2000年アメリカ合衆国個別障害者教育法(IDEA)第21回議会報告書


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第二部 

生徒の特徴

  第二部では、生徒の特徴に関する3つのモジュールについて述べる。それらのモジュールは、個別障害者教育法(IDEA)と州により連邦資金のもとで提供されるサービスを受ける障害児の特徴に関することである。
 まず第1のモジュールでは、次の事柄が記載されている。
(1) 矯正補導施設(correctional facilities)における特別な教育、
(2) 矯正補導施設において服役している若者に関する情報の考察、
(3) 無償で適切な公教育(FAPE)を人々に提供するための努力、
(4) 障害のある若者を取り巻くサービスの提供。

 第2のモジュールでは、IDEAのもとでサービスを受けた誕生から5歳までの子どもについて次のことを要約している。
(1) 州から提出されている報告データの記述
(2) 乳幼児とのための包括的な早期介入サービスの実施など州のさまざまな取り組みや関連情報
(3) 障害児教育と障害のある3歳から5歳の子どものための関連したサービス。

 第3のモジュールでは次のことに言及している。
(1) これまでの立法措置の変遷経緯、
(2) 1988-89年から1997-98年の10年間にわたるIDEAのもとでサービスを受けた6歳から21歳の生徒についてのデータの変遷。

矯正補導施設における特別な教育

(1) さまざま努力によって、矯正補導施設での障害児教育プログラムを提供し、それを発展させてきた。さらに矯正のための教育行政の指針や基準も定めてきた。しかし、矯正補導施設での教育内容の基準の不明確さは課題として残っている。
(2) 矯正補導施設で指導する少数の教師は、幅広い役割を有している。だが、彼らは自分自身で特別の教育計画をデザインし、実施、評価することを期待されていない。このために、州教育委員会の職員局員や地方自治団体のスタッフは、必要な支援やリーダーシップを提供することが必要である。
(3) 州や地方自治の機関は、服役する若者が地域の学校に戻るための措置を講じるべきである。いくつかの研究報告によれば、若者を対象とした矯正補導施設から地域の学校や職場へ移行するサービスは、有効であることを示唆している。
(4) 矯正補導施設で働く指導スタッフの専門性を高めることの重要性は、しばしば指摘されている。これは障害児教育の充実ということである。指導者は、服役する者を導く特別な訓練が必要とされる。しかし、大学の育成機関は、こうした施設での専門性の必要に応える教師を養成することについては困難が生じるかもしれない。

IDEAによるサービスを受ける0歳から5歳の子ども

(1) 多くの障害を持った子どもに関して、早期介入プログラム(EarlyIntervention Program)と就学前教育プログラムPreschool Grants Program)の両者のもとでサービスを受ける者の数が、毎年増え続けている。
(2) この人口の増加傾向は、州のレベルから人々による啓蒙や自覚と子ども発見の努力を示しており、あわせて発見や報告の手続きの改善の努力を反映している。
(3) 過去3年にわたり、0歳からから2歳の障害のあるほとんどの子どもが、家庭でサービスを受けている。3歳から5歳の子どものほとんどは、普通学級でサービスを受けている。

IDEAによるサービスを受ける6歳から21歳の生徒

(1) IDEAのもとでサービスを受けた多くの障害を持つ子どもの割合は、子どもの人口や就学数より速い速度で増えている。
(2) 過去10年の大きな増加は12歳から17歳のグループと、健康を損なった生徒に顕著に見られる。
(3) 各州は、1997-1998年度で初めて、6歳から9歳の子どもに対し、障害のカテゴリーとして「発達障害」という用語を使い出したが、その用語を使っているのは8つの州だけである。そのカテゴリーに含まれる障害のある子どもの割合は、障害児の中の1.32%にすぎなかった。