1998年アメリカ合衆国個別障害者教育法(IDEA)第20回議会報告書


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第三部

学校でのプログラムとサービス:

 ここでは学校で利用できる、障害を持つ子や若者及びその家族のためのプログラムとサービスを提供する5つのモジュールが書かれている。



障害児教育担当教師:需要と不足に関する傾向

 OSEPが持つデータ分析(DANS)によると、教員免許状を持った障害児教育担当教師が、学校で慢性的に不足している。3〜5才の障害を持つ子に対しては、全国的に統合教育が劇的に広がった。必要な教師は、1987-1988年から1995-1996年までで13,000人から27,000人へと100%以上増加した。

 必要とする教師が、3〜5才の子どもたちに対しては急激に増加したのとは対照的に、全国的に6〜21才の障害を持つ子に対する統合教育の広がりは緩やかである。1987-1988年から1995-1996年にかけて、284,000人から328,000人へと必要な教師は15%増加した。

 障害児と健常児を教える教師は、1987-1988年から1995-1996年の間に、有意な比率で増えた。深刻で慢性的な障害児教育の教師不足は、健常児教育と比較して、異常な速度で必要性が増したということはではない。障害児教育担当教師になるためのプログラムを受けた学部卒業生の数は、障害児教育の十分な提供からみれば、まだまだ不十分であることが判明している。



就学前児童(Preschoolers)の個別家族支援計画(IFSP)の使用:

 25の州でIFSPを使用している。全州的にプレスクール(幼稚園)での個別家族支援計画(IFSPs)の使用を政策としている(3州)。もしくは特別な教育サービスを受ける事の出来る3〜5才の子供に対して、学校区で選択出来るものとしてIFSPsを許可している(22州)。それらの州の内の16州はIFSP発行やIFSPからIEPへの移行についてのガイドライン、規準や規則を採用している。

 全米特殊教育長会(NASDSE)の調査では、就学前児のIFSPの使用を成功に導くものとして2つをあげている。それは、家族がIFSPを使用するのを選択することと、州と学校区がIFSPの使用を支援するということである。

 NASDSEの調査では、就学前児のIFSP実施の妨げになるものについて述べている。それには、免許の規定と要件に関する機関間のばらつき、変更を嫌がること、就学前児がIFSPを使用することにかかるコストなどがある。



障害児の教育環境:

 普通クラス環境や普通校に障害を持つ生徒が学ぶという割合が徐々に多くなってきた。995-96年では、障害を持つ6-21才の生徒の内、95%以上の生徒が、障害を持たない生徒達と一緒に学校に通った。その内のおよそ46%の生徒が、一日の21%以下の時間を普通教室を離れて授業を受け、およそ29%の生徒が一日の21-60%の時間、普通クラスを離れて特別の教育を受けたり関連した授業を受けており、22%の生徒が一日の60%以上の時間を普通クラスを離れている。

 障害を持つ生徒が支援を受ける環境は、障害と年齢によって変わってくる。より多くの時間を一緒に学ぶというサービスの拡がりもまた、州ごとによって変わる。

 障害を持たない生徒と一緒に学ぶ環境に影響する要因としては、州全体の生徒の学力、人口密度、一人あたりの収入、一人あたりの福祉サービス費用、生徒一人あたりの費用などがある。



IDEAのための資金調達:

 1997年の修正個別障害者教育法条項のもとで、611項-Bのための連邦歳出予算は次の会計年度では、およそ49億ドルに達した。前年度に割り当てられた予算が州の割当額の基礎となる。:基礎額への追加資金の85%は、州がサービスを行う場所での年齢範囲の比率に基づいて配当される。15%は州に住む同じ年齢層の貧困な生活をしている子どもの数に基づいて行われる。

 NASDSEの調査では、1994年度の会計では、担当部局であるOESPを通して、教員研修ための補助金として760万ドル以上が全米の各州に配布されたにもかかわらず、43州は、総合的な個別発達行動システムのために、その州の留保金の内の2,970万ドルを割り当てた。

 1997年の修正個別障害者教育法は、連邦政府の1997年度会計の留保金を据え置き、インフレ調整か合衆国のIDEAの割り当て率を増やすかのいづれかを加えている。どちらにしても低い額である。

 B項のための州の資金調達は、1996年から1997年の間に34%($785,558)増加した。この一年間は、このプログラムの歴史の中で最も増加した。



政府機関の合意による州の発展:

 過去20年に渡って、州はより意味のある供給(費用対効果、障害を持つ子への合理的なサービス)をするために、政府機関の協力を働きかけてきた。最近のIDEAの施行により政府機関の協力が、障害児教育サービスを発展させるのにますます必要となっている。

 政府機関の同意は、障害を持つ就学期の児童へのサービスの幅をカバーする。その中には、学校から就職への移行活動とデータ共有、子ども治療センターにいる子ども達に役立つサービス、早期教育と就学前サービスを調整すること、公的医療保証書を持つ子供達に対して公共医療サービスを拡大すること、複数の機関職員の協力などがある。

 政府機関の協力関係を築くことにより、州教育局(SEAs)、職業教育機関、職業リハビリプログラムが、障害を持つ若者を学校後の活動へとスムーズに移行するサービスシステムを改善することができる。(翻訳 丹羽登)