2000年アメリカ合衆国個別障害者教育法(IDEA)第21回議会報告書


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第四部 

成果

 この第四部には、5つのモジュールがある。第1は、ナショナル・アセスメント (NAEP)からの中間報告で、これには今後6年にわたって連邦教育省障害児教育局 (OSEP)が資金援助する代表的な研究が述べられている。また、個別障害者教育法 (IDEA)に関する評価とその意図から、取り組むべき9つの問題についても述べられて いる。第2のモジュールでは、障害のある学生が1996年〜97年に高校を修了した率に ついての報告で、高校の卒業資格と卒業率との関係について調べられている。第3の モジュール、すなわち州の改善と観察(State Improvement and Monitoring )で は、OSEPのパートB条項が規定する経過観察について論じている。第4のモジュール では、1991年〜1999年の州や地方に於けるIDEAの移行についての要件が実施された成 り行きが、報告されている。最後のモジュールでは、1996年の教育向上に関するナシ ョナル・アセスメントに於いて障害のある学生の参加と宿泊設備の利用について報告 されている。

ナショナル・アセスメントからの中間報告

(1) 1997年の修正IDEAの674(b)セクションは、その法の影響についての評価を体系的 に行うこととしている。その第1のねらいは、その法を実行することによる進展であ り、かつ法の目標とすることの達成を目指した前進である。
(2) 実施される評価は、ほぼ20年間にわたるアメリカの特殊教育プログラムの実施に 対する総合的な評価となると考えられる。
(3) その評価には、特に9つの問題に関する現況の評価が含まれると考えられる。さ らに、総合的に意図していることであるが、それぞれの問題に対する対策を、州や地 方学区、学校がどのように判断して行っているかを説明することも含まれる。

障害のある学生の卒業資格と高校の修了

(1) 1996年〜97年度の」17歳以上の障害のある学生のうち24.5パーセントは、卒業証 書を授与され高校を卒業した。
(2) 障害のある学生は、高校で適切な職業訓練を受けていれば、落第することなく順 調に雇用されるであろう。
(3) 高校を卒業する障害のある学生の率は、言語障害・精神障害・視覚障害を持った 者が最も高かった。卒業証書を受け取った学生の率は、自閉症と重複障害の者が最も 低かった。
(4) 卒業試験のある州は、試験のない州より障害のある学生の卒業はいくぶん少ない。

州の改善と観察

(1) OSEPは、全ての政府機関がまちがいなくIDEAのパートB条項に従うようにするた め、州の各組織の活動を集中的に観察する。
(2) 障害のある学生にとって協力と改善された結果が確実なものとなるために州がな すべきことは、OSEPが強力な有責システムでもって協力と技術支援を遂行することで ある。
(3) 1997年8月〜1998年1月、OSEPのスタッフは49州、プエルトリコ、バージン諸島、 インディアン関係事務局で実施計画についての会合に参加した。
(4) 1998年2月に開催された利害関係者の会からの投資を利用しながら、OSEPは継続 改善観察過程(Continuous Improvement Monitoring Process)を企画した。それ は、継続、利害関係者との連携、州の責任、州の自己評価、そして技術支援の準備を 基礎として立てられた計画である。

IDEAの移行に関する要件の遂行と進展:今後の計画との指針

(1) IDEAの移行計画であるインクルージョンは、障害のある学生が学生から社会人生 活への移行を円滑にするための政策、計画、事業のことでる。インクルージョンは今 後も発展させていく必要があり、少なくともそれは10年かけて行うべきであるという 考え方にたっている。
(2) 障害のある学生の学生から社会生活への移行がうまくいくようにするには、最終 的に学校、職業、社会に於いて大きな変化が求められるといえる。
(3) 州や地方に於いて、移行の実施にさらなる努力がいると思われる7つの課題が、 現れてきた。移行に対する政策と計画の実行に貢献する環境を作ること、組織の変革 を促進する政策を用いること、指導力を共有すること、統治と実行という方針で共同 作業をすること、長く続く変化に備えた受容力を持つこと、移行を他の構造改革と結 びつけること、そして政策と実行を強く推進するために研究と評価結果を用いること である。

NAEP

(1) NAEPの実施報告によると、保護者、教育者、管理者、擁護者、政策当局にとっ て、障害のある学生の学業の到達について重要なデータがあるとしている。
(2) NAEPの1996年の施策で、宿泊施設の利用が初めて認められた。
(3) 1996年のNAEPのデータによると、障害のある学生のわずか3,835人分のデータで はあるが、障害のある学生は、同年齢の障害のない学生と比べて、科学と数学で成績 が良くなかった。
(4) またNAEPの結果は、学年や科目に関係なく、白人の障害のある学生よりもいくつ かの少数人種/民族に属する障害のある学生の方がかなり成績が悪いと報告してい る。示されているデータの大きさから、人種/民族間の成績に違いがあるかを判断す ることはあできない。