

加地 守 QYS05027
広島県立 西条養護学校 八本松分級
〒739-01 東広島市八本松町米満198-1


『ひらかな絵カード 1.0』
 メニューが2画面(1画面に10テーマ)あります。1テーマにつきそれぞれ12枚のカードを見ることができます。カードは毎回ちがう順序で表示されます。バージョン1,0では,発音機能はありません。「オート」はメニューを選ぶと自動的にカードがめくられていきます。「オートの速さ」は表紙で5段階に変更できます。「普通」が1秒くらいです。「クリック」はマウスをクリックする度にカードがめくられていきます。「オート」「クリック」それぞれ,「絵とかな」を表示するボタンと,「絵」だけ表示するボタンがあります。「もんだい」は3つの語句から正しいものを選んでクリックしていきます。まちがえるとメニューに戻ってしまいます。全問(12問)正解めざしてがんばってください。

『ひらかなつみき 2.0』
 メニューの「オート・」を選ぶと自動的にカードがめくられていきます。「オートの速さ」は3段階に変更できます。「ふつう」が1秒くらいです。「クリック・」はマウスをクリックする度にカードがめくられていきます。「オート・」「クリック・」それぞれ,「あ〜」=「あ」から表示するか,「?〜」=ランダムに表示するかを選んでおきましょう。「オート・」はまだひらかなを覚えていないときに,「クリック・」はある程度覚えたあと確かめるときに使用するとよいと思います。「50おん」を選ぶと50音表から文字を選んで単語や短文を作ったり(=「ことば」),その文字から始まる絵を見たり(=「えをみる」),「もんだい」に答えたりできます。「もんだい」は発音される文字がどれかを当てます。「もんだい」をやめるときは,「えをみる」か「ことば」を選んでください。

『のりものビデオ1.0』
目的

 メニューは10あります。見たい項目をクリックするとビデオのカードになります。 ビデオの映像をクリックすると,ビデオが再生されます。下に並んでいるボタンでも再生できますが,それぞれ再生されるスピードが違います。右のボタンほど速く再生されます。一番左のボタンは逆再生されますが,止めるのにマウスクリックが一度必要です。逆再生では音は出ません。右側に縦に並んでいるボタンではビデオの停止や,音の調節ができます。一番上にビデオ名が表示されますが,ここをクリックすれば,メニューにかえらなくても別のビデオにランダムに切り替えることができます。
■市販教材の紹介

「ジャストキッズ ももんがクラブ」

 単なる遊びではなく、子どもたちが楽しみながら、ことばや数や音楽などの基礎的な力をつけたり、さまざまなものに好奇心がわいたりする工夫がされています。3・4・5才コースと6・7・8才コースの二つがあります。合い言葉は「考える力」と「思いやる心」です。毎月1巻づつ2480円で1年間で12巻のCD-ROMが届けられる通信販売方式になっています。

株式会社ジャストシステム
E-mail:kids-info@justsystem.co.jp

 

■皆さんからのお便り
●スイッチインターフェイスの利用
 加藤圭子 府立岸和田養護学校 JCD01100@niftyserve.or.jp

 例会のご案内、会報をお送り下さりありがとうございました。会報には、拙文を掲載して下さりありがとうございました。本校にもMacが入って早2カ月がたちました。スイッチインターフェイスを用いて、スイッチ操作の練習、特に将来の意思表示装置の操作に向けてや、教材ソフトの利用に活用しています。だいぶ操作に慣れてきて、画面を見ながらの操作できるようになった児童、上肢の運動障害の為、随意的なスイッチ操作が難しいと思われていたのにできるようになってきた児童など、効果が上がってきています。具体的なデーターを取っていない為、その児童を知らない人には説得力に欠けますが。またトピックスがあれば、報告致します。


●はじめてMESのホームページ見ました
 舞薗恭子 横浜市立共進中学校 vy2k-mizn@asahi-net.or.jp

 いままでテキストの読みにくい会報を読んでいたのがうそみたいでした。文字だけのところの読みにくさはかわりませんが,なんといってもカラーでカット入の会報は楽しいものでした。MESの幅広いホームページを見て,いつか近い将来私も!と思いました。ご指導のほどお願いいたします。今年の夏の兵教大でのコンピュータの研修会はいつでしょうか?8月始めに広島大学から講義を頼まれているのですが,ぜひ先生の研修を避けて組んでもらおうと思います。日程が決まっていましたら,お教えください。


●ORACIONからの音楽ソフトの寄付
 小宮幸三 筑後養護学校 k-komiya@ariake.ne.jp

 先週、オラシオン営業部から寄贈されたCD-ROM20枚が届き、さっそく例会で活用方法等について話し合いました。そして、4枚組1セットにして、次の学校に配布しました。
・福岡市立若久養護学校(最近コンピュータが導入されたばかりでソフトの充実が必要でした)
・福岡市立赤坂小学校(保健室登校している児童との心の会話を求めて)
・佐賀聾学校(ビジュアルな音楽CDは聴覚障害教育においてとても有効な教材です)
・熊本聾学校(同上、非常に熱心にコンピュータを活用されています)
・福岡県立筑後養護学校(他校への貸し出しにも使用します)
 個人的な話になりますが、以前福岡聾学校に勤めていました折り、音楽の地久里靖子先生とともにDTMの学習を取り入れました。音が聞こえにくい子供たちに、音(楽)とともに視覚的な情報を提供することによって、音のイメージを膨らませたり音楽の楽しさを味わってもらいたいと考えました。その導入で「ピーターと狼」を利用させていただきました。子供たちはこれによって音のイメージを膨らませ、自分たちで楽しい音楽を作り上げることができました。そして、この成果をレポートして第4回音楽教育のためのコンピュータ活用コンクール(1996年、日本教育新聞社主催)で奨励賞を受賞することができました。「ピーターと狼」を初めとするこのような音楽CD-ROMは、聞こえる子供たちはもとより聞こえにくい子供たちにとってもすばらしい教材となります。今後ともよろしくお願いいたします。


●A君のインターネット利用予備実験
 渡部親司 島根県立出雲養護学校m97332h@students.hyogo-u.ac.jp

 本日、M養護学校高等部2年A君の3回計6単位時間の指導セッションが終了しまし た。A君の今回のインターネット指導に関しては、かなり指導の手応えを感じました 。人工呼吸器をつけてベットサイド学習を行っているA君にとって、学校以外の生活 の楽しみと言えばテレビを観たりテレビゲームをすることくらいです。記憶力に優れ 、知識欲も旺盛なA君にとって、インターネットのホームページを検索する中で得る 情報は大変意義深いものと感じられました。実際本人もたいへん喜んでいました
 例えば、毎日のテレビ欄の情報一つにしても、彼は毎日周りの誰かにテレビ欄を見 せてもらう必要があります。彼は、インターネットを通して、まず、テレビ欄の情報 を検索していました。トラックボールを使えば、彼自身の力で、他の人に頼ることな く、テレビ欄の情報を得ることができました。また、囲碁に興味をもっているようで 、囲碁のインターネット対戦のホームページや囲碁の初心者向け解説ページを熱心に 見ていました。われわれは趣味を広げるために例えば本屋にいって趣味の本を探した り、いろいろなサークルに参加したりすることがありますが、今やインターネット上 で可能になることも数多いように思います。
 また、「ハイブリッドメールサービス」というインターネット上で自分が作ったテ キスト文章を、実際の封書手紙にして発送してくれるサービスを試しに使ったところ 、普段あまりしゃべらない彼が「これなら秘密が守れる」とぽつりと言っていました 。彼は、手紙ひとつ送るのにも、看護婦さんに口頭で内容を伝え、筆記してもらう必 要があります。16歳という彼の多感な年齢を考えれば、それは彼のプライバシーを守 っていけないことになるはずです。インターネットサービスであれば通信の秘密は完 全にとは言わないまでもかなり守れるので、彼が自分の思っている本音を心を許した 相手に自由に表現することができるはずです。ベットの上で生活している彼には、普 段我々が予想しない不便や制限を多く伴っていることが、今回の指導を通して少しわ かりました。また、その不便や制限を克服するための方法としてテクノロジーの利用 価値は大変高いことを改めて感じました。
 これらの事実から、ベットサイド学習を行っている生徒にとって、インターネット の利用は、研究のねらいである自己効力感を高めていくためにもかなり有効なのでは ないかと推測されます。インターネット上で行われる情報提供サービスや通信手段と してのインターネット利用サービスは日進月歩の勢いで進んでいるように改めて感じ ます。そしてその利用価値は、このような寝たきりの生徒にとって無限の可能性を示 唆しているように感じました。私自身、A君のうれしそうな様子を見て、兵庫教育大 学に来てインターネットの勉強ができて本当によかったとつくづく思いました。

■事務局から

・4月から職場が変わった方は住所をお教えください。
・会報への原稿をお寄せの場合は次のことにご留意ください。UNIXのコードに合わせるのと編集上の手間が省けます。
 1) カタカナ半角は使わない。
 2) 二桁以上の数字やローマ字は半角を使う。
   悪例 MS−DKS 1998年
 3) テキストファイルを送る。
ご協力ください。

会報は以上です。では4月号をお楽しみに。なお、住所が変更になった方はお知らせください。